TOKKO -特攻- [2007年 レビュー]
「TOKKO -特攻-」(2007年・アメリカ/日本) 監督:リサ・モリモト 脚本:リンダ・ホーグランド
監督はアメリカで生まれ育った日系二世。脚本は日本で生まれ育ったアメリカ人。
これは戦後に生まれ、互いの祖国を入れ替えるように育った2人が「神風特攻隊」題材に作った反戦ドキュメンタリーです。
「見方を変える」
とはよく聞く言葉だけど、実は意外と出来ないことです。
僕はこの作品冒頭に挿入されるナレーションで、まず大きな衝撃を受けました。
「特攻」はただ一言、「自爆テロ」と表現されているのです。
僕は気持ちを整理するために「そもそも特攻って何だったっけ?」と考えてみました。
「御国のために“人間爆弾”となり、アメリカ艦隊に多大なダメージを与えること」
つまり「御国のために死にに行くこと」
言われてみれば確かに特攻は、「自爆テロ」以外の何物でもありませんでした。
本編には4人の“特攻隊の生き残り”の方が登場します。
今の時代ですから、“反戦”目線で当時を語るのは当然なのですが、明らかに昭和天皇批判をしている方が1名いらして、昭和38年生まれの僕はかなりドキドキしました。言いたくはありませんが「右翼に刺されるんじゃないか?」と思ったからです。
と、同時に僕がドキドキしてしまうということは、天皇崇拝の教育を間接的にどこかで受けている、ということでもあります。個人的にも天皇制を否定するつもりは毛頭ありません。しかし僕が恐ろしいと思うのは、戦時中の昭和天皇と日本国民の映像を見るたびに、今の北朝鮮とイメージがダブってしまうことです。
当時の日本と今の北朝鮮。いったい何が違うのでしょうか?
閑話休題。
しかし彼の発言は、戦後60余年を経た今だからこそ出来る発言でもあるわけです。
僕もその方の立場だったら、「死ぬ前にこれだけは伝えておかなければならない」と思ったでしょう。それは我々のような部外者ではなく、“御国のために命を落とすはずだった人”しか言えない重要な「抗議」なのです。
それにしても。
「戦争とはギャンブル」だなと改めて思いました。ここのところ「ヒトラー」を見たり、「ハスラー」を見たりしたからそう思うのかも知れませんが、いずれも大事なのは「引き際」でしょう。
本編中、一人の生き残り兵が「原爆で廃墟となった広島の町を見て、戦意を喪失した」と語っています。
僕はこのコメントを聞いて思いました。
「では原爆が落とされなかったら、日本軍はどこまで行ったのか?」
今、この答えを出せる人はいないんじゃないでしょうか?
アメリカにおいて「原爆投下」という行為は、「戦争を早く終結させ、余計な戦死者を出さずに済んだ」と基本肯定的に解釈されています。見方を変えると「確かにそれも一理ある」と言えないでしょうか?
つまり「戦争」には勝者も敗者もなく、また勝者のルールを敗者に課す、あるいは勝者が敗者を裁くこともあってはならず、「戦争」そのものが、必要悪、絶対悪であると改めて思いました。
ただ怖いのは、戦争を伝える人がやがていなくなるということ。
そのためにもこういった作品が重要なのです。
監督はアメリカで生まれ育った日系二世。脚本は日本で生まれ育ったアメリカ人。
これは戦後に生まれ、互いの祖国を入れ替えるように育った2人が「神風特攻隊」題材に作った反戦ドキュメンタリーです。
「見方を変える」
とはよく聞く言葉だけど、実は意外と出来ないことです。
僕はこの作品冒頭に挿入されるナレーションで、まず大きな衝撃を受けました。
「特攻」はただ一言、「自爆テロ」と表現されているのです。
僕は気持ちを整理するために「そもそも特攻って何だったっけ?」と考えてみました。
「御国のために“人間爆弾”となり、アメリカ艦隊に多大なダメージを与えること」
つまり「御国のために死にに行くこと」
言われてみれば確かに特攻は、「自爆テロ」以外の何物でもありませんでした。
本編には4人の“特攻隊の生き残り”の方が登場します。
今の時代ですから、“反戦”目線で当時を語るのは当然なのですが、明らかに昭和天皇批判をしている方が1名いらして、昭和38年生まれの僕はかなりドキドキしました。言いたくはありませんが「右翼に刺されるんじゃないか?」と思ったからです。
と、同時に僕がドキドキしてしまうということは、天皇崇拝の教育を間接的にどこかで受けている、ということでもあります。個人的にも天皇制を否定するつもりは毛頭ありません。しかし僕が恐ろしいと思うのは、戦時中の昭和天皇と日本国民の映像を見るたびに、今の北朝鮮とイメージがダブってしまうことです。
当時の日本と今の北朝鮮。いったい何が違うのでしょうか?
