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動物、動物たち [2008年 レビュー]

動物、動物たち」(1994年・フランス) 監督:ニコラ・フィリベール

 パリ国立自然史博物館で25年ものあいだ閉鎖されていた「動物学大ギャラリー」のリニューアルオープンに密着したドキュメント。
 永らく日本未公開だった作品が、2月2日から銀座テアトルシネマで限定ロードショーされる。

 僕は剥製士という仕事に興味があって観てみたのだけど、冒頭のカットでまずげんなりした。

11291967.jpg

 このカット。
 トラックに載せられた動物たちはすべて剥製だが、これは明らかにヤラセだ。
 一般的に剥製を運搬する際は一体ずつ梱包するだろうし(実際、本編中にそういうシーンが出てくる)、仮に梱包しないことがあったとしても、幌もついていないトラックで運ぶことなどあり得ないだろう。
 これのどこがドキュメントなのか。
 そう思っただけで、作品に対する興味は大きく減退してしまった。

 ただし剥製士の仕事は面白かった。
 まるでぬいぐるみを作るかのように、哺乳類の剥製を作っていく彼ら。
 そしてそれがストックされるロッカー。映像はおもしろい。

11292168.jpg 11292171.jpg
 
 ある程度想像はしていたものの一番面白かったのは、剥製士のセンスによって動物たちの表情が作られていくという点だ。
 ある動物の頭蓋骨にその皮を被せ、表情を作る上で足りない“筋肉”を粘土で盛り付ける。そして木槌でコンコンと叩いて成形。剥製士の仕事振りはもっともっと見せて良かったと思う。剥製の配置だの運搬だのと言った作業は、逆に言うとどうでも良かった。
 途中ある剥製士がキツネの剥製を前にこんなことを言う。
 「かわいそうにこの子はクルマにはねられて死んだの」
 やはり動物を愛する人たちがこの仕事をしているんだなと分かる。だからこれは剥製士を主役にしたドキュメンタリーにするべきだった。彼らを追えば追うほど彼らの気持ちを深く理解し、冒頭のシーンの演出など出来ないはずなのだ。
 残念。

動物、動物たち

動物、動物たち

  • 出版社/メーカー: バップ
  • メディア: DVD

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コメント 6

江戸うっどスキー

職人さんの仕事っぷりに興味ありです。
じ~っと、観ていたいですね。
by 江戸うっどスキー (2008-01-30 23:33) 

ken

動物の皮を剥いだりするシーンも若干あって、
そこはちょっと引いちゃうんですけどね。
職人さんの仕事振りはとても貴重な映像だと思います。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-01-30 23:41) 

ジジョ

へ〜、こんな映画があるんですね!おもしろそう☆
こないだ「タクシデルミア ある剥製師の遺言」という映画の予告を観て“剥製師”という仕事を初めて認識しました。(この映画はフィクションですが、おもしろそう☆)
すごい仕事ですね、剥製師。。。
by ジジョ (2008-02-07 02:02) 

ken

そんな映画もあるんですか!それも面白そうですね。
ところで、ジジョさんが2000のキリ番ゲットでしたね!
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-02-07 18:34) 

ジジョ

えっ☆2000のキリ番ゲット!?
なんだか、かなりウレシイです☆ 良い事ありそう♪
by ジジョ (2008-02-08 00:24) 

ken

そうです。何か記念品を差し上げたいくらいです。
前田の2000本安打達成記念グッズとか(笑)。
by ken (2008-02-08 03:24) 

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