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ナルコ [2007年 レビュー]

ナルコ」(2004年・フランス) 監督・脚本・台詞:トリスタン・オリエ、ジル・ルルーシュ

 いつでもどこでも突然眠りに堕ちてしまう病気「ナルコレプシー」に悩む青年の物語です。
 僕はこの病気知りませんでした。
 知らなかったんだけど、出だし30分が完全にコメディだったので、「もしかしてこの病気って映画のウソなのか?」と思いました。でもやっぱり病気はホンモノ。
 後半は人間の持つ極めて残酷な面をあぶり出して行きます。
 
 途中面白い要素は二つあって、ひとつは「突然眠ってしまうことによって起きる悲劇」。もうひとつは「眠っている間に見る夢」です。
 まず後者から解説すると、ドラマや映画の展開で俗に「夢オチ」と呼ばれる手法がありますが、作り手たちはこれを基本“禁じ手”としています。だって観客の期待を完全に裏切るから。しかし本作の場合はナルコレプシーという病気がエクスキューズになっているので公然と禁じ手を使うことが出来ます。これは主人公を「脚本を書くのが趣味」という設定にした「猟奇的な彼女」以来のウラ技だったと思います。ちょっとフライング気味ではありますが許容範囲。このテクニックは巧かったと思います。ファーストシーンも良く出来てた。
 続いて前者。前半30分とことん滑稽に描いたのが、後半ボディブロウのように効いてきます。
 「今のうちに笑っとけ。そのうち笑えなくしてやるからな」
 そんな監督の思惑にきっとはまることでしょう。観客の感情を見事なまでにコントロールした素晴らしい演出でした。
 ただ欲を言えば、ナルコレプシーという病の特性をもっと生かした脚本は書けたんじゃないかと思います。
 
 途中キテレツなキャラクターを次々と登場させ、ユーモア精神は忘れないまま迎えたエンディングには賛否両論あると思います。
 「入口と出口がまるで違う映画」
 一言で言うとそんな作品でした。だから面白い。
 主人公ギュスを演じたギョーム・カネのキャスティングがハマっていて、感情移入を容易にしてくれます。

ナルコ!

ナルコ!

  • 出版社/メーカー: バップ
  • メディア: DVD

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コメント 5

coco030705

こんにちは。
これは面白そうな映画ですね。世の中には色々な病気があるものです。
いつか見てみたい映画です。
by coco030705 (2007-10-18 21:52) 

蓮花

入り口と出口の違う映画って、下手すると、「あいたたた~!」なことに
なりかねませんよね。
うまくすると、最高にエンターテイメントとして楽しめるのですが。
ナルコレプシー、故リバー・フェニックスの「マイ・プライベート・アイダホ」で、私は知りました。
細かいところを忘れてしまったのですが、切なくて、行き場のない辛い映画だった記憶が邪魔して、見直す勇気がありません。
kenさん、ご覧になってないですか?
by 蓮花 (2007-10-18 22:12) 

ken

>coco030705さん
 そう。悲しいことなんですけど、ホントにいろんな病気があります。
 いつかご覧になってください。nice!ありがとうございます。

>蓮花さん
 「マイ・プライベート・アイダホ」でも同じ病気を扱っていたんですか!
 それは知りませんでした。ちょっと観てみようかな?
 情報&nice!ありがとうございます。
by ken (2007-10-18 23:46) 

non_0101

こんばんは。
前半は楽しく、後半は寂しいなあと思いながら観ていました(^^ゞ
> ファーストシーンも良く出来てた。
本当にびっくりしました~ カバンのボールペンが飛び出しました(笑)
by non_0101 (2007-10-30 22:19) 

ken

カバンからボールペンが飛び出した?!
それはスゴイ!(笑)。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-10-30 22:57) 

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