SSブログ

NANA [2005年 レビュー]

NANA」(2005年・日本) 監督:大谷健太郎 

 ひとあし早いお彼岸で帰省をし、お墓参りを終えたらすることがなくなったので映画を観る。
 「奥さまは魔女」が観たかったのだけど、時間の都合で「NANA」か「シンデレラマン」しか選択肢がない。
 ふむ。しばらく考え「NANA」にする。全国的にすごい勢いで観客動員していると聞いたからだ。自宅からバスと路面電車を乗り継いで「大街道シネマサンシャイン」というシネコンへ来る。
 ところが…チケットを買う前から嫌な予感が。エレベーターでもロビーでも男客の姿をまったく見ないのだ。まさかと思ったが…やはり「NANA」の客は全員が女だった。しかも全員が女子中高生!やれやれ。僕はたったキャパ88の箱で約30人の女子中高生に混じって「NANA」を観るのだ。
 それにしてもこの年頃の女子たちはよく喋りますね。映画の途中だろうがなんだろうが、何か思いついたその瞬間!に喋る。ま、少女マンガが原作の映画ですから、その世代の生の感想が聞けるのでまったく本当にありがたい…

  ワケねーだろ、静かにしろコラー!

 「NANA」の話をする前に、少女マンガの話を少し。
 僕には2歳下の妹がいたので子供の頃は「冒険王」や「ジャンプ」も読みつつ、「なかよし」や「りぼん」も読んでました。
 一番最初にはまったのは「美季とアップルパイ」(山本優子)という学園コメディで、他に「キャンディ・キャンディ」(いがらしゆみこ)、「砂の城」(一条ゆかり)、「Micky」(小椋冬美)、「花岡ちゃんの夏休み」(清原なつの)、「アイドルを探せ」(吉田まゆみ)、「動物のお医者さん」(佐々木倫子)など、割と最近までこのジャンルを毛嫌いすることなく読んできました。しかし映画化された少女マンガって何があっただろう?と思い返すと、なかなかそのタイトルが出て来ない。
 「…あ、そういえば」
 過去に一度だけ今日と同じ状況になったことがある。
 それは1979年4月7日。同じ松山で「ベルサイユのばら」(監督:ジャック・ドゥミ。「シェルブールの雨傘」のジャック・ドゥミ!)を観たとき。そのときも劇場の男性客は僕一人だった。では男の鑑賞に堪えない作品なのかと言うとそんなことはありません
。「ベルサイユのばら」はとてもよく出来た作品だったと記憶しています(当時僕がつけた点数は78点。この微妙な採点の根拠がどこにあるのか今の僕には分からないけれど)。

 長い前フリになってしまいましたが、つまり僕は「NANA」を読んでいない。
 ただし少女マンガ特有の世界観をまったく理解していないわけではない。
 そんな42歳のオッサンの感想だと思って読んで下さい。

 率直な感想は「きっとよく出来た原作なんだろうな」のひとことです。なぜならナナとハチだけでなく、脇役も含めた登場人物のキャラクターがしっかりと固まっていたから。ブラストのメンバーはシンもレンも含めて全員いい。これは間違いなく原作のおかげでしょう。
 仮にこれがオリジナル作品なら、新幹線の出会いも、アパートでの再会も、もうちょっとシチュエーションを考えろよ!と突っ込むところですが、元が少女マンガなんだからここは完全に許せる。
 ただしもっと原作の味を生かして作れたんじゃないかとも思います。あくまでも勘ですけどね。
 原作の持つ空気感が出ていたのかどうかは、原作を読んで映画を観た人の感想を聞いてみたいと思います。
 
 映画として残念なのは劇中何度かあるLIVEのシーンが、ビックリするくらいお粗末だったこと。僕は「ストリート・オブ・ファイヤー」のような熱いLIVEシーンを期待していただけに、かなりガッカリしました。
 言わせてもらうけど監督とカメラマンがヘタすぎです。中島美嘉の歌う曲が良かっただけに本当に残念。
 
 宮崎あおい。
 原作のキャラがこういうブリブリキャラなんだろうなあ。ただ「下妻物語」の深田恭子ほど振り切ってなかったような気がする。
 中島美嘉。
 この役は木村カエラだろ?という意見をどこかのブログで読んだ。そうかなぁ。中島美嘉で良かったと思う。ただこの人もセシリア・チャンと一緒で、笑うとブスになるから撮り方はもっと考えてあげるべきだった。監督とカメラマンは中島に対する配慮に欠けている。彼女が頑張っていただけに可哀相だ。
 松田龍平。
 上目遣いになったときと、ニヤリとさせる口元がお父さんそっくりでぞくっとする。いい役者になったなあ。

 原作を読んでいない42歳のオッサンの結論は、音楽映画と期待しないで観れば「観るに耐える映画」だったと思います。
 ちなみに最後の最後までペチャクチャ喋りながら観ていた女の子たち(コノヤロー!)から、最後に「面白かったね~」と言う声が一言も聞けなかったのが印象的でした。
 考えてみたら脚本もイマイチだっかかもな。

