ブラックホーク・ダウン [2008年 レビュー]
「ブラックホーク・ダウン」(2001年・アメリカ) 監督:リドリー・スコット 製作:ジェリー・ブラッカイマー
これはソマリア内戦に介入したアメリカ軍とソマリア民兵との間で、1993年に実際に起きた「モガディシュの戦闘」を映画化したものだ。
「モガディシュの戦闘」はクリントン大統領(当時)がソマリアからの撤退を決めた言われる銃撃戦で、タイトルにある「ブラックホーク」とはアメリカ陸軍に配備されたヘリコプターの名称。さらに「ブラックホーク・ダウン」とは“墜落”を告げるコールである。
監督、プロデューサー、あるいは俳優の名前で、この映画を観ようとする人は少なからずいるだろう。けれど次の条件に該当しなければ僕は観る必要はないと思う。
①アメリカ人であること。
②米軍のソマリア撤退に興味があること。
つまり、「ソマリア紛争に興味のない日本人は特別観なくてもいい」という意味だ。
なぜなら。これは米軍のプロパガンダ映画だから。
唯一「プロパガンダ映画とはどういうものか」という目線で観るなら、ソマリア紛争に興味のない日本人も観る価値があると思う。
観ている途中、僕はうかつにも「エアガンで戦争ゲームをやってみたかったな」と思った。
まずスリルがある。一瞬の判断ミスが命取りになる緊張感。
男のロマンがある。仲間を救うために危険をいとわない充足感。
そしてロイヤリティがある。与えられた任務を遂行する達成感。
「ブラックホーク・ダウン」は男なら誰もが一度は味わってみたいと思うカタルシスを静かにあおる。
うまいことに本作には物分かりの悪い上官もいなければ、協調性のない部下もいない。軍内部の問題は一切描かれていないから観客が身内に不満を抱くことはまずない。敵はソマリア民兵のみ。これでアメリカ人男性の士気が揚がらなければウソだ。
その意味でリドリー・スコットの演出力はすごいと思う。余計な説明と横軸のストーリーを廃してとことんリアリティにこだわり、観客の洗脳に成功しているからだ。
プロパガンダ映画としてのとどめの一言はこれだった。
「なぜ戦うのかって?そこに仲間がいるからだ」
少なくとも女子は観る必要なし。妻も観たことを後悔していた。
乗せられやすい男子は自分を戒めるために観るといい。
僕も大いに反省をさせられた。
これはソマリア内戦に介入したアメリカ軍とソマリア民兵との間で、1993年に実際に起きた「モガディシュの戦闘」を映画化したものだ。
「モガディシュの戦闘」はクリントン大統領(当時)がソマリアからの撤退を決めた言われる銃撃戦で、タイトルにある「ブラックホーク」とはアメリカ陸軍に配備されたヘリコプターの名称。さらに「ブラックホーク・ダウン」とは“墜落”を告げるコールである。
監督、プロデューサー、あるいは俳優の名前で、この映画を観ようとする人は少なからずいるだろう。けれど次の条件に該当しなければ僕は観る必要はないと思う。
①アメリカ人であること。
②米軍のソマリア撤退に興味があること。
つまり、「ソマリア紛争に興味のない日本人は特別観なくてもいい」という意味だ。
なぜなら。これは米軍のプロパガンダ映画だから。
唯一「プロパガンダ映画とはどういうものか」という目線で観るなら、ソマリア紛争に興味のない日本人も観る価値があると思う。
観ている途中、僕はうかつにも「エアガンで戦争ゲームをやってみたかったな」と思った。
まずスリルがある。一瞬の判断ミスが命取りになる緊張感。
男のロマンがある。仲間を救うために危険をいとわない充足感。
そしてロイヤリティがある。与えられた任務を遂行する達成感。
「ブラックホーク・ダウン」は男なら誰もが一度は味わってみたいと思うカタルシスを静かにあおる。
うまいことに本作には物分かりの悪い上官もいなければ、協調性のない部下もいない。軍内部の問題は一切描かれていないから観客が身内に不満を抱くことはまずない。敵はソマリア民兵のみ。これでアメリカ人男性の士気が揚がらなければウソだ。
その意味でリドリー・スコットの演出力はすごいと思う。余計な説明と横軸のストーリーを廃してとことんリアリティにこだわり、観客の洗脳に成功しているからだ。
プロパガンダ映画としてのとどめの一言はこれだった。
「なぜ戦うのかって?そこに仲間がいるからだ」
少なくとも女子は観る必要なし。妻も観たことを後悔していた。
乗せられやすい男子は自分を戒めるために観るといい。
僕も大いに反省をさせられた。
ブラックホーク・ダウン スペシャル・エクステンデッド・カット(完全版)
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- メディア: DVD
これ、何時仮に行ってもレンタル中なんですよ。
しかし、この記事を読んでますます観たくなりました。
頭を空っぽにしてカタルシスに浸りたいです。
大藪晴彦を読むようにw
