25時 (2002) US <25th Hour> [film reviews]
ある年の東京国際映画祭に、初監督作『僕たちのアナ・バナナ』と共にエドワード・ノートンがきたことがありました。役者としての才能はもちろん、彼の知的な印象とアンニュイな顔(といっていいのかな?)が好きな私は、「もうだいぶ忘れちゃったよ」と弁解しつつ照れ笑いの混じった大阪弁を披露した彼に、心をくすぐられれました。祖父を手伝って海遊館建設に関わっていた頃、2年程大阪にいたとか。
そんな彼がスパイク・リー監督と組んだ『25時』は、スローな展開ながらも噛み締めるような台詞が散りばめられている。ディヴィッド・ベニオフの小説を原作とするこの映画も、スパイクの人物を深く掘り下げる作風と相まって、文学的な雰囲気が色濃く感じられる。
N.Yに住む麻薬ディーラーのモンティは、麻薬密売の7年の刑を受け、24時間後には収監される。最後の夜、ガールフレンドと子供時代からの親友二人(フィリップ・S・ホフマン、バリー・ペッパー)、父親に別れを告げ、麻薬組織との関係を清算しモンティはなにを思うのか---
9.11後のN.Yを描いた作品として、グランドゼロの風景が描かれており、その瞬間息を呑むような緊迫感を味わうが、監督にとってこのシーンの挿入はとても自然な成りゆきだったよう。そこに漂うのは喪失、N.Yが失ったもの、モンティが失ったものの大きさの計り知れなさが伝わる。その大きさに不安を抱くのは、彼の友人達のみならず観ている私達にとっても一緒だ。
何故それらを失ってしまったのか。モンティは被害者というよりは加害者として、彼自身が繰り返す「自業自得」的な所が幾分あった。果たしてアメリカの姿勢はどうか?監督はベルリン国際映画祭において、ブッシュ批判をする為に確信犯的にインタビューに応じたようだ。
スパイクの元には、一緒にシゴトをしたいと願っている俳優がいつも集まってくる。エド・ノートンもその一人。映画祭の時の彼はスターオーラなんてちっともなく、ヒョロっとした白人の兄やんだったけれど、画面の中の彼のカリスマ性といったら!きっとブラピも競演したことを後悔してるハズ。そういう俳優のほうが、七変化も八変化もいとも簡単にこなしてしまうのか。ケビン・スペイシーのように(彼もオフ時のオーラゼロ&この二人、実は仲良しみたい)。
アナ・バナナってタイトルはさておき、脚本が良く、面白い作りになってます。
お早うございます。
記事に関係は無いのですが、
蟻銀さんは「サイト名」をまだ付けておられないのですよね。
「どんなんかな~」と期待して待ってます。
by 敏 悌次 (2007-01-09 10:28)
宝塚さん、こんばんは。
そうなんです、サイト名がそのまま空白になってます・・・。いろいろ案はあったんですが、ピタッとくるものもなくここまできてしまいました (^-^;) この先、サイト名がつくのかもちょっと疑問になってきましたよ~!
by クリス (2007-01-09 18:39)