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ステップ!ステップ!ステップ! [2006年 レビュー]

ステップ!ステップ!ステップ!」(2005年・アメリカ) 監督:マリリン・アグレロ

 ニューヨークの公立小学校に通う子供たちが社交ダンスのコンテストに出場するドキュメンタリー。
 NYCでは現在60校以上の小学校で「ダンシング・クラスルーム」という児童育成プログラムが行われていて、子供たちは10週間、各1時間×20回という厳しいレッスンを受けながら学校対抗コンテストでの優勝を目指す、というストーリーだ。
 このドキュメンタリーが一体なぜ世界中の映画祭で喝采を浴びたのか、その理由を確かめたくて僕はヴァージンTOHOシネマズ六本木ヒルズへやって来た。
 六本木は新宿、渋谷、有楽町で映画を観るより断然外国人客の比率が高い。僕がこの劇場をホームグラウンドにしている理由は「外国人客のリアクション」も合わせて楽しめるからだ。おかげで今日も楽しい発見があった。

 本編。
 小学生たちの顔ぶれがいい。
 さすが人種のるつぼと言われるNYCの小学校だけあって、登場する子供たちがあらゆる人種によって構成されているのだ。それはさながら「小さな地球」。このバラエティに富んだ顔ぶれも世界中で受け入れられた要因かも知れない。
 しかし、予想通りというか当然と言うべきか、やはり子供が社交ダンスをしているだけでは面白くもなんともなかった。面白いのは「社交ダンスをする子供たちが何を感じたか」だ。最大の見どころはここにある。楽しむべきは“ニューヨークの小学校に通う子供たちの主張”である。
 主張の中味もバラエティに富んでいる。
 例え同じ土地に住んでいたとしても人種が違えば生活環境も宗教も異なり、当然主義主張も変わって来る。だからここに登場する「子供たちの主張」はあらゆる方面に富んでいて、その視点が面白いのだ。
 子供たちが主張するテーマは大きく分けて「異性」に関することと「将来の夢」について。しかもたった10年しか人生経験のない
子供たちが、カメラに向かっていっぱしの論客風に持論を展開するのだから面白くないわけがない。その自信満々な口ぶりは居合わせた外国人客にウケまくりだった。
 ところが、面白いことに僕の連れの女性はそんな子供たちを観ながらびーびー泣いていた。外国人客たちが大爆笑している最中にである。あとでその理由を聞いたら「子供たちが健気で泣けた」と言う。なるほど確かにそういう受け止め方も出来るなと、僕は1人納得していた。

 子供たちの様子は観ていて楽しいが、作品としては少々長い気がする。
 僕たちはコンテストの様子を準々決勝から決勝まで3度見せられるのだけれど、さすがに3度目(決勝)が始まるときには「またこれを観るのか」という気になってしまった。途中びーびー泣いていた彼女もぐーぐー寝る始末。実に分かりやすい(笑)。

 この作品は全世代の人たちすべてにオススメできる楽しいドキュメンタリーです。が、作品自体がホームビデオの映像なので荒れた画像をわざわざ映画館で観る必要はないと思います。
 ただし僕と同じ体験をしたければ、英語圏の外国人客と一緒に観ることをオススメします。

 
 

ステップ!ステップ!ステップ!

ステップ!ステップ!ステップ!

  • 出版社/メーカー: パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
  • 発売日: 2006/09/22
  • メディア: DVD

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コメント 6

へちま38

「ウリナリダンス部」のように録画しておいて飛ばす・と言うわけにはいきませんものねぇ。>劇場では
現在日本の小学校では「競わせるのはかわいそう」というおバカな考えが蔓延していて
子ども達が成長しません。困ったものです。
by へちま38 (2006-03-17 18:42) 

ken

日本の学校教育方針はまったくバカなことになってますね。
通知表の評価も数字じゃないと最近知って腰が抜けそうなほど驚きました。
この国は終わるな。間違いなく。
by ken (2006-03-17 18:57) 

はじめまして。ブログへの書き込み、ありがとうございました。
本当に、この映画、良かったデス。
やっぱり多少というか、長いなとは感じましたけど、それよりも
子どもという存在に大きな希望を感じました。まだまだ人生が続いていく、
存在なだけに、目の前に広がっているであろう可能性が羨ましくもありました。

素晴らしいブログですね。自分も映画が好きなだけに。これからも遊びに来ます。よろしくお願いします。
by (2006-03-21 23:40) 

ken

ケンタッキーさん、こんにちは。
子供たちの将来性には夢がありますね。
僕はその夢を摘まない大人になりたいと思います。
by ken (2006-03-23 15:37) 

まみりん

こんばんは。
子供達の社交ダンスだけを描いてるんじゃなくて良かったですね。
そのプログラムを通して、授業以上の大きな収穫がある所がいいです。
小学生なのに、子供達の考えがしっかりしてる所に驚きましたよ。

今日本では、しきりに『ゆとり』と叫んでた歪が出てるみたいですね。で、今度は『ゆとり』撤廃ですかぁ・・・なにやってるんだか。この国の行く末が心配です。
by まみりん (2006-04-06 20:34) 

ken

この国の行く末が心配…。
まったく同感です。あまりにも目先のことに捉われ過ぎていますよね。
どいつもこいつも。
by ken (2006-04-07 13:05) 

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