ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記 [2008年 レビュー]
「ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記」(2007年・アメリカ) 監督:ジョン・タートルトーブ
正月休暇も残すところあと2日。今年はじめての劇場で至福のハシゴをする。
1本目がコレ。
「1作目に比べたら断然おもしろい」という評判をあちこちで聞く続編モノだ。
僕はこの映画を観て、とても感心したことと、とてもガッカリしたことがひとつずつあった。
まずは、とても感心したこと。
それは「とてつもなく壮大なウソを見事な見世物に仕立て上げていたこと」だ。
リンカーン暗殺の実行犯、ジョン・ウィルクス・ブースの日記と呼ばれるものが存在していたことは、過去語られてきた歴史的事実である。そして暗殺の時期に当たる部分が18ページ(一説には24ページ)にも渡って破り取られていたことも明らかにされている。ただしこの日記は「リンカーン暗殺の謎」を解くものではなかったと聞く。
ブースの所持品から見つかったとされる日記
この何の解決も見ていないアイテムをモチーフにして、“おもしろいハナシ”を創造したのが「リンカーン暗殺者の日記」だ。
中味は悪く言えば「嘘八百」である。
リンカーン暗殺をきっかけに、歴代大統領しか読むことが許されていない「秘密の本/BOOK OF SECRETS」という反則ワザすれすれのアイテムを編み出し、それをオリジナルの副題にまでしてしまった。思わず「一体どこまで風呂敷を広げれば気が済むんだ」と言いたくなる。
そもそも、この手の“歴史ミステリー”にはリアリティが必要不可欠だ。
歴史的事実はその当事者を失った瞬間から永遠に解明されない「謎」を生む。
のちに解けない謎を前にして人は想像力を働かせ、その推理を楽しむ。
やがて想像力が限界に来ると、人は手がかりを求める。
手がかり、つまり「新たな事実」である。
歴史ミステリーに必要なリアリティとは、このことだ。
ところがこの映画には問題があった。
映画をヒットさせるためにブラッカイマーが選んだ「歴史」は世界中の誰もが知る、リンカーン暗殺という事件である。しかし有名な事件になればなるほどその歴史は研究し尽くされていて、新たな手がかりを提示することが難しい。
そこでブラッカイマーはある“秘策”を打ち出した。
「リアリティの放棄」である。
ブラッカイマーとタートルトーブはリアリティの無さを突拍子もないアイディアで埋めることにした。それが「自由の女神」であり、英国女王と合衆国大統領の「机」であり、原題の「BOOK OF SECRETS」である。
エンタテインメントに徹したこの思い切りの良さは、素晴らしいと言うほか無いと僕は思う。
キャスティングもいい。
特にエド・ハリスとヘレン・ミレン。この2人のおかげで作品の質はグッと上がっている。
個人的には「13デイズ」でJFKを演じたブルース・グリーンウッドが、本作でも物分りのいい大統領を演じていて、これが何の違和感も無く観られたのが嬉しかった。
反対にガッカリしたのは、リアリティを無視して突っ走ってきた中盤過ぎ、地下の洞窟へ入ったあと。
これはもう「インディ・ジョーンズ」そのままで個人的に興味は激減。完全にどうでも良くなった。ただ子供の頃に「グーニーズ」を、若い頃に「インディ・ジョーンズ」のシリーズを観ていない世代なら娯楽作品として充分楽しめるだろう。
正月のデート映画としては申し分なし。
正月休暇も残すところあと2日。今年はじめての劇場で至福のハシゴをする。
1本目がコレ。
「1作目に比べたら断然おもしろい」という評判をあちこちで聞く続編モノだ。
僕はこの映画を観て、とても感心したことと、とてもガッカリしたことがひとつずつあった。
まずは、とても感心したこと。
それは「とてつもなく壮大なウソを見事な見世物に仕立て上げていたこと」だ。
リンカーン暗殺の実行犯、ジョン・ウィルクス・ブースの日記と呼ばれるものが存在していたことは、過去語られてきた歴史的事実である。そして暗殺の時期に当たる部分が18ページ(一説には24ページ)にも渡って破り取られていたことも明らかにされている。ただしこの日記は「リンカーン暗殺の謎」を解くものではなかったと聞く。
ブースの所持品から見つかったとされる日記
この何の解決も見ていないアイテムをモチーフにして、“おもしろいハナシ”を創造したのが「リンカーン暗殺者の日記」だ。
中味は悪く言えば「嘘八百」である。
リンカーン暗殺をきっかけに、歴代大統領しか読むことが許されていない「秘密の本/BOOK OF SECRETS」という反則ワザすれすれのアイテムを編み出し、それをオリジナルの副題にまでしてしまった。思わず「一体どこまで風呂敷を広げれば気が済むんだ」と言いたくなる。
そもそも、この手の“歴史ミステリー”にはリアリティが必要不可欠だ。
