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明日へのチケット (2005) Italy/UK/Iran <Tickets> [film reviews]

ローマへと向かう列車を舞台に、巨匠と呼ばれる域にいるエルマンノ・オルミ、アッバス・キアロスタミ、ケン・ローチ監督がコラボレーションした粋な作品。三つのエピソードがさりげなく繋がり、一体感を作ろうとしているけれど、やっぱり三者共カメラのアングル一つとってもアプローチが異なる為、「或る列車を舞台にした三つの短編」の雰囲気が色濃いかなぁ(と観た)。一作、二作目は後に繋がることをちゃんと考えて撮ったコトが伺え、上手いなぁの一言。三作目は、セルティック(中村俊輔のいる)応援の為、ローマへきた若いスコティッシュの三人がメイン。もちろん監督はスコットランドに馴染みの深いケン・ローチ。この三作目に絞って書いていきます。

スコットランドからローマへやってきた若者三人、地元セルティックがローマと戦うチャンピオンズリーグが待ちきれない。そんな中、車掌が検札にきてから状況が一変。ジェムジーのチケットがない・・・!

セルティックファンはアイリッシュ系の人々が多く、とにかく熱狂的。突然大声を張り上げて応援歌を唄うなんて、グラスゴーにいるととても日常的。もちろん中村も歌に入ってる。彼の活躍は、私のグラスゴー暮らしに影響がありました。というのも、地元民に「ナカムーラ グレイト~♪」と気軽に声をかけられるように(笑)『トレスポ』ロケ地巡りの一環として、ベグビーがグラスをブン投げたバーへ行った時なんて、丁度セルティックの試合をやっていた為に試合を観にきた日本人と思い込まれ、なんの疑いもないウェルカム~!!!な雰囲気に飲まれて否定する勇気もなくし、一緒に写真撮ってとせがまれたりしましたから。

(因縁のセルティックvsレンジャーズ戦、スタンドからみるこの光景は圧巻)

作品にも声だかに応援歌を唄うシーンが挿入されていて、懐かしく感じる。彼らにとっては公共の場とか列車の中だとか関係ないし←いっぱいみました、こういう人達(^-^; 訛りも激しく、作品中の三人も久し振りに聞いた容赦ないバリバリのスコッツ弁。これにどれ程悩まされたか知れないのに、今聴くと人懐っこく感じるから不思議。三人組のうち二人は、『Sweet Sixteen』にもキャストされたマーティン・コムストンとウィリアム・ルアン。『Sweet Sixteen』の時から、マーティンの確固たる存在感が気に入っていて、それは今作も健在。前作じゃ悲壮感漂った二人の、明るい表情がみられてなんか嬉しい。

(『Sweet Sixteen』より 黒髪:マーティン、赤髪:ウィリアム)

弱者が向き合う現実を、余すところなく真摯に捉えてきたケン・ローチの作品は、やるせない感情が残るものも多いけれど、今作はスカッと終わってくれます。スコティッシュの人のよさがストーリーを支え心地よい余韻が残る、普段のローチは苦手な方にもおススめ。もう一度イギリスに住むならやっぱりロンドンな私も、愛着がより強いのは何故かグラスゴー。冬の天候さえなんとかしてくれたら、いうことないんやけど。

 

SWEET SIXTEEN

 

 

SWEET SIXTEEN

  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
  • 発売日: 2003/08/22
  • メディア: DVD

 

◇監督: エルマンノ・オルミ<Ermanno Olmi> アッバス・キアロスタミ<Abbas Kiarostami> ケン・ローチ<Ken Loach> ◇脚本: エルマンノ・オルミ<Ermanno Olmi> アッバス・キアロスタミ<Abbas Kiarostami> ポール・ラヴァーティ<Paul Laverty> ◇撮影: ファビオ・オルミ<Fabil Olmi> マームード・カラリ<Mahmoud Kalari> クリス・メンゲス<Chris Menges> ◇音楽: ジョージ・フェントン<George Fenton> ◇出演: カルロ・デッレ・ピアーネ<Carlo Delle Piane> ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ<Valeria Bruni-Tedeschi> シルヴァーナ・ドゥ・サンティス<Silvana De Santis> フィリッポ・トロジャーノ<Filippo Trojano> マーティン・コムストン<Martin Compston> ウィリアム・ルアン<William Ruane>


