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レイヤー・ケーキ (2004) UK <Layer Cake> [film reviews]

絵画のようなこのポスターに惹かれ、期待を胸いっぱいに映画館へ。中央の、クリームたっぷりの ''レイヤー・ケーキ'' がニクイ。

UK発・スタイリッシュクライムフィルムの代表格というと、きっと誰もが納得の「ロック、ストック&スモーキングバレルズ」が浮かぶ。そして、同じくガイ・リッチーが監督した「スナッチ」か(私的には↑より質が落ちたとしかいえず、イマイチ)。本作、「レイヤー・ケーキ」もこの路線をいく。しかも上記二作品をプロデュースしたマシュー・ヴォーン自らが監督をして。これはけっこうなプレッシャーやったろうと想像するのに、彼のダイレクションは適度に力が抜けていて、余裕さえ感じられた。ツボな選曲から、カメラワークから、台詞まわしからと、これ程にセンスの良さ&スパイスの効いたひねりをみせつけられると、イギリス料理のセンスのなさが、ますます謎めいてくる。

主人公(ダニエル・クレイブ)の表の顔は不動産賃貸業、裏の顔は麻薬ディーラー。自ら作った ''ゴールデンルール'' に忠実に従い、順調に富を築いていた。そろそろ裏の世界とはおさらばしようとした頃、ボスから二つの依頼が舞い込む。簡単に終わるはずだったこの依頼に振り回され、ドツボの展開にはまり込む。

この二つの依頼を引き受けることが、彼の ''ゴールデンルール'' を犯してしまっていることは容易に察知が着く。この辺りは甘いとみるか、登場人物の多さや、畳み掛けるようなストーリー展開に遅れをとらない為の優しさとみるか、判断が分かれるところ。普通なら気になるモノローグの多さも、視覚的な楽しみを同時進行させている為に許されていく。「ロック、ストック~」のような笑いはなくも、クスッとさせる(特に原語を聞いていると)遊びシーンは幾つか挿入されていて、ヒーローには程遠い、主人公の人となりがみえてくる。ダニエル・クレイグを持ってきたのは大正解じゃないかな。写真をみる限り、とても30代にはみえない(38歳)老け顔に、ショボっとした目が愛嬌なのかなんなのかわからないチャームポイント、次期007には向かないって声も少しはわかる(論議の中心は髪と目の色だとしても)。しかし、「ミュンヘン」といい本作といい、スクリーンの中の彼は、しなやかな身のこなしにダイナミックな肉体美、硬いも柔らかいも可能なキャラクター変化が容易(風貌にも助けられたか?)な上、なんといってもスマートな装いがとても似合う。少し惚れてしまったくらいに。

そんなダニエルを筆頭とした渋めな役者陣にも支えられた今作、イギリスにいた頃によくみかけた、TV俳優も多い。私が去年ハマった「ザ・インタープリター」はクマンクマン役、ジョージ・ハリス(写真、右から二人目)のキレっぷりに、余りにキレが良すぎてシュールな笑いを誘った辺り、ブラックな製作者の意図と感じたけれど、考えすぎかも。シエナ・ミラーは意外な程に登場しない(しかも可愛くない)から、こちらには期待せぬよう。

 最後に、主人公が告白するあること。これを聞いて仰け反ってしまった。ネタばれって程もない、本編とは関係のないネタ、なのに参った~。とはいえ、知らない方が絶対に良いし、なんの情報もないままに是非観て欲しい1本。そして、あのラストは良しなのか語って欲しいデス。DVDももうすぐ発売やしね。

 

レイヤー・ケーキ コレクターズ・エディション

 

 

 

レイヤー・ケーキ コレクターズ・エディション

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2006/11/22
  • メディア: DVD

 注目株のダニエル・クレイグのFilmographyをみてみると、観てるのに気がついてないパターンが幾つかありました。たとえば↓

エリザベス

 

 

エリザベス

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2000/04/05
  • メディア: DVD
 
永遠のアフリカ

 

 

永遠のアフリカ

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2000/12/22
  • メディア: DVD

 

ロード・トゥ・パーディション 特別編

 

 

