スケアクロウ(1973)US <Scarecrow> [film reviews]
アル・パチーノ作が続きます。『カリートの道』より遡ること20年、1974年の『ゴッドファーザーPartⅡ』を挟む、『スケアクロウ』(1973)と『狼たちの午後』(1975)を続けて観ました。70年代のアル・パチーノ、すなわち彼が30代だった頃というのは、なんと表現したらよいのかわからないくらいにイイ。あの瞳の奥深くにあるギラツキも、ふと緩んだ時の口元も。作品の質もよく、リアルタイムに観たかったものばかり。『セルピコ』(1972)も忘れがたく、彼の絶頂期といえるんじゃないかな。
刑務所帰りのマックス(ハックマン)は、ヒッチハイク中だったライオン(パチーノ)に出会う。彼は5年ぶりに陸に戻った元船員だった。旅の間に生まれた子供の元に向かっていたが、意気投合した二人は洗車ビジネスを一緒にやる約束をし、共に資金稼ぎをすることに。元々喧嘩っぱやいマックスは問題も起すが、いつも可笑しなことをするライオンに次第に感化されていく---
このハックマン&パチーノの凹凸コンビをみていると、1969年の傑作『真夜中のカウボーイ』を思い出すし、少なからず影響は受けているかと思う。ボイド&ホフマンコンビは、もっと殺伐とした刹那的にしか笑えない暮らしをしていて、社会からのはみだし者だった。対して今作の二人もはみだし者に変わりはないけれど、少しは世の中のことをわかっていて、マジメに将来も考える。人に喜ばれたい=エンターテイメントするくらいの余裕もある。『真夜中~』の二人が不器すぎてなかなか口にすることがなかった友情を感じさせるセリフも散りばめられていて、より観やすい作品といえるかもしれない。ボイドがカウボーイになりきって大都会を彷徨う姿は痛いけれど、ハックマンが意味なく下着を重ね着をしているシーン(本人は寒いらしいけれど)は微笑ましいし。
パチーノ全盛期ということもあるし、珍しく、ユーモア溢れるライオンに扮する彼もみれて、決してコミカルじゃないところが彼らしく感じた。ハックマンもよく考えれば1971年の『フレンチコネクション』、1972年の『ポセイドン・アドベンチャー』に続いて今作とゴールデンイヤーズの真っ只中だった。とても良い作品といえるし、比べる必要はないかもしれないけれど、『真夜中~』のインパクトが強すぎて、あんなに繰り返し観た作品にはやっぱりかなわないかな・・・という印象が残った。主観をいえば、『真夜中~』がアメリカンニューシネマの傑作なら、今作は佳作といっていいかも。
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2005/09/02
- メディア: DVD
- 出版社/メーカー: 20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント
- 発売日: 2005/05/20
- メディア: DVD
◇監督:ジェリー・シャッツバーグ <Jerry Schatzberg> ◇脚本:ギャリー・マイケル・ホワイト <Garry Michael White> ◇撮影:ヴィルモス・ジグモンド <Vilmos Zsigmond> ◇音楽:フレッド・マイロー <Fred Myrow> ◇出演:ジーン・ハックマン <Gene Hackman> アル・パチーノ <Al Pacino> ドロシー・トリスタン <Dorothy Tristan> アイリーン・ブレナン <Eileen Brennan> リチャード・リンチ <Richard Lynch> アン・ウェッジワース <Ann Wedgeworth> ペネロープ・アレン <Penelope Allen>
先週、「スケアクロウ」のビデオを見たばかりです。
20年ぶりくらいに見ました。
ライオンが電話をかけた後、デトロイトの公園の噴水に
入るシーンが寂しく、印象的でした。
アル・パチーノにそっくりな子どもは必要不可欠でした。
「真夜中のカーボーイ」はウルトラヴァイオレットが出演しているという、
ただ、それだけの理由で見たのですが、見終わった後に
かなり心が痛む作品でした。
by ミック (2007-09-16 23:24)
改名お目出度うございます。(笑)
可愛いお名前ですね、これからも宜しく・・・。
アル・パチーノは、渋く老けて良い役者になったと思います。
どの画を観ても存在感が有りますね。
by 敏 悌次 (2007-09-17 10:53)
うっ、改名ですか。何か心境の変化でも・・・・気分一新されても今後ともよろしくお願いしますです。
「スケアクロウ」と言われると、「バットマン」のヴィランであるScarecrowが真っ先に思い出されるtomoartであった・・・・。
by tomoart (2007-09-18 01:02)
ミックさん、nice!をありがとうございます♪
あの噴水のシーンは痛々しくて、ライオンの陽気な性格もあいまってほんとにズドーンと落とされました。この時代の映画って、とても好きな作品が多いんですよね。
宝塚さん、改名手引きをして頂きまして、ありがとうございます。
私はパチーノの若い頃が断然好きだったりします。老いてからの存在感も抜群ですが、異性としてみると彼が私の年だった頃がとても魅力的なのです。
tomoartさん、よりわかりやすい名前にしてみました。名前の由来は次のブログに書きますね。由来という程もありませんが・・・・・・。
スケアクロウと入れて検索すると、ロックバンドやらなんやら、いろいろひっかかって面白いです。
by クリス (2007-09-18 22:26)