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世界最速のインディアン (2005) NZ/US <The World's Fastest Indian> [film reviews]

この作品の主人公、バート・マンローはニュージーランドの小さな町、インバカーギルに暮らした実在のスピード狂/バイクおたく。時速80キロが最高だった、所有する"インディアン"バイクに改造・改良を重ね、1962年、ついに念願だったボンヌビルの記録会に挑戦した実話を基にした、ロードムービー。ロードムービー好きな方、これは観ておかないと惜しい。

小さな小屋に一人暮らしている初老のバートは、40年以上も前のバイク、"1920年型インディアン・スカウト"にまたがり、ひたすら速く走ることへ情熱を捧げてきた。彼の夢は、ライダーの聖地・アメリカのボンヌヴィル塩平原(ソルトフラッツ)へ行き、世界記録に挑戦すること。狭心症と診断された彼は、この挑戦を先延ばししてはならないと、家を抵当に入れて渡航費を捻出し、、"インディアン"と共に地球の裏側へと旅立つ。

バート・マンローに対する興味よりも、ホプキンスラブ~な気持ちに押されて観に行った映画だったけれど、マンロー流の人生の手ほどきを受けて帰ってきた。監督は、30年ほど前に実際の、"ほとばしるような情熱が彼自身を覆っているようだった" マンローにも会ったことがあり、そのユーモア溢れるキャラクターにも魅せられて、ドキュメンタリーの制作をおこなったことがあるという。この監督とホプキンスは、『バウンティ/愛と反乱の航海』という映画を80年代に一緒に作っているが、その時は互いに折り合いが悪く、以来監督はホプキンスを嫌悪していたというが、2000年にあるパーティーへ行ったらホプキンスがそこにいて、「向こうにみえるクソ野郎」に挨拶しようか迷っているうちに、偶然目が合ってしまった。するとホプキンスが近づいてきて、なんていってやろうか考えていると突然ハグをされ、その瞬間、それ迄の恨み辛みは吹っ飛び、良き友人になった、というエピソードがある(eiga.comより)。もしあの時、互いに知らん振りをしてたなら、この快作は生まれなかったかと思うと、素敵な再会をした二人に感謝したい、と心から思う。

60を過ぎたマンローが地球の裏側へ行く旅は、危なっかしくて冷や冷やするが、出会う人々に愛され、助けられて少しずつ前進していく。He's deserved, 彼はそれらの好意を受けるに値する人物なのだ。マンロー(ホプキンス)が乗る"インディアン" も又、転倒するんじゃないかとハラハラ、ドキドキ。なにしろ、↓の中にどっしりした体がキチキチに入り、バランスが悪いったらありゃしない。

マンローのような「おたく」に、幼少の頃から親しんだ隣人の息子は幸せだなと、「おたく」の揺るぎないパワーがもたらす温かみに包まれて、劇場を後にしました。

 

バート・マンロー スピードの神に恋した男

 

バート・マンロー スピードの神に恋した男

  • 作者: ジョージ・ベッグ
  • 出版社/メーカー: ランダムハウス講談社
  • 発売日: 2007/01/27
  • メディア: 単行本

 

日の名残り コレクターズ・エディション

いちばん好きなホプキンス作。

日の名残り コレクターズ・エディション

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2006/02/01
  • メディア: DVD
 
 
◇監督:ロジャー・ドナルドソン <Roger Donaldson> ◇脚本:ロジャー・ドナルドソン <Roger Donaldson> ◇撮影:デヴィッド・グリブル <David Gribble> ◇編集:ジョン・ギルバート <John Gilbert> ◇J・デニス・ワシントン <J. Dennis Washington> ロブ・ギリーズ<Robert Gillies> ◇音楽: J・ピーター・ロビンソン <J. Peter Robinson> ◇出演:アンソニー・ホプキンス <Anthony Hopkins> アニー・ホイットル <Annie Whittle>クリストファー・ローフォード <Christopher Lawford> アーロン・マーフィ <Aaron Murphy> クリス・ウィリアムズ <Chris Williams> ダイアン・ラッド <Diane Ladd>