ロード・トゥ・パーディション 特別編

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2003/03/19
  • メディア: DVD

ほんとうに、キレイさっぱり覚えてない。とはいえ、彼は今年最大の収穫かも。

◇監督: マシュー・ヴォーン<Matthew Vaughn> ◇原作:脚本: J.J. コノリー<J.J. Connolly> ◇撮影: ベン・ディヴィス<Ben Davis> ◇音楽: リサ・ジェラード<Lisa Gerrard> アイラン・エシュケリ<Ilan Eshkeri> ◇編集: ジョン・ハリス<Jon Harris> ◇出演: ダニエル・クレイグ<Daniel Craig> コルム・ミーニイ<Colm Meaney> ケネス・クラナム<Kenneth Cranham> ジョージ・ハリス<George Harris> ジェイミー・フォアマン<Jamie Foreman> シエナ・ミラー<Sienna Miller> マイケル・ガンボン<Michael Gambon>

 


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coco030705

ごぶさたです。お元気そうですね。
蟻銀さんの解説を読んだら、すごくおもしろそう。「ロック・ストック~」は
友達にDVDを借りる予定です。
この主人公のダニエル・クレイグは、新007なんですよね。私は見た感じが
007ぽくないと思ったんですが、ボディービルダーのような体つきですよね。
やっぱり身のこなしがスタイリッシュなんでしょうか。
「エリザベス」と「ロード・トゥ・パーディション」は見ましたが、彼が出演しているなんて、全然わからなかった。やっぱり主役でないと、目立たないのでしょうか。ともあれ、「レイヤー・ケーキ」見てみたいです。
by coco030705 (2006-10-25 20:20) 

ごぶさたです。
ダニエル・クレイグは最近映画館でジェームズ・ボンドとして観れるようになりました。予告観た感じではなかなかハマッテル感じでしたが、本作もジェームズ・ボンドですって言われればそう見えなくもないなぁ~(笑)
個人的には写真右端の人をどこかで観た事があるんだけど・・・思い出せない。
『レイヤー・ケーキ』ってタイトルは知ってたけど、本当にケーキの事だって思わなかったな。なんか別のモノだと思ってました。
機会があったら積極的に観ちゃいますね~

話し変わって
←のスワ通信簿。
土橋引退なのですね~
私は巨人ファンなんですが、土橋には痛い目に遭わされたイメージが強いので、私も感慨深いものがありますよ。良い選手でしたね~
by (2006-10-26 00:08) 

クリス

cocoさん、ご無沙汰してましたぁ。nice!ありがとうございます。
少し展開が読めてしまう部分はなくもないですが、なんたってダニエル・クレイグが魅力的♪逆三角形ボディーも堪能できます。「ロック、ストック~」が好きなら、これもきっと好みですよ~。でも、ちょっと似かよりすぎてると感じるかもしれませんね。

トチオさん、ご無沙汰です~。nice!、ありがとうございました。
本作でも銃をかまえるシーンが、ボンドっぽくて笑えました~。撮影してた頃は、まだまだボンド役も決まってなかった頃なんですよねぇ。
右端のコルム・ミーニイは、映画やと「愛と哀しみの旅路」や「ザ・コミットメンツ」etcに出演してるようです。

話し変わって。そうなんですよ~。いぶし銀の活躍が目に焼きついている土橋選手が引退なのです(涙)楽天の飯田選手といい、ヤクルト黄金時代を支えた選手がいなくなるのは、この上なく寂しく、時の移ろいを嫌でも感じますね。
by クリス (2006-10-26 23:09) 

敏 悌次

こんにちはデス。
確かにこのポスターはインパクト満点ですね。
ダニエル・クレイグって知りませんデス。
私、何を隠そうキム・ベイシンガーのファンで「永遠のアフリカ」はDVDで何度も観ましたが、そんなヒト出てました?キムの旦那の狩猟仲間かなんかでしょうね。その後「大化け」したのかしら?今後気をつけます。(笑)
by 敏 悌次 (2006-10-27 17:42) 

クリス

宝塚さんこんにちは~。こちらにもコメントにnice!とありがとうございます♪
私は「永遠のアフリカ」は1度しか観てなくて、しかも退屈に感じてしまってよく覚えてないんですが、狩猟仲間の1人だったんですかね~。彼は本国イギリスじゃ有名な俳優ですが、世界的に顔が知られるようになったのは、ここ最近といえますね。「007~」楽しみなんですよ~。
by クリス (2006-10-31 08:34) 

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