閑話休題。
しかし彼の発言は、戦後60余年を経た今だからこそ出来る発言でもあるわけです。
僕もその方の立場だったら、「死ぬ前にこれだけは伝えておかなければならない」と思ったでしょう。それは我々のような部外者ではなく、“御国のために命を落とすはずだった人”しか言えない重要な「抗議」なのです。
それにしても。
「戦争とはギャンブル」だなと改めて思いました。ここのところ「ヒトラー」を見たり、「ハスラー」を見たりしたからそう思うのかも知れませんが、いずれも大事なのは「引き際」でしょう。
本編中、一人の生き残り兵が「原爆で廃墟となった広島の町を見て、戦意を喪失した」と語っています。
僕はこのコメントを聞いて思いました。
「では原爆が落とされなかったら、日本軍はどこまで行ったのか?」
今、この答えを出せる人はいないんじゃないでしょうか?
アメリカにおいて「原爆投下」という行為は、「戦争を早く終結させ、余計な戦死者を出さずに済んだ」と基本肯定的に解釈されています。見方を変えると「確かにそれも一理ある」と言えないでしょうか?
つまり「戦争」には勝者も敗者もなく、また勝者のルールを敗者に課す、あるいは勝者が敗者を裁くこともあってはならず、「戦争」そのものが、必要悪、絶対悪であると改めて思いました。
ただ怖いのは、戦争を伝える人がやがていなくなるということ。
そのためにもこういった作品が重要なのです。
初めまして。
この映画は未見ですが…
>戦時中の昭和天皇と日本国民の映像を見るたびに、今の北朝鮮とイメージがダブってしまうことです。
>当時の日本と今の北朝鮮。いったい何が違うのでしょうか?
日本は当時から立憲君主制の民主主義国であり、独裁者のエゴで生き地獄と化している北朝鮮なんかと同じにするとは…無知すぎる。
アメリカのホロコースト(原爆投下)まで擁護して…死者達の無念の声が聞こえてこないのですね。
特攻で死んだ方や遺族に「北朝鮮」のような国の命令で死んだ馬鹿だと言ってあげてください。管理人殿が言いたいことはそうなんでしょう?
by 啓親 (2007-07-08 19:48)
>「では原爆が落とされなかったら、日本軍はどこまで行ったのか?」
旧日本軍は邪悪だから放っておいたら何をするかわからない野獣。
と、言いたい訳ですね^^;
貴サイトには「TOKKO -特攻-」という映画の情報を検索して辿り着きました。突然の書き込みをして申し訳ない。
by 啓親 (2007-07-08 20:17)
背景も含めてその前後関係を理解している人はいいんです。
啓親さんも含めて。
それを知らない人たち、戦後生まれが人口の75%を占めるようになった今
若い世代が、誤解しかねないだろうということを言っているわけです。
僕は無知と言われてもいいです。
でもそう思う人すべて世代に「無知」の一言で済ませられますか?
きっとあなたほど頭は良くないと思いますよ。
僕も含めて。
by ken (2007-07-08 23:41)
時代背景も調べず思った事を述べる。
無知、恥知らずは恐ろしい。
by yuki (2007-07-09 16:05)
「無知、恥知らずは恐ろしい」
その通りです。
by ken (2007-07-09 16:08)
はじめまして
「特攻」を「自爆テロ」と一緒にするのはオカシイと思います。
「テロ」は戦地外でも起こるし不特定多数の一般市民も巻き込みます。
「特攻」は敵戦艦に弾として突入したのだから大きな違いがあります。
戦争も特攻も否定すべき行為ですが、「テロ」と同等にされては困ります
by わたる (2007-07-09 17:46)
アメリカ人にとっては、どれも一緒なんでしょう。
僕もその認識には驚きましたけどね。
by ken (2007-07-09 22:40)
特攻自体が、否定されるのは残念です。
大切な人達の為に命をかける事、怖い事ですが必要だと思います。
by よしかず (2007-07-09 22:45)
そうですね。
by ken (2007-07-10 00:59)
ども。「特攻」観てきました。映画自体にはアメリカ人の視点としての限界(特攻と自爆テロはどう違うのか)を感じながらも、あの日系2世監督が自分のルーツとつながる特攻を虚心坦懐に追い求めていく姿は好感が持てました。
by わらばー@見ッチェル (2007-08-13 02:08)
時代が昭和だったらきっと完成も公開も出来なかったでしょうね。
最近、そう思います。
by ken (2007-08-13 10:14)