インベージョン (2006) US <The Invasion > [film reviews]
映画クラブの鑑賞作品として稟議にあげたかった今作。しかし、「駄作って聞いたよ?」と却下されてしまいました・・・。そんなこともあって、なんの期待もなく観にいきました。ダニエル・クレイグファンとしては、駄作チェックもしとかないと(笑)映画クラブのメンバー且つオーリーファンのWちゃんも、最近はいまいちヒット作のない彼を追っかけてますが、作品を観る眼は確かなところ(決してオーリーがいるからって擁護するような批評はしない)は尊敬に値しますね。私はどう観たって贔屓目がコロコロ転がってるようなものしか書けない気が・・・・・・。
墜落したスペースシャトルに付着してた謎の染色体、そして人を無感情にさせる伝染病が急速に広まる。セラピストのキャロルは、医師のベンと共にこの病原体が睡眠中に遺伝子操作をおこなうことを突き止める。そんな中、元夫が突然、息子のオリバーの良き父になりたいと、数日彼を預かることに。そしてオリバーは行方不明となってしまい---
『ヒトラー 最期の12日間』のオリバー・ヒルシュビーゲルが、プロデューサーとやりやって途中降板したという噂もある今作。原作は4度も映画化されたSF小説ということもあり、作品の狙いは決して悪くはない。緩急のない、緊迫感がいつも漂う展開はプロデューサーの思考か。上映時間を90分台に抑えたことにより、詰めの甘いストーリー運びも観ていられたけれど、願わくばオリバーが完璧に作り上げた2時間級のドラマが観たかった。ドイツ人の彼が作りかけた(と思われる)シーンには、無感情となった人々とアイデンティティーを持ち続ける人々の対比が、共産と民主主義の図式にも感じられたから。その辺りの深堀りをしようとしたところを、「娯楽作品にしてくれなきゃ困るよ君」とプロデューサーにネチネチされた気がしてならない。
そもそも、何故人々を無感情にしコントロールしたかったのか。感情をなくせば争いは起こらないという伝染病を蔓延させる彼らの主張は理解するが、そもそもあれは侵略だったのか?という基本的な疑問がつきまとう。しかし、セクシーじゃないダニエル・クレイグもステキ。知的な役もハマるなぁ。静止画にするとシワくちゃ顔にみえなくもないけれど、彼には何処かすぐられる雰囲気が漂っている。
監督:オリバー・ヒルシュビーゲル <Oliver Hirschbiegel> ◇原作:ジャック・フィニイ <Jack Finney> ◇脚本:デヴィッド・カイガニック <David Kajganich> ◇撮影:ライナー・クラウスマン <Rainer Klausmann> ◇プロダクションデザイン:ジャック・フィスク <Jack Fisk> ◇衣装デザイン:ジャクリーン・ウェスト <Jacqueline West> ◇編集:ハンス・フンク <Hans Funck> ジョエル・ネグロン <Joel Negron> ◇音楽:ジョン・オットマン <John Ottman> ◇出演:二コール・キッドマン <Nicole Kidman> ダニエル・クレイグ <Daniel Craig> ジェレミー・ノーサム <Jeremy Northam> ジャクソン・ボンド <Jackson Bond> ジェフリー・ライト <Jeffrey Wright> ヴェロニカ・カートライト <Veronica Cartwright>
ドイツ人監督とプロデューサーの意見の相違がうかがえるなんて、
クリスさん、相変わらず視点がユニークですね。
そういう見方もできれば、駄作(?)も観る価値があると
言えるのかも……(笑)。やっぱりDVD化を待つかな〜。
by lucksun (2007-11-12 00:06)
lucksun さん、nice!をありがとうございます。
なんとなく、私の好きな『ヒトラー~』を撮った監督が作った作品とは思えない釈然としないところがあって。
楽しんで観たのは事実です。ただ、それってダニエル・クレイグがいた影響がどれくらいの大きさなのかは測れませんね。
by クリス (2007-11-13 21:54)