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ラヂオの時間 [2006年 レビュー]

ラヂオの時間」(1997年・日本) 脚本と監督:三谷幸喜

 驚いたことにコイツもおもしろくない。
 ということは、「THE有頂天ホテル」とはこれらの失敗を教訓として作られた傑作なのだ。
 そもそも。
 僕が「ラヂオの時間」も「みんなのいえ」もこれまでに観ようとしなかったのは何故か。
 先日フジテレビで放送された「ラヂオの時間」が視聴率わずか10%しかなかったのは何故か。
 少なくともこの2点は流すことなくきちんと考えておくべきだった。
 
 「ラヂオの時間」が面白くない理由。
 「みんなのいえ」と同じく、多くの観客にとって知らない世界の話であり、なんならどうでもいい話だからだ。
 では「THE有頂天ホテル」が面白かった理由は何か。
 もちろん脚本が面白いんだけど、最大の勝因は、何の関連性もないキャラクターを何の違和感も無くひとつのステージにまとめることが出来るホテルという環境を舞台に選んだことだと思う。
 ホテルという設定は、一歩間違えば突飛な話になりかねないエピソードを意外性という好意的な印象に変えてしまう魔法の設定なのだ。思い返せば故・石ノ森章太郎先生の「ホテル」も実に良く出来た作品だった。…と、「THE有頂天ホテル」の分析をしている場合ではない。

 「ラヂオの時間」は僕自身が近い業界にいるからこそ笑えるポイントも多少はあるが(小野武彦さんが演じた声優さんの身なりにはかなりウケた)、生放送が始まってからの舞台裏には無理があり過ぎてかなり興ざめ。三谷さん自身をダブらせたラジオドラマの作家(鈴木京香)のセリフにもちょっとうんざり。
 でも勉強になったこともある。それは「人間ひとつや(ラヂオの時間)ふたつ(みんなのいえ)の失敗なんてなんでもないんだな。やっぱり続けることが大事なんだ!」ということでした(笑)。

ラヂオの時間 スタンダード・エディション

ラヂオの時間 スタンダード・エディション

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2005/12/23
  • メディア: DVD

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コメント 8

「有頂天ホテル」、私も観たいと思っていますが
「ラジオの時間」は観てはいけないんだなと思いました。
kenさんの、率直な感想の記事がいいですね。
これからちょこちょこおじゃまいたします~
by (2006-02-08 08:00) 

gutta

さすが、つまらない映画からも学ぶものを見出すとは、サスガですね。
by gutta (2006-02-08 10:00) 

YUMiKO

こんにちは。先日はコメントをありがとうございました。
私は、三谷幸喜の監督作を見るのは、「THE有頂天ホテル」が初めてでしたが、ラッキーだったようですね。

>僕が「ラヂオの時間」も「みんなのいえ」もこれまでに観ようとしなかったのは何故か。

私もこの2作は、今まで触手が伸びませんでした。
自分の嗅覚というのは、案外あてになるものかもしれませんね。
by YUMiKO (2006-02-08 13:52) 

ken

>カフェオランジュさん
 「THE有頂天ホテル」は文句なくオススメできる娯楽作品です。
 「ラヂオの時間」と「みんなのいえ」は三谷さんの腕の上げ方を確認する上で
 なら観てもいいかなと(笑)。nice!ありがとうございます。

>ぐったさん
 「タダでは転ばないオトコ」と呼んでやってください(笑)。
 nice!ありがとうございます。

>YUMIKOさん
 自分の嗅覚が合っているかどうかを確認するためにわざわざ観ちゃうことも
 あるんですよね~(笑) nice!ありがとうございます。
by ken (2006-02-09 13:27) 

kotori

私は、テレビで「みんなのいえ」と「ラヂオの時間」やってたので見ました。
「みんなのいえ」はまあまあだったけど、この「ラヂオの時間」は
途中で見るの止めました。なんか、、面白くなかったですね。
「THE有頂天ホテル」見ようと思ってたけど、見るのやめようかと思いました。
でも、kenさんの記事みて、やっぱり見ようかなと思ってます。
by kotori (2006-02-10 23:12) 

ken

「THE有頂天ホテル」だけは観ておいたほうがいいですよ。
他の2作は観なくてもね。nice!ありがとうございます。
by ken (2006-02-11 12:20) 

satoco

「THE有頂天ホテル」はまだ観ていないのですが。「みんなのいえ」と「ラヂオの時間」はつまらないんですよね。監督は別の人がした、「12人の優しい日本人」はすごく面白いと思ったんです。で、三谷脚本ていうのは、ドラマ性で見せたりするものじゃなくて、クスリと笑わせるところが重要だからテンポがよくないと絶対にダメだな、って思いました。その代わりうまく作りさえすれば面白くなるはずなんだろうなーと思ったり。

作品を重ねるごとにタダでさえ豪華キャストなのにもっとどんどん豪華になっていくのには結構感嘆してしまいます。「THE有頂天ホテル」、絶対観ます!
by satoco (2006-02-12 11:30) 

ken

先の2本を見ていたら「ラヂオの時間」の登場人物(布施明)が「みんなのいえ」に、「みんなのいえ」の出演者(ココリコ田中、八木亜希子)が「THE有頂天ホテル」に出ていることに気がつきました。
これも三谷さんの「遊び」でしたね。楽しんできて下さい!
by ken (2006-02-13 13:33) 

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