ルワンダの涙 [2007年 レビュー]
「ルワンダの涙」(2005年・イギリス/ドイツ) 監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ
タイトルから容易に想像が付くとおり、これはルワンダの大虐殺を題材にした作品である。
そう聞けば、これは世界中で絶賛された「ホテル・ルワンダ」の“2匹目のどじょう”を狙った映画か?と誰もが思うだろう。
僕もそんなことを思いながらこの作品を観てみる。
ところが“二番煎じ”にしてはあまりにひねりが無さ過ぎた。「ホテル・ルワンダ」を観た人間からすると、「もっと別のアプローチがあるだろうに」と進言したくなる。…と言うことはどういうことか?
「ホテル・ルワンダ」の製作は2004年。「ルワンダの涙」の製作は2005年。考えてみたらこんなに重いテーマの(しかも、商業的に成功するかどうかも分からない)作品を、誰が好き好んで二番煎じで作ろうと思うだろうか。おそらく世界中の誰も思うまい。ではこの作品が“二番煎じ”でないのだとしたら、「ホテル・ルワンダ」に先を越された段階でこの映画は負けたことになる。作品の内容は“勝ち負け”で語るべきことではないが、これはこれでエンタテイメント業界の非情な現実なのだ。
「ルワンダの涙」はルワンダに駐在していた白人の牧師と教師の視点から、大量虐殺の顛末を描いている。
この事件で西側諸国が犯した罪は大きい。そして白人の目線で事件を語ろうとした原作者(BBCの報道記者)の姿勢は評価していい。しかし「ホテル・ルワンダ」が公開された後だけに、「もっと西側寄りの目線で作って欲しかった」と思う人は少なくないと思う。僕は「一体、誰の都合でこの大量虐殺が黙殺されたのか」、その舞台裏が観たかった。
この作品のラスト近くで【genocide】という言葉を巡ってマスコミとやりとりをする米政府スポークスマンの映像が使われている。ルワンダで起きている事実を「大量虐殺」と認めてしまうと、事件に介入せざるを得ないアメリカの“不都合な真実”がそこにある。それを観ながら僕は今の世界情勢を思った。「アメリカの常識は世界の非常識」だな、と。
「ホテル・ルワンダ」を観ていない人がこの作品を観たらどう思うのか、とても気になりました。どなたかそんな方がいらっしゃったらぜひコメントをお待ちしています。
【genocide】って、知らないままにしておきたい英単語ですね。
スイマセン、この映画まだ観てません。しかも『ホテルルワンダ』は観てるんで、kenさんがお待ちしてるようなコメントは残せません(苦笑)が、「アメリカの常識は世界の非常識」に反応してしまいました。『不都合な真実』は明日観る予定なんですが、果たしてアメリカが離脱した京都議定書にも触れているんだろうか?と気になってます。
by クリス (2007-02-10 09:55)
「不都合な真実」は秀逸なタイトルだと思います。
まさにそんな内容がてんこ盛りでした。ぜひ楽しんで(?)下さい!
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-02-10 10:40)
「ホテル・ルワンダ」を見ておらず、この記事を読んで非常に興味を持ち
さっそく「ルワンダの涙」を借りにレンタル店に行きました。でも、どー・・・しても見つけることが出来ませんでした。「涙」→「ホテル」の順で見るつもりでいます。
by Sho (2007-02-10 22:50)
「ルワンダの涙」は現在、劇場公開中です^^
by ken (2007-02-11 01:34)
おおっ、そうでしたか!ありがとうございます。
by Sho (2007-02-11 03:29)