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69 sixty nine [2005年 レビュー]

69 sixty nine」(2004年・日本) 原作:村上龍 監督:李相日 脚本:宮藤官九郎

 村上龍の原作を宮藤官九郎がどこまで脚色したのか分からないけれど、1969年を舞台にしたこの映画が10代~20代の若者に受け入れられたのかどうか、ちょっと聞いてみたい気がした。
 原作自体はおそらく同世代に向けて書かれたものだろう。けれど映画は明らかに若い世代を狙ったものだ。
 村上龍と同世代でなく、かといって若い世代でもない僕がこの映画を観て、今ひとつ「おもしろい!」と言い切れないのは、原作と映画の
ターゲット層にズレがあるからではないかと思う。早い話が誰に見せたいのかハッキリしない「どっちつかず」の映画に見えるというわけだ。

 作品の舞台となった佐世保に昨日までいた僕は、「米軍基地が居座る土地で育った子供たちには、この映画本来の面白さが伝わったかも知れないな」
と思った。
 そういう場所(例えば横須賀であったり沖縄であったり)で育つということは、米軍基地の存在を「否応なしに認知させられる」ということだ。認知すると言うことは過去の歴史を知るということでもある。しかも先の大戦だけでなく、朝鮮戦争もベトナム戦争も70年安保も含んで、日本と米軍の関係を
聞いて育ったはずだ。だから米軍基地の近くで育った子供たちにはこの映画のおもしろさが幾許かは伝わったかも知れない、と思う。

 僕は米軍の近くで暮した経験がない。
 70年安保も自分の経験にない。
 あるのは1980年にピークを迎える緊張感のない青春の記憶だけだ。
 けれど。
 生きた時代が違っても、変わらない青春の情熱はあるもんだ、と思った。
 体制に反抗する糧となる「友情」と、古びた記憶の中にあって宝石のように輝く「マドンナの存在」は男の一生に大きな影響を及ぼす。思想のルーツはその時代に芽生えるものだし「自己批判」を兼ねてその時代をときどき振り返るのも悪くない。
 「69」は映画を楽しむと言うよりも、遠い記憶を呼び覚ますアイテムとして使えばいいかもね。

69 sixty nine

69 sixty nine

  • 出版社/メーカー: 東映
  • 発売日: 2004/12/21
  • メディア: DVD

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コメント 6

keiko-nari

およ。
男の人にはマドンナがいるのか~そっか~
と思った映画。
言葉が面白かった。(福岡チックで)
大事件の後の、しょぼくれた感じが好きです。
by keiko-nari (2005-08-20 22:05) 

ken

田舎言葉で繰り広げられる映画って楽しいね。
僕が田舎モノだからかな?
by ken (2005-08-20 22:48) 

涼村柚芽

kenさん、おひさしぶりです。すずゆめです。

あたしは映画館で見ました。
脚本がクドカンなだけあって、ハチャメチャでおもしろかったです。
特に、安藤政信さんはカッコイイのに一番訛っててウケましたね。
この時代のことはよくわからなくてストーリーに引き込まれにくい部分もあったけど、あんだけ青春時代を謳歌できたらどんなに良かったんだろうって思いました。
戻れるならば、中学からやり直したいです(え?)
by 涼村柚芽 (2005-08-21 14:10) 

ken

すずゆめさん、こんにちは。
この時代のことが分からなくても、楽しめる映画にしてしまうところが
クドカンの巧さなんでしょうね。いいご意見聞かせてもらいました。
ありがとうございます。
by ken (2005-08-21 17:19) 

youko

職場の長崎出身の女の子に、おもしろいって言われて本を読みましたが最後までは読みませんでした。でも、おもしろいって言われたのが残っているので映画は見てみたいと思い、WOWOWで放送されたものを録画してます。が、まだ見てないです。
kenさんの言われるように、地元の人にはおもしろさの分かる話なのでしょうね。
by youko (2005-08-21 18:50) 

ken

youさんが原作を途中で読まなくなった理由に興味があります。
もし映画をご覧になったらぜひその感想を聞かせて下さいね。
by ken (2005-08-21 20:02) 

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