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父、帰る (2003) Russia <Vozvrashcheniye> [film reviews]

ロシアというところは、行ってみたい国(隠れ)No.1。冷戦時代の頃から、幼心にソビエトのカラーに神秘なものを感じていた。(隠れ)なのは、今スグには現実しそうもないから。グラスゴーから日本へ戻る際、シベリア鉄道に乗って中国を経由して帰る、という案も面白いかもしれないと思っていたら、「ひとりじゃ行っちゃダメ!」と母に強く反対されました。ロシア旅行の相棒募集中(笑)誰も行きたがらないからなぁ。

今作は、2003年のヴェネチア映画祭金獅子を獲っています。みずみずしい風景がみられる、何処かロシアっぽくない一面も持っている作品。

母とささやかに暮らしていた兄弟のもとに、12年振りになんの前触れもなく父が帰ってきた。戸惑う兄弟を小旅行に誘う父。威圧的な父に順応する風な兄と、反発を強める弟。その旅の終わりに待ち受けるものはいったいなんなのか。謎解きの多い、思わせぶりなフリの散りばめられた作風。なのに、謎は謎のまま葬りさられ、観るほうの解釈に委ねられてしまう。はっきりと映されているのは、兄弟たちの思春期らしい機敏な心情の変化。兄弟の目線に立って、繊細にとらえられている。兄弟がどれほど父を欲していたか。それを思うとラストは辛すぎる。『麦の穂を揺らす風』や『ミスティック・リバー』のような不条理は受け入れられても、対子供の、『ケス』のような居たたまれなさは耐えがたい。

荒削りな色合いのロシア映画が多い中、今作はオーストラリアのようなSkyblueな空がみられるシーンがある。美しくも厳しい風景の中、このブルーは印象に残るなと感じていたら、監督は北野映画に影響を受けたらしい。ピーカンに晴れてるのに急に豪雨が降ったり、又止んだりはイギリスのようやなぁ。

 

『シックスセンス』の頃のハーレー君に似てる? 

父、帰る

 

父、帰る

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • 発売日: 2005/04/08
  • メディア: DVD

 


nice!(2)  コメント(6) 
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コメント 6

coco030705

こんばんは。
この映画は見ていないのですが、ちょっとかわいそうなラストのようですね。
確かこの出演の子供のどちらかが、映画撮影のあとで、事故で亡くなっていますよね。いわくつきの作品のようです。
>ピーカンに晴れてるのに急に豪雨が降ったり、又止んだりはイギリスのようやなぁ。
ほんと、ロンドンがなつかしいですワ。
by coco030705 (2007-02-14 21:26) 

クリス

ココさんこんにちは☆nice!をありがとうございます♪
この作品は、観て欲しいのとやっぱり辛くて止めたいのと、どっちも入り混じってます。兄弟の兄さんを演じた少年が、撮影直後に撮影の行われた湖で溺死してしまったとか。それが悲しみを増している気もしますね。
私も、イギリスにいた頃のクセで、天気がのち雨だろうと傘も持たずに出かけていましたが、日本の雨は全然止まないし、雨粒が大きくてやっぱり傘がいるなぁと思う今日この頃です・・・。
by クリス (2007-02-15 12:28) 

こんにちは。この映画、重かったですよね。
登場人物の性格が、共感や感情移入できない面はあったのですが、印象には残ってます。
少年が事故死したとは知りませんでした・・。
by (2007-02-15 19:56) 

クリス

REiさんこんばんは♪nice!をありがとうございます。
いやぁ、観終わってしばらくショックでした。監督はよくもまぁこれ程に謎を謎のまま残しましたよね。潔さに感服します。
少年のことは、ほんとうに可哀相としかいいようがありませんね。若かったのに。
by クリス (2007-02-15 20:57) 

momet

たったいまレンタルのを見終わったんですが、
いやー「映画」でした。
私は「ケス」も好きなんでクロス検索でここに来ました。
ああいう、状況の内側に自分も入って登場人物と一緒に
時空間を進んでいく感覚が「映画」ではないかと思ってます。
そういう意味で久しぶりの映画体験でした。
ラストの悲劇は私もやはり本当に必要だったかな?と思いましたが
監督のインタビューとか見るとボートが沈むシーンのイメージが
本人的に重要らしくてやはりやりたかったんだろうなあ…と。
この辺はケスのラストとはちょっと質が違う気がします。
by momet (2009-04-23 00:38) 

クリス

mometさん、こんにちは。
『ケス』よりも言葉少なな作品でしたよね。
ロシア映画はとても好きです。難解なものも多いですが、閉ざされた世界観というか、空気感がたまらなくて。

by クリス (2009-04-26 18:05) 

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