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父と暮せば [2005年 レビュー]

父と暮せば」(2004年・日本) 監督:黒木和雄 主演:宮沢りえ、原田芳雄

 聞けば井上ひさし原作の戯曲(2人芝居)だとか。
 これまでに何度も舞台化された作品だそうです。それの映画化というわけ。
 また「TOMORROW 明日」(1988年)、「美しい夏キリシマ」(2002年)に続く黒木監督の戦争レクイエム3部作の完結篇だそうです。
 僕はどちらも観ていないのですが、「美しい夏キリシマ」の脚本だけは読んでいました。

 さて。
 そもそもそんな映画だとは知らず観てしまったおかげで、僕は大いなる後悔をしてしまいました。前半15分間くらい、ずーっと頭の中にハテナマークが出ずっぱりだったのです。
 と言うわけで、これからご覧になるかたは、以下の点だけ頭に入れておいて下さい。

 映画は娘と父の2人芝居がほとんどなのですが、その父親は実は霊体です。
 
 はい。これだけ理解して観れば、僕みたいに全部観終わったあと、再び前半の15分を観直す必要がなくなります(笑)。
 また古い言葉使いの脚本であるため(さすが井上ひさし)、理解しかねる言葉もあるかもしれません。その場合は日本語字幕入りで観るといいです。
 僕は四国育ちなので大半は理解できましたが、それでもすべてを聞き取れたわけではありません。解りづらい名詞もあるので気になる人は字幕入りがオススメです。

 本題。
 作品の出来不出来はここでは問題ではありません。
 最も大切なことは、私たちの想像を超えた被爆者の葛藤が存在していた、という只一点です。
 それは「原爆で死ねなかった、生き残ってしまったがための精神的苦痛」でした。
 
 「私は恋をしちゃいかんのです。幸せになってはいかんのです」
 
 観ていても痛々しい宮沢りえの演技をぜひ目撃してください。
 そして戦争の悲惨さと平和の尊さを実感してください。

父と暮せば 通常版

父と暮せば 通常版

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • 発売日: 2005/06/24
  • メディア: DVD

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コメント 11

coco030705

こんばんは。
この映画大好きです。宮沢りえの美しさと清純さが、重いテーマを見やすく
していたように感じました。原田芳雄もうまかったですね。
りえちゃんは、今一番好きな女優さんです。
by coco030705 (2005-07-15 21:49) 

この宮沢りえさん、凄くいいですよね。私も好きです。
by (2005-07-16 02:27) 

ken

>coco030705さん
 僕は前半の20分間くらい、何故だかじわりと泣いたまま観ていました。
 宮沢りえのあの痩せ方は好きじゃありませんが、
 この作品には偶然合っていましたね。

>aikaさん
 実は笑顔が一番可愛い女優さんなのに、泣き顔を観るのは辛かったです。
 nice!サンキュ。
 
by ken (2005-07-16 02:55) 

言葉遣いのためだと思いますが、宮沢りえさんのセリフの言葉ひとつひとつが柔らかくて、印象に残ってます。思い出すと泣いちゃう。
by (2005-07-16 21:23) 

ken

「おとったん。ありがとありました」
ですからねえ。なんともせつない気持ちになります。
by ken (2005-07-17 00:25) 

ピカチュウ

私もりえちゃんの演技には感心しました。
演出については、舞台劇の映画化なのはわかるが、もうちょっと映画的な広がりが欲しかったかなぁ・・・
私は前職の関係で黒木監督に会ってことあるんだけど、映画同様に素敵な
、落ち着いた監督さんでしたよ。
by ピカチュウ (2005-07-18 23:15) 

ken

あら、黒木監督にお目にかかったことがある。羨ましいです。
映画的な広がりは、僕も同感ですね。
せっかく浅野忠信くんをキャスティングしたんだから、もっと露出があっても
良かったかなと思いました。
by ken (2005-07-19 00:21) 

kotori

そっかー、私は地元なので、聞き取れないとか、
理解できないって事なかったですが、、、
その為に、字幕があるんだー。

ほんと浅野忠信くん、もっと出てほしかったですね。
by kotori (2005-10-22 23:39) 

ken

やっぱり地元の人たちにはOKだったんですね(笑)。
そう。でも字幕アリって悪くないと思います。
伝えていかなきゃいけない、大事な話ですからね。
nice!ありがとうございます。
by ken (2005-10-23 00:46) 

Sho

kenさん、この記事を書いてくださって、本当にどうもありがとうございます。
私は今日、この映画を観られたことを、深く感謝しています。
この映画はこの先ずっと、私のベストスリーに入り続けると思います。
by Sho (2006-07-07 23:47) 

ken

あの日が近づくと必ずこの映画のことを思い出すと思います。
「死ぬも地獄、生きるも地獄」
その場に自分がいたら、まともな人間でいられるかどうか自信がありません。
nice!ありがとうございます。
by ken (2006-07-08 00:59) 

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