サンダーバード [2004年 レビュー]
それは東の「キャシャーン」、西の「サンダーバード」である。しかし僕は劇場で観ていない。では観てもいないのになぜヘタレと言い切るのか、
①オリジナルは歴史に残る名作である、②リメイク作の劇場版は思いのほか早く打ち切られた、③結果、いい評判を聞かない。
これくらいの理由があればもう充分「ヘタレ」映画と言えるでしょう?
ま、今回はその確認のために観るんですけど。
僕が「サンダーバード」を観に行かなかった決定的な理由は、サンダーバード2号のデザインが原作と違いすぎたこと。これは許しがたいほど違っていた。
ま、今回はその確認のために観るんですけど。
僕が「サンダーバード」を観に行かなかった決定的な理由は、サンダーバード2号のデザインが原作と違いすぎたこと。これは許しがたいほど違っていた。
ユニフォームが青じゃなくて白だったのも理由のひとつに数えられる。
リメイク作品はどこまでオリジナルに擦り寄るか、その線引きが難しいところではある。一番大切な仕事と言っていいかもしれない。
例えば「バットマン」。オリジナル版と映画版とではその質感と世界観が大きく異なっている。けれど成功した。その最大の理由は、監督のティム・バートンが「子供向けテレビ映画」を大人も楽しめるエンターテインメントに昇華させたことだ。
サム・ライミの「スパイダーマン」も、自分を含めかつて子供だった世代も楽しめる大人のドラマにしたい、という思いが強いからこそ、バランスの取れた作品に仕上がっているのだ。
しかし、オリジナル作品に対する観る側の思い入れが強ければ強いほど先の「線引き」作業は難しい。
主人公の衣装はヒーローモノでは最重要課題である。過去を捨てたのがバットマンで、過去を尊重したのがスパイダーマンだ。
尊重したスパイダーマンはさておき、ではなぜバットマンは過去のスーツデザインを捨てたのか?。その理由は判らない。しかしオリジナルのカラフルなスーツでは、ティム・バートンの世界にはなり得なかった。ここにはクリエイターの意思がある。
「サンダーバード」にそれはなかったと思う(驚いたことに監督のジョナサン・フレークスは「スタートレック」のライカー副長その人であった)。
絶大な人気を誇った作品に負けて、本編を自分の色に染めることが出来ていない。悪く言えばリメイク作品に対する明確なビジョンがないのだ。
その証拠①ストーリーがまったくなっていない、②キャスティングに魅力がない。
僕がプロデューサーならまず企画の段階からシリーズ作品としてプランを組み立てる。
そのプランで言うなら、1作目である今回はトレーシー兄弟とサンダーバード1号から5号までのプロフィールを丹念に描く必要がある。
それ以前に、国際救助隊がなぜ生まれることになったのか、肝心要の「原点」がストーリーには必要なのにそこはまったく無視されているのだ。
さらにキャスティングがあまりにも貧弱で登場人物に興味すら持てない有様。
この作品は単なる子供向けの冒険ドラマ(にもなっていないのだけど)でしかない。僕から言わせれば監督は即刻クビ。脚本家もクビ。プロデューサーは自分でクビだ。
まったく残念で仕方がない。
この映画で唯一褒められたのは、ハンス・ジマーの音楽だけ。
映画「バックドラフト」のコンポーザーとして日本では有名だけれど、「ライオンキング」でアカデミーを受賞し、「ラストサムライ」も彼の仕事。
驚いたことにハンス・ジマーは元バグルズのメンバーで1982年「ラジオスターの悲劇」をヒットさせていた、その人でもあった。
サンダーバードって、私たちが幼少の頃の「あの」サンダーバードですよね?
私、あれすごく不思議だったんですよ。人形のはずなのに、人形に見えない。
人間に見えた。
ストーリーも、状況設定もほとんど覚えていないんだけど、「名作!」っていう
感覚があるんです。
きっと合成の技術その他もろもろ、どうして現代の方が進んでいるのに
つまらなくなっちゃうんでしょう?作り手の「熱い心」でしょうか?子供の頃のあのワクワク感が崩れ去ってしまうなら、観たくないなあと思います。
by Sho (2006-09-30 14:43)
こんなところにコメントありがとうございます。
もちろん、「あの」サンダーバードですよ。
この映画を観ると、ますます「あの」サンダーバードが観たくなりますから
(実はDVDBOXを買おうかどうしようか迷ってる)そういう意味では
オリジナルがいかに傑作だったかの「ものさし」になっていると思います。
by ken (2006-09-30 23:29)