歴史的事実はその当事者を失った瞬間から永遠に解明されない「謎」を生む。
のちに解けない謎を前にして人は想像力を働かせ、その推理を楽しむ。
やがて想像力が限界に来ると、人は手がかりを求める。
手がかり、つまり「新たな事実」である。
歴史ミステリーに必要なリアリティとは、このことだ。
ところがこの映画には問題があった。
映画をヒットさせるためにブラッカイマーが選んだ「歴史」は世界中の誰もが知る、リンカーン暗殺という事件である。しかし有名な事件になればなるほどその歴史は研究し尽くされていて、新たな手がかりを提示することが難しい。
そこでブラッカイマーはある“秘策”を打ち出した。
「リアリティの放棄」である。
ブラッカイマーとタートルトーブはリアリティの無さを突拍子もないアイディアで埋めることにした。それが「自由の女神」であり、英国女王と合衆国大統領の「机」であり、原題の「BOOK OF SECRETS」である。
エンタテインメントに徹したこの思い切りの良さは、素晴らしいと言うほか無いと僕は思う。
キャスティングもいい。
特にエド・ハリスとヘレン・ミレン。この2人のおかげで作品の質はグッと上がっている。
個人的には「13デイズ」でJFKを演じたブルース・グリーンウッドが、本作でも物分りのいい大統領を演じていて、これが何の違和感も無く観られたのが嬉しかった。
反対にガッカリしたのは、リアリティを無視して突っ走ってきた中盤過ぎ、地下の洞窟へ入ったあと。
これはもう「インディ・ジョーンズ」そのままで個人的に興味は激減。完全にどうでも良くなった。ただ子供の頃に「グーニーズ」を、若い頃に「インディ・ジョーンズ」のシリーズを観ていない世代なら娯楽作品として充分楽しめるだろう。
正月のデート映画としては申し分なし。
ナショナル・トレジャー2/リンカーン暗殺者の日記 2-Disc・コレクターズ・エディション
- 出版社/メーカー: ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント
- メディア: DVD
こりゃしかし、たまらんくらい楽しみにしています。
エド・ハリス好きなんですよ。
by きりきりととと (2008-01-06 13:23)
エド・ハリスファンにとってはいい映画ですよ。
「いぶし銀」という言葉がピッタリです!
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-01-06 14:53)
ボクも中盤過ぎは???てな感じでしたが
息子は楽しんでたみたいですよ
余計な回り道をせず、ポンポン問題を解決する潔さに脱帽でした
by 魚河岸おじさん (2008-01-06 16:56)
若い世代には文句無く楽しめるでしょうね。
僕が中学生なら、大絶賛するところですw
by ken (2008-01-06 19:42)
私も、あの大統領は違和感なく、ステキだなと思いました。
そっか、確かにインディジョーンズを知らない世代には、
新鮮なんですねえ。
by kotori (2008-01-10 22:13)
僕たちも「インディ・ジョーンズ」を観たときは、
おもしれー!と思いましたからねえ(笑)。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-01-11 00:08)
遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
観ました、この映画。年明け最初の映画として!
エンターテイメントとしては満足ですけど、ちょっとコミカルに
描かれるところに違和感を感じました。
(これは前作にもありましたけど)
でも、正月映画だから十分です。これくらい、楽しませてもらわ
ないと、ですよね。
今年もよろしくお願いします。
by (2008-01-14 13:11)
こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
お正月映画にはこういうのがいいんです!(笑)。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-01-14 13:54)
出口から入れよ、と思いました・・・。
by はなび (2008-01-15 10:42)
うおー!ホントだ(笑)。
by ken (2008-01-15 10:55)
娯楽作品として良く出来た作品でしたが、
個人的にはあっと驚くような展開も欲しかったなと思いました。
どうしても「インディジョーンズ」と比べちゃいますよね(^^;
by Naka (2008-01-15 23:07)
合衆国大統領の机に、板がなかったのは驚きました(笑)。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-01-15 23:19)