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berry

中村俊輔がセルティックだということはもちろん知っていたけど、ホームがグラスゴーだったとは . . . つい最近知りました。(笑)
わかったときは、まず蟻銀さんのことが浮かびましたよ。
蟻銀さんのグラスゴーの写真も。
俊輔の試合はセリアAのときからずーーーっとTVで観てます。(わたしは途中で寝ちゃうけど。笑)
TVで観ていて、寒いのに応援は熱い!といつも感心しています。
現場じゃなくても写真でも、ホント圧巻を感じます。すごい熱気!
by berry (2007-01-15 23:46) 

こんばんは~
キアロスタミが好きなので観ておきたい作品なのだが、何時観れることやら~な感じです。
私もセルティックがグラスゴー本拠地だと知りませんでした。
蟻銀さんのこの記事を読んで、良く英国映画で見る酒場のサポーターたちはまさにそのまんまなんだなぁ~と(笑)
映画と違って、今回はACミラン戦ですが、もちろん俊輔のセルティック応援していますよ!!
by (2007-01-16 01:37) 

ご訪問ありがとうございました!
「麦の穂をゆらす風」もちろん心に残るいい映画でしたが、個人的にはこっちの映画がより泣けました。
こちらからもトラックバックさせていただきます。
by (2007-01-16 19:07) 

preterite

蟻銀さん、こんにちは。
こちらのブログにお越しくださりありがとうございました。

ケン・ローチは重い映画が多いのでつい敬遠してしまうのですが、今回のは珍しく?すっきりとしたエンディングで映画自体の終わり方としてもよかったですね。
主演の二人が「Sweet Sixteen」にも出ているとは知りませんでした。
この映画も機会があったらぜひ見てみたいと思います。といいつつやっぱり重い映画なのでしょうか・・・?
by preterite (2007-01-16 21:16) 

クリス

皆さん、nice!にコメントをありがとうございます♪

>berryさん
俊輔によってグラスゴーの知名度も上がったなぁなんて思っていたけど、けっこうご存知ない方も多いですよね。私はサッカーはみないし、セルティックの試合がみれる環境もないんですが、グラスゴーにいた頃はおのずと中村の活躍が嬉しかったです。

>トチオさん
映画に観る英国のサッカー熱は、ほんとうにそのまんまなんですよ~!私も生でみてビックリしました。まるで勝敗が彼らの人生を変えてるようです。私もセルティック応援しますよ~マフラー持って(笑)

>REiさん
「麦の穂をゆらす風」、今週中に観てきますね♪その為に「マイケル・コリンズ」を借りて予習もしたし。「明日への~」は油断してると最後にやられますよね。

>preteriteさん
『Sweet Sixteen』は重いといえば重いかもしれませんが、『ケス』程でもなく、やるせない気持ちになりますね、きっと。ただ、見応えはあるし、いちばん好きなローチ作品かもしれません。
by クリス (2007-01-16 22:35) 

sora

こんばんは。
nice!&コメントありがとうございました!
グラスゴーに住んでらっしゃったんですね。
セルティックファンの様子・・、蛾銀さんが巻き込まれている様子・・・、楽しく読ませていただきました。
俊輔選手がセルティックにいる時にこの映画を観れたのは楽しかったな・・と思います。(何となく親近感を持って観れたので。)
また、オジャマさせていただきます♪
by sora (2007-01-16 23:44) 

クリス

soraさん、こんにちは。こちらこそnice!にコメントをありがとうございます♪
イギリスのサッカーファンは、何処行ってもけっこうスゴイです。聴いてないのに親切に得点やらどっちが勝ったって教えてくれる人がいるし、聴かなくても明らかにファンだなって人の表情をみれば、勝敗がわかることがよくありました。
中村俊輔も、グラスゴー暮らしが気に入ってるようですね☆
by クリス (2007-01-19 13:59) 

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