NANA -ナナ- スタンダード・エディション

NANA -ナナ- スタンダード・エディション

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2006/03/03
  • メディア: DVD

nice!(7)  コメント(17)  トラックバック(1) 

nice! 7

コメント 17

まるこ

心の叫びに「nice!」を一つ。
NANA(大崎ナナ)を木村カエラに・・・・。って、私が書いたような気が(すいません)。
でも、原作のファン(筋金入りの「矢沢あい」ファン)としては、観に行く気がしません。CM見て、萎えちゃって。なんか・・・・・映画でのキャラクターの衣装が、コントの衣装に見えたり、キャスティングが・・・・原作見てると余計違和感が。
とか言いつつ、原作ファンは、この映画、結構受け入れてるみたいで。
レンタルで出回るようになったら、見てみます。
by まるこ (2005-09-19 18:54) 

ken

思い出しました。確かに木村カエラ説はいだえりさんでしたね。
原作に対しての思い入れが強いと、どんな映画も自分のイメージを超えないものです。だから最初からそう思って観ると「マシ」なのかも知れません。
ただし!ライブシーンだけは本当にヘタレなので、ライブ慣れしたいだえりさんも「コノヤロー!」ってことになりかねないと思います(笑)。
心の叫びにnice!ありがとうございます。
by ken (2005-09-19 18:59) 

ロケジャパン

NANAのロケ地は北海道なんですよね!

話題の「木村カエラ」さんのカスタムメイドはもちろん広島ですが・・・
by ロケジャパン (2005-09-20 00:40) 

ken

ロケジャパンさん、nice!ありがとうございます。
by ken (2005-09-20 14:18) 

keiko-nari

NANAいいな~見そびれ・・・
CMでは私恥ずかしくなってしまうので、なんか怖くてみれない自分が。
みるけど。監督とカメラマンがヘタすぎとありますが、そんな予感はかなり・・・
まんが読んで~の感想も聞きたいけど、13巻はエンドレス~
by keiko-nari (2005-09-20 14:30) 

ken

「原作読んでみて」コメントが多数集まったら読んでみようかな。
13巻はエンドレス~の意味は?
nice!サンキュー。腹減った~シシリア行きたいなあ。
by ken (2005-09-20 16:00) 

keiko-nari

13巻→長い!どろどろ!面白い!
を繰り返してエンドレス~。
シシリア、あ~食べたいな~。
六本木にも、他にもあるでしょ紹介しておくんなまし☆
by keiko-nari (2005-09-20 18:06) 

ecco

nice!入れて娘に記事見せて(ちょうどNANAを見てきたので)
まさにうるせー女子中高生でがす(笑)
娘の感想もかなりビミョウでした。

で。
kenさんの記事を読みながら娘の一言
「この人42歳なんだ・・・」
で。
そのあと中島美嘉のハナシになり。
そのまんま。
コメント入れそこねてしまいました。。。(^^;
by ecco (2005-09-20 20:56) 

ken

>keikoさん
 ちょっと立ち読みしてみようかな。NANA。
 六本木はね「燃」って焼き鳥屋さんがオススメね。
 あと、2軒目にもってこいなのが「ハバナカフェ」よ。
 ここのモヒートは美味しいっす。

>eccoさん
 親子で読んでもらえて嬉しい限り。
 ほったらかし感も素敵。…んなわけないでしょ!
 年齢の反応は、お父さんと比較でもしたのでしょうか?
 nice!ありがとうございます。
by ken (2005-09-21 16:16) 

miyuco

こんにちは。
ライブシーンについては心から同感!でございます。
もっともっとカッコ良くなったはずなのに。本当に残念。
原作を読んでいる方たちは比較していろいろなモンクを言ってますね。
読まずに観た自分って、かえってラッキーだったのかもと思っています。
私は映画の「NANA」好きでした。ライブシーン以外(←しつこい?)
by miyuco (2005-09-22 10:47) 

ken

原作派の人たちがどんな文句を言ってるのか、興味ありますね。
あとで探して見ます。読まずに見たのも正解だったのかあ。面白いなあ。
by ken (2005-09-22 14:30) 

miyuco

たびたびスイマセン。NANAとは関係ないのですが・・・
この場で「美季とアップルパイ」(山本優子)が出てきたのにビックリ。
あの絵が浮かんできてなんか笑っちゃいました(^^)
場違いなコメント失礼いたしました。
(りぼんですよね)
by miyuco (2005-09-22 19:06) 

ken

りぼんです(笑)。
ウチの妹はあの絵をしきりに模写してたような記憶があります。
by ken (2005-09-22 19:23) 

NO NAME

お久しぶりでございます。本業が忙しくて しばらくネットからは離れていました。

あ、やっぱりダメでしたか、NANA。私の場合は ぜーんぜん期待してなかったのでたのしめちゃいましたw。その前に観た亡国のイージスがかなりがっかりだったので なおさら。あと ちょっぴり心が弱ってたのが楽しめた原因だったかも。さーて タッチはどうかなぁー?
by NO NAME (2005-09-25 18:01) 

あ、すいません。ログインするの忘れてた……。↑は私ですー。
by (2005-09-25 18:55) 

ken

続編製作が決まったそうですね。
心が弱ってる女子にとってはズキューン!と来る映画だったかも
知れませんね。nice!ありがとうございます。
by ken (2005-09-25 22:08) 

はじめまして!
コメント&TBありがとうございます。
ライブシーンはホント、おっしゃるとおり”へタレ”ですよね(((^^;)
やはり原作が面白いです。。。
by (2006-03-02 01:37) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。