by きりきりととと (2008-02-04 23:51)
男ってどうして破滅型の人生に憧れるんでしょうねえ(笑)。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-02-05 00:42)
ゾンビ映画をみているようだって意見もありました。プロパガンダ映画好きとしては見ずにはいられない映画です。(DISCASでレンタル可能ならいいんだけど)ちなみにハニーコミヤマはだいっ嫌いな映画といってました…。
by 瑠璃子 (2008-02-05 10:45)
オーランド・ブルームに釣られて映画館で鑑賞しました・・・
↑出演してましたよね
はい・・奥様と同じです・・観ながら何度か後悔しました;;
by (2008-02-05 11:52)
>瑠璃子さん
リドリー・スコットって人間の身体を真っ二つにするのが
好きなんですよね。だからかも知れません(笑)。
>Bettyさん
オーランド・ブルーム、早々に退場しましたよね。
それで後悔しました?(笑)。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-02-05 12:22)
先日WOWOWで放送されてましたよね
何回目かの鑑賞だったんですが
いつも、例のセリフで興ざめしてしまいます
kenさんが書いている通り、男としては盛り上がるんですが・・・・・
最後にコンナ作品を見た事を後悔してしまう物語です
by 魚河岸おじさん (2008-02-05 16:31)
何回も観てしまう気持ちも分からなくないですけどねw
麻薬ですよ、コレは。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-02-05 16:34)
うーむ、どうなんだろう。完全なプロパガンダなのだろうか?
リアルタイムでこの事件の報道を見聞きし、数年を経て映画化され
て見たとき、確かに疑問に思いました。対峙するイスラム主義の
アイディード派の民兵を悪辣な奴らという感じに描いていて
ちょっと不快でした。いまだにソマリア紛争は続いていますし、
アルカイダとの関連まで指摘されています。
当時のアメリカ人の保守的一般人の見方からすれば、
世界の盟主アメリカ様がせっかく義侠心から世話してやったのに、
100数十人中19名が死んだ、ということでがっかりし、石油もないし、
その後の混乱など関係なく見捨てても
構わんということになった。というアメリカの身勝手さを映画化したの
だなーと思ってました。
(為政者はチェッと思っただけなんじゃないでしょうか?
あるいはSexのじゃまと思ったか)
イラクでは4000人死んでも関わり続けることとの対比が際だちます。
米軍の協力なしでは作れなかった映画ですから軍よりですが・・・
スターシップ・トゥルーパースの方がジョークとして面白いかもしれ
ませんが・・
追伸 忙しくて連絡できずすいません。
by yamagen (2008-02-06 00:15)
一体、誰が何のために、この映画を作ったんだろうなあ、と思うに
国際警察を自負する国が、自国民に向けて作ったとしか思えないワケで。
だから、ソマリアの民兵は邪悪な存在として描かれるのでしょう。
アメリカの身勝手を映画化したとは思いません。
身勝手なアメリカがソマリアを舞台に都合のいい戦意高揚を果たした
と思うのみです。
コメントを頂くのはうれしいのですが、まずはメール下さい。
来週どこかで逢いたいです(笑)。
by ken (2008-02-06 00:36)
プロパガンダにしては作戦のまずさが気になります....。
仲間のために戦うってあたりどうもとってつけたように見えて、ドンパチのスリル感の方が見ごたえありました。でもその分リアルということでしょうか。ベトナム戦争がらみのプロパガンダ映画はヒロイックなものが多いですもんね。
結構なイケメン祭りなんで、女性でも見ている人多いらしいです。でもあまりの残酷さに後悔する人多数のようです。
オーランド・ブルームよりもユアン・マクレガーが出番少なくて勿体無い気がしました。
映像がとってもキレイなのでおどろきました。土ぼこりや日差しを効果的に使ったりして、絵のようでした。さすがリドリー・スコット。
by satoco (2008-02-06 13:19)
素材に「モガディシュの戦闘」を選んだ段階で
“プロパガンダを装わないプロパガンダ”になっていると思います。
ハッピーエンドの戦争映画なんてあり得ないし、
今さらそんなものを見せられて信じるほど愚かな国民じゃないと思うし。
少なくとも僕が「あと10歳若かったら俺だって」と思ったくらいですからねえ。
映像は確かにキレイでしたね。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-02-06 13:53)