ダラスの熱い日 [2007年 レビュー]
「ダラスの熱い日」(1973年・アメリカ) 監督:デヴィッド・ミラー 原作:ドナルド・フリードほか
僕が「暗殺」という言葉を知ったのは小学3年生の冬で、その年のクリスマスに「ケネディ」というタイトルの伝記を父が買って来たからだった。クリスマスの夜に玩具じゃなく本を抱えて帰った父に不平をこぼしたのは当然だが、父の「いいから読め」の一言で黙らざるを得なかった当時の僕も情けなくて懐かしい。とまれその1冊は当時9歳だった僕の知的好奇心に火を点けた。それからおよそ30年、僕はケネディに関する本を数えきれないほど読むことになるのだ。
「ダラスの熱い日」は今から20年以上前に1度だけ観ていた。細かい内容は覚えていなかったが、「期待したほど面白くなかった」という記憶だけがあった。
「一体なにが面白くなかったのだろう?」そう思いながらWOWOWでの放送を観る。残念ながらこの作品はDVDになっていない。
驚いたことに冒頭から実に淡々とケネディ暗殺の相談がなされている。それはあらかじめ決められた年間行事の一つのようで、登場人物の誰にも迷いがない。大胆な脚本だ。
ケネディ暗殺から10年しか経過していないアメリカでこの作品を撮るに当たってはかなりの障害があっただろう。事件から30年近く経過した後「JFK」を撮り始めたオリバー・ストーンですら、見知らぬ筋から「製作を中止しろ」と脅迫を受けたくらいなのだから推して知るべし。そういう意味では実に勇気ある映画だと思う。
しかし「期待したほど面白くなかった」という僕の記憶は正しく、実際そのままの感想を今再び抱くことになってしまった。
作品の質を下げている原因は、ドキュメントフィルムを織り交ぜた編集がヘタなことと、決定的な暗殺シーンが「ザプルーダーフィルム」ではなく、チープな再現映像になっていたことだ。
ザプルーダーフィルムを使用していないのが演出だとしたら監督の力量を疑うが、版権問題で使用出来なかったのだとしたら、プロデューサーの力量を疑わざるを得ない。編集は取り返しがつく問題だとしても、ザプルーダーフィルムに関しては致命的だ。まったく残念。
シオドア・ソレンセンの「ケネディの道」から、落合信彦の「2039年の真実」を経由して、ジム・ギャリソンの「JFK」まで、見つけた本の数だけ読んできた者として思うに、暗殺の真相を知ろうとする人々の探究心は前出の映画「JFK」がひとつの到達点だったかと思う。実際、ケネディ暗殺に関わった人間は最早いないわけだし、いまさらニクソンだ、ジョンソンだ、フーバーだと黒幕の名前が挙がったところで、それは“告発”ではなく“歴史の書き直し”でしかないと思うからだ。
しかし、20世紀のアメリカ政治を知る上では「大統領の陰謀」と並んで、観ておいても損はない1本だろう。
僕が「暗殺」という言葉を知ったのは小学3年生の冬で、その年のクリスマスに「ケネディ」というタイトルの伝記を父が買って来たからだった。クリスマスの夜に玩具じゃなく本を抱えて帰った父に不平をこぼしたのは当然だが、父の「いいから読め」の一言で黙らざるを得なかった当時の僕も情けなくて懐かしい。とまれその1冊は当時9歳だった僕の知的好奇心に火を点けた。それからおよそ30年、僕はケネディに関する本を数えきれないほど読むことになるのだ。
「ダラスの熱い日」は今から20年以上前に1度だけ観ていた。細かい内容は覚えていなかったが、「期待したほど面白くなかった」という記憶だけがあった。
「一体なにが面白くなかったのだろう?」そう思いながらWOWOWでの放送を観る。残念ながらこの作品はDVDになっていない。
驚いたことに冒頭から実に淡々とケネディ暗殺の相談がなされている。それはあらかじめ決められた年間行事の一つのようで、登場人物の誰にも迷いがない。大胆な脚本だ。
ケネディ暗殺から10年しか経過していないアメリカでこの作品を撮るに当たってはかなりの障害があっただろう。事件から30年近く経過した後「JFK」を撮り始めたオリバー・ストーンですら、見知らぬ筋から「製作を中止しろ」と脅迫を受けたくらいなのだから推して知るべし。そういう意味では実に勇気ある映画だと思う。
しかし「期待したほど面白くなかった」という僕の記憶は正しく、実際そのままの感想を今再び抱くことになってしまった。
作品の質を下げている原因は、ドキュメントフィルムを織り交ぜた編集がヘタなことと、決定的な暗殺シーンが「ザプルーダーフィルム」ではなく、チープな再現映像になっていたことだ。
ザプルーダーフィルムを使用していないのが演出だとしたら監督の力量を疑うが、版権問題で使用出来なかったのだとしたら、プロデューサーの力量を疑わざるを得ない。編集は取り返しがつく問題だとしても、ザプルーダーフィルムに関しては致命的だ。まったく残念。
シオドア・ソレンセンの「ケネディの道」から、落合信彦の「2039年の真実」を経由して、ジム・ギャリソンの「JFK」まで、見つけた本の数だけ読んできた者として思うに、暗殺の真相を知ろうとする人々の探究心は前出の映画「JFK」がひとつの到達点だったかと思う。実際、ケネディ暗殺に関わった人間は最早いないわけだし、いまさらニクソンだ、ジョンソンだ、フーバーだと黒幕の名前が挙がったところで、それは“告発”ではなく“歴史の書き直し”でしかないと思うからだ。
しかし、20世紀のアメリカ政治を知る上では「大統領の陰謀」と並んで、観ておいても損はない1本だろう。
JFKディレクターズカット、今でもたまに観ています。
by きりきりととと (2007-03-24 10:17)
あれ、長いんですよね~。
だから「たまに観る」勇気もありません(笑)。
でもレビューだけは残しておこうかな。そのためには観なきゃな。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-03-24 11:26)
はじめまして。
私はこの映画をちょっと違う目線で観る時があります。といってもたいした事じゃなくて、狙撃手の役の一人が、昔NHKで放送されていた「大草原の家」に出てくる、町の雑貨屋の店主の人のいいオルソンさんだったので・・・すいません、つまんないコメントで。
by kirikirimura (2007-09-08 23:06)
別のイメージが強い役者さんがいると、全然違う目線になって
しかも「気のいいオルソさんがこんな仕事をしてるのには理由があって・・」
なんてサイドストーリーを想像しちゃってダメですよねー。w
by ken (2007-09-08 23:39)