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フル・フロンタル (2002) USA <Full Frontal> [film reviews]

もうすぐ公開の、『オーシャンズ13』や『The Good German』も楽しみなスティーブン・ソダーバーグ。『セックスと嘘とビデオテープ』(1989)が評価されたものの、カンヌパルムドール時の不評スピーチと共に、その後の『アウト・オブ・サイト』(1998)迄不遇の時代をすごした彼が、その頃に撮った作品と類似していると思われるのが今作。実はソダーバーグ信奉者な私は、『イギリスからきた男』が大好き。『ソラリス』も一般的な評価は低いけれど観終わって鳥肌が立ったし、『トラフィック』もデル・トロの野球場のシーンは忘れがたいです。この列挙した作品は、当然スクリーンの向こうに観客がいることを意識して製作されているけれど、今作はまったく無視しているといってもよいかもしれません。

ある金曜の夜、映画プロデューサー・ガスの40歳の誕生日パーティーが、とあるビバリーヒルズにある高級ホテルにて行われようとしていた。パーティーに招かれた者、招かれなかった者のそれぞれのその日一日を追う。

amazonの『フル・フロンタル』DVDページに、面白い感想が載っていた。この方が感じていることは、まんま私に当てはまる為に「やっぱりなぁ」と唸ってしまった。簡潔にいうと、ソダーバーグが大好きな為に、いかに駄作と呼ばれる作品や意味不明な作品を撮ったとしても、彼が撮ったんだからそこにはなにかしら良質と呼べるべき、奥の深い考察があると信じている-というもの。今作も、観客を無視あるいはおちょくって撮ったような現実と虚構の境が解かりにくくなっている所が、意味不明と感じさせる所以とは思うけれど、これ程に人間の本質、映画の中じゃまず観られないような醜くも変質的な本能をさだけだした作品という視点なら、良質と呼べる気がする。

ジュリア・ロバーツのパートはたいしたことはないけれど、キャサリン・キーナーが演じたリンの病んだ精神の表現は絶品だったし、「X File」のディヴィッドはシーン数は少ないながらも、よくもこんな役を引き受けたなぁという程に羞恥をさらけだした役回りだった。こうやって名のある俳優がソダーバーグの作品に参加したがるのも、彼の才能ゆえだろう。ただ、なんとなく面白そうかもと思って借りると大失敗する作品。ソダーバーグが好きなら観ても良いけれど、そうじゃなければ絶対におススめしないな(笑)

 

フル・フロンタル

 

フル・フロンタル

  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
  • 発売日: 2004/05/21
  • メディア: DVD
イギリスから来た男 デラックス版

 

イギリスから来た男 デラックス版

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2002/03/22
  • メディア: DVD
ソラリス (特別編)

 

ソラリス (特別編)

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2007/01/26
  • メディア: DVD
トラフィック

トラフィック

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2001/12/21
  • メディア: DVD


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コメント 2

ken

オススメし難い映画ですね(笑)。
僕はこの作品を観た当時、この映画を褒めるべきなのかどうか
しばらく悩んだ記憶があります。でも背伸びはしないことにした。
その証拠が僕のブログに残っています。

>ソダーバーグが好きなら観ても良い

賛成です。
by ken (2007-05-08 01:37) 

クリス

微妙ですよね(苦笑)私は退屈せず鑑賞できましたが、これが皆に当てはまるとは思えませんし。
後ほど、kenさんの感想ものぞきにいきまーす。
by クリス (2007-05-08 23:17) 

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