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リトル・ミス・サンシャイン (2006) US <Little Miss Sunshine> [film reviews]

   歳とともに涙腺がゆるむのに、年々引き締まってる気が。映画観はじめの頃は、泣く映画=良い映画と思い込み、次第にあざとい泣かせは冷静に対処するようになり、最近は作品と距離をおくことが多い。去年1年間、これは泣いたなぁという作品は、『ブロークバック~』と『イノセントボイス』くらい。なのに今作には大泣き笑いさせられました(笑)

   家族崩壊寸前のフーヴァー家。パパは、自作ハウツー理論を振りかざして「負け犬」を寄せつけないし、息子は信念の元に誰とも口を利かない、妹は無理なミスコン優勝を信じているし、グランパはドラッグが手放せない。そこへ自己崩壊してしまったママの弟(ゲイ)も居候することになり、この不協和音ぶりがハンパじゃなく圧倒される。というか不快感さえ感じる。

   観終わってから気づいたのは、この作品は家族の"再生" だったんだなということ。"再生" というキーワードにはとても興味を惹かれます。都市再生の論文を書いていた時も、人の浮き沈みに似てるなぁと、幾度となく感じました。再生しようとする都市に人の一生を重ねて、とても愛着を感じたんです。

   バラバラだった家族が、あることをきっかけに一つのことに向かっていく(文字通りぼろワーゲンに乗って)姿は素の部分が多くてイイです。。道中も一筋縄じゃいかないドタバタ振りが可笑しいけれど、コミュニケーション、触れ合い、協力といった隠れキーワードがあったなぁと、今になって感じます(上記キーワードは都市再生にも通じるし)。

   一時、私が日本にいない間に流行ったキーワード、「勝ち組」と「負け組」(こういう大人の認識が格差社会の原因となり、子供のいじめを誘発してる!)をおちょくってるテイストも小気味良かった。そして、圧巻はラスト。どっと笑い、ポロポロと涙がこぼれる意外な結果となりました。書かないけれど好きなフレーズも多かったし、是非劇場へ行って観て欲しいなぁ。

◇監督: ジョナサン・デイトン<Jonathan Dayton> ヴァレリー・ファリス<Valerie Faris> ◇脚本: マイケル・アーント<Michael Arndt> ◇撮影: ティム・サーステッド<Tim Suhrstedt> ◇音楽: マイケル・ダナ<Mychael Danna> ◇編集: パメラ・マーティン<Pamela Martin> ◇出演: グレッグ・キニア<Greg Kinnear> トニ・コレット<Toni Collette> スティーブ・カレル<Steve Carell> アラン・アーキン<Alan Arkin> ポール・ダノ<Paul Dano> アビゲイル・ブレスリン<Abigail Breslin>


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コメント 13

ken

観る人の年齢によって感情移入する登場人物が違って
幅広い層に受け入れられる見事な脚本だと思います。
「家族の再生」は、ここ数日のバラバラ殺人事件を鑑みても判るとおり
誰もが心の奥底で望んでいることであり、誰の心にも訴えるものがある。
この作品は観る人の数だけ受け止め方が異なる、
見事なまでにニュートラルなポジションにいるロードムービーの傑作だと
思います。
by ken (2007-01-11 23:15) 

おっとぉ

本当にたくさん映画を観ておられるんですね・・・って、前回も同じコメントを書きましたが(笑)。本当に感心します。
この映画は面白そうですね。蟻銀さんのコメントを読んでいて、観たくなりました(映画館で観るとなると子供を置いていけないという障害があるんですが(^^;)
by おっとぉ (2007-01-12 01:09) 

ジジョ

はじめまして(^-^) TBさせていただきました。
わたしもラストは「えぇっ!」と思いつつ、
笑いつつ、泣きつつ、、でした☆ イイ映画ですよねー。
by ジジョ (2007-01-12 02:25) 

クリス

kenさん、こんばんは。
そうですね、バランス良く年齢層をカバーしていたし、観客の立場によって思い入れが異なったり、強い主張は一切なくとも、誰もが心の奥で望んでいることを体現したようなドラマでした。家族団らんでこの映画を観たら、変化があるでしょうね~、きっと。nice!ありがとうございました☆

おっとぉさん、こんばんは。
実は今度の日曜日は初TOEICを受けるんで、本当はこんな映画ばっかり観たりブログ書いたりしてたらいけないんですよねぇ。TOEICも慣れですから、時間配分には気をつけないと・・・。映画託児所、あるといいなぁって前から思ってました。子持ちの友達を映画に誘えないんで。きっと流行ると思うんですよね。nice!をありがとうございまーす♪

