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Code 46 (2003) UK <Code 46> [film reviews]

   『9Songs』(2004)には閉口してしまったけれど、ウィンターボトムの作品は好きなんです。市井の人の哀愁を、乾いた距離を保ちつつも優しくみつめる雰囲気が気に入っています。『日陰のふたり』のように、突き落とされる作品もあるけれど(まぁ、あれは原作ありきだったし)、『ひかりのまち』は、私自身が感じた "ロンドン" と "そこに暮らす人達" が近似していました。

 

   環境破壊から地球の砂漠化が進行した近未来、人々はシステム管理の都市に密集していた。滞在許可証を持たないものは都市間のトラベルは厳重に警戒されていた中、許可証の偽造事件の依頼を受けたシアトル在住のウィリアムは上海に渡る。特殊能力を駆使し犯人のマリアを突き止めるが、特別な感情が芽生え虚偽の報告をすることによって彼女をかばう。

   この監督は佳作を作るのが上手いなぁと思ったことがあるけれど、今作もそのレベル感を保っています。『ひかりのまち』も、私にとっては想い入れの強い一作とはいえ、傑作かと聞かれればそうじゃない。時々踏みはずす(『いつまでも二人で』とか)ことはあるけれど、ある程度の安心感を持って作品が観られるということに、監督の才能を感じます。

   しかも、それ程時間をおかずに新作を次々作る、ルックスからは計れないバイタリティーも持ち合わせてもいます。今作は監督初のSF作品となったけれど、特に気負いもなくいつもの彼の作風が貫かれており、特に、ウィリアム(ティム・ロビンス)が上海を彷徨う姿をカメラが追っかけるシーンは、『ひかりのまち』を彷彿させてとても気に入りました。好きだったな。

   遺伝子の組み合わせを操作されている人間が、バグを起す発想なんかは面白いです。所々、突っ込みたくなる設定もなくはないけれど、その不完全さも含めてセンスや雰囲気を感じとって観て欲しい作品。サマンサ・モートンの顔立ちは、『マイノリティー・リポート』と続き近未来という時代にとてもマッチしているし。懐かしいタヌキ顔なのに、メイクのせいかなぁ。

   わき役をみても、『ぼくの国、パパの国』の頑固オヤジ、オム・プリをはじめ、多彩な人種が映る世界観も良いです。ラストに流れるColdplayはちょっと狙いすぎた気もするけれど、これ程にやり切れない感情を残すなんて・・・油断していました。こういう、辛辣な終焉をスパっと入れられるところも、ウィンターボトムらしいといえば、そうかもしれません。

CODE46 スペシャル・エディション

 

CODE46 スペシャル・エディション

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • 発売日: 2005/03/04
  • メディア: DVD
ひかりのまち

 

ひかりのまち

  • 出版社/メーカー: パイオニアLDC
  • 発売日: 2001/03/09
  • メディア: DVD
日蔭のふたり

 

日蔭のふたり

  • 出版社/メーカー: アスミック
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: DVD
 
 
◇監督:マイケル・ウィンターボトム <Michael Winterbottom> ◇脚本:フランク・コットレル・ボイス <Frank Cottrell Boyce> ◇撮影:アルウィン・H・カックラー <Alwin H. Kuchler> マルセル・ザイスキンド <Marcel Zyskind> ◇音楽:デヴィッド・ホームズ <David Holmes> ◇出演:サマンサ・モートン <Samantha Morton> ティム・ロビンス <Tim Robbins> ジャンヌ・バリバール <Jeanne Balibar> オム・プリ <Om Puri> エシー・デイヴィス <Essie Davis>

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coco030705

これは評判のいい映画ですよね。
近未来SFなんでしょうか。ぜひ見てみたいです。
by coco030705 (2007-08-21 17:32) 

クリス

cocoさん、こんばんは♪
これは近未来っぽさがアンニュイな雰囲気を持っていて良いですよ。
是非、観てください☆ね☆
by クリス (2007-08-27 22:43) 

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