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コメント 7

coco030705

おじゃましまーす。
う~ん、この映画とっても評判がいいですね。蟻銀さんのレビューを読んだら、やっぱり行っとこうかなって気になりますね。ホプキンスも個性の強い役が多いので、この「インデアン」のような役は、彼自身も嬉しいんじゃないかなと思います。
大阪まだやってるのかしら。ちょっと調べてみますね。
「日の名残」もいい映画ですね。私も好きです~☆
by coco030705 (2007-03-02 19:14) 

Sardanapalus

私も見ました!見終わった後暖かい気持ちになれる映画でしたよね~。かなり行き当たりばったりでアメリカに行っちゃうバートにハラハラしながらも、彼の人柄とジョークに癒される作品でした。自然と助けたくなるキャラクターですね。

ホプキンスがここまで砕けた感じのいい人をやってるのを見るのは初めてでしたが、のびのび楽しそうに演じてるように見えます。ニュージーアクセントの英語が意外とはまってて、「イギリス?まさか!ダウンアンダー、ニュージーランドから来たのさ!」っていう台詞にニヤニヤしてしまいました。アメリカでもダウンアンダーって通じるのかな?
by Sardanapalus (2007-03-02 20:45) 

こんにちは。
困れば他人を頼り、好意は素直に受けるバートの生き方をみると
現代人は他人に対して過剰に遠慮し過ぎているような気がしますね。
本当に失ってしまったものがいっぱい詰まったいい映画でした。
by (2007-03-03 16:15) 

クリス

cocoさん、こんばんは♪nice!をありがとうございます。ホプキンスは気の良いおやじ系の役もそこそこあるけれど、レクターのイメージがいまだに強いんですね(って、他の方のレビューを読み歩いてて感じました)。彼のジェントルな感じがとても好きです。やっぱりイギリス人~みたいな雰囲気も。『日の名残り』は時々今も観ますが、ホプキンスの表情が切ないですよねー。

Sardanapalusさん、こんばんは♪ほんとに、片田舎からやってきたバートって感じが画面から滲み出てましたー。私は、バートがアメリカ英語がよくわからず、しょっちゅう聞き返してる所でクスクスしてました。ホプキンスがニュージーなのも可笑しかったですよねぇ!

twilightkumaさん、こんばんは♪他人に過剰に遠慮している現代人、いっぱいいますよねー。田舎者の私からみると、ちょっと苦手とする人達ともいえます。どんなに一緒の時間を過ごしても、一向に距離感が計れなくて。バートの人懐っこさに安心感を覚えました。旅は地元の人に助けられて成り立っていくのが基本だと思ってます。
by クリス (2007-03-03 23:34) 

こんにちは、お邪魔します。

eiga.comの監督とホプキンスの話、素敵ですね~。

>素敵な再会をした二人に感謝したい、と心から思う。
って本当に同感です。ホプキンスがかっこわるいところも素敵で、
とってもキュートな映画でした。

「日の名残り」私も大好きです。良い映画ですよね。
by (2007-03-04 16:39) 

カシム

バート爺さんの無謀なチャレンジに痺れましたね。
彼の冒険にホレボレしました。
又ニュージーランドに行きたくなってしまうよ。
by カシム (2007-03-04 23:27) 

クリス

mikaさん、こんにちは。nice!をありがとうございます。
ホプキンスの素顔は、バートに近いんじゃないかなって感じました。『日の名残り』とは又ちがう魅力が全開ですよね。

カシムさん、こんにちは。nice!をありがとうございます。
ニュージーに行きたいと思ったことは今までなかったんですが、ちょっとニュージー感が変わりました!友達がいるんで、いつか頼って行ってみたいです。しかし、バートの町にはバート縁のものってあるんでしょうかね?
by クリス (2007-03-06 08:59) 

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