ジジョさん、はじめまして。TBありがとうございます。ほんっとにラストはビックリしましたよね。楽しそうで、私も加わりたかったですが(苦笑)又、後ほどお邪魔しますね。
by クリス (2007-01-12 23:38) 

こんにちは。おっしゃる通り、今の世の中「勝ち組」「負け組」と格差をつけることがイジメ問題なんかにも通じるのかもしれませんが、この映画は団結すればそれが乗り越えられると教えてくれてるようでした。テーマは暗いのに、ミョーに明るくって何か不思議な力をもらった感じがしますね。
by (2007-01-14 07:39) 

クリス

katoyasuさんこんばんは。nice!ありがとうございます♪家族再生、ほんとに素敵でした。しかも本人達が気づかないうちに団結してた所、ツボでした。もう一度観たいと思わせる作品にもう出会ってしまったなんて、今年は幸先良さそうですね!
by クリス (2007-01-15 22:20) 

こんばんは~
やっと今年1発目としてコレ観れましたよ。
う~ん実にアメリカらしい映画だった印象かな。
とにかく、解りやすい状況だった前半から、娘のミスコン出場という突発イベントにより再生していく家族。サラッとした演出ながらなかなか奥深い作品になっている印象です。
ただ、やっぱり家族が1番という終わり方がいかにもアメリカらしいなぁと思いましたね。
とにかく、家族皆さん抜群のキャスティングで素晴らしい映画でした。
by (2007-01-20 01:10) 

クリス

トチオさんこんにちは。nice!をありがとうございまーす♪
私も映画館一発目はコレでしたね。今の所、映画館に観に行った作品はどれも素晴らしいです(厳選してますから~(笑))。確かにアメリカっぽくて、それが逆に嫌じゃなかったのが大きいですね。家族を描いたアメリカ映画は『普通の人々』から『アメリカンビューティー』までけっこう好みなんですが、まったく似通わないアプローチから描いたこの作品は、新たな発見のようでした☆
by クリス (2007-01-20 13:16) 

りんこう

こんばんは。
本作は近年観た映画の中では、本当に忘れられない作品となりました。
アカデミー賞を獲らなくても、素晴らしい映画であることに変わりないですが、
獲ったら面白いですよね。
アメリカもこういう映画を望んでいるのなら、少しホッとできます。
by りんこう (2007-01-31 01:57) 

クリス

りんこうさんこんにちは。nice!をありがとうございます。
そうですね、このテの作品がオスカーというのはイメージが沸きませんが、コメディだと『恋に落ちたシェークスピア』や『アメリカンビューティー』の受賞がありますね。ちょっとそれらのたぐいとは別物感はありますが。
アメリカも、外から観る面と内部とのギャップがあって、中の人が作るとこういう作品になるんじゃないでしょうか。アメリカもそのうち行きたいです。
by クリス (2007-01-31 13:22) 

coco030705

蟻銀さんへ
さすが蟻銀さん、↑に色々なキーワードがでてきましたね。
家族の再生、勝ち組、負け組など。こういうものが、うまく
織り込まれた作品でした。
人生で「勝つ」というのはどういうことなのか、少なくとも
コンテストや何かで一位になることじゃない、ということが
大人になるにつれてわかってきました。高校生ぐらいまでは、
競争に勝つことと思い込んでましたが。
本当の意味での人生の「勝ち組」になりたいものです。
by coco030705 (2007-02-06 16:19) 

まみりん

こんにちは。
もう最高に可笑しくて、笑いすぎて泣いてるんだか、ジ~ンときて泣いてるんだかわかんない状態になってしまいました。
家族個々のキャラクターがしっかりしてて、バラバラなのに見事にはまり合う展開が、とてもよかったです。
TBさせてもらっちゃいます。
by まみりん (2007-02-06 16:25) 

クリス

cocoさん、こんにちは~♪nice!をありがとうございます☆
この作品、いろんなキーワードが秘められてましたよね。こんな不協和音家族をどうやってまとめるのかなって思っていたら、まとまる気配のないままラストを迎え、どうするのかなぁって思ったらあのダンス!(笑)パワフルでした~。物質的な「勝ち組」に憧れる気持ちも時々芽生えますが、死ぬ時に豊かな気持ちになれるのは、そういうことじゃないんですよね。良い映画に教えられる真の価値観を、たいせつにして生きたいと思います。

まみりんさん、こんにちは☆nice!をありがとうございます♪
私もそんな状態でしたー^^ 濃いキャラばっかり集まっちゃって、ママが可愛そうでしたよ、ほんとに。
後でお邪魔しますねっ
by クリス (2007-02-08 16:51) 

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