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イン・ザ・カット [2004年 レビュー]

イン・ザ・カット」(2003年・アメリカ) 製作総指揮:ニコール・キッドマン 主演:メグ・ライアン

 付き合ってまだ間もないカップルが、「メグ・ライアンの新しい映画見に行かない?」、「あ、いいね、行こう行こう」って軽いノリで観に行ったら、きっと気まずい思いをして劇場出てくるだろうなあ(笑)。そんな映画です。
 もっと具体的に「だからどんな映画?」と聞かれたら、「メグが脱いだ映画」としか言いようがない。おや?そう言えばこの映画の広告もそんなことにしか触れていなかったような気がするな。誰もこの映画の内容について語ってないんじゃないの?
 映画を観始めて30分くらい経ったころ、僕は「この映画はメグが主役じゃなかったと仮定して評価すべきだ」と思った。メグの裸を観てどうこういう映画じゃないのだ。
 GEOのレンタルショップ的ジャンル分けは「エロチック・サスペンス」になっていた。なるほどではサスペンスとして成立しているか否かが作品を見極めるポイントだな。
 
 結論。途中結果が読めちゃうので「不成立」。
 主役の相棒のタトゥーを見せるタイミングが絶対遅い。少なくともメグをクルマに乗せた段階で見せるべきで、そうして観客の心理を追い込まないとダメだ。
 なのに監督はメグを追い込む方を選択している。これは「うわ、メグかわいそう!やばい!」って思わせて観客のファン心理を利用した演出になってしまってる。
 サスペンスで大切なことは、観客を主役と同じ位置まで追い込むこと。つまり主役の疑似体験をさせることが肝心なのだ。
 だから主役の顔よりも、主役と対峙している相手の顔やその状況を主役目線で見せることが大切なのに、そこの演出がなっていない。
 ストーリーにも問題がある。一番は「最悪のオチのつけかた」だ。これが最後の最後に大きな失望を抱かせる。
 また(相変わらず)いい芝居を見せる、ケヴィン・ベーコンが全然生きてない。まったく残念。
 実は映画の冒頭はすごく期待した。ファーストカットがなかなか良かったのだ。いや、良かったのはファーストカットの音だ。
 アパートのドアが「グァチャリ」と開く音。こいつはサンプリングしたいくらいいい音だった。典型的なアメリカ映画のドアの音なんだけど
 少し古いB級映画の匂いがしてワクワクしたんだけど、それがよけい失望させたかもしれない。
 最後に、このDVDで一番驚いたのは、特典映像(メイキング)に出てくるメグのインタビュー映像。ヘアメイクがここ数年では一番の仕上がりでメグがとてもキレイだ。
 それが唯一「観る価値あった」映像だった(笑)。

イン・ザ・カット

イン・ザ・カット

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2004/10/06
  • メディア: DVD

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なおしげ

トラックバックをたどってやってきました。
的確な分析と指摘をされているので、凄く参考になります。
わたしの”シネマちょい斬り”は素人感想なので、恥ずかしいです・・・
作品を見る前に読むと楽しみが半減しそうな記事もありますので、
鑑賞後におさらいとして読ませていただきます。
by なおしげ (2005-03-24 10:39) 

ken

なおしげさん、ようこそ。
映画の記事を書くのって難しいです。
観ていない人に薦めたいのか、観た人と話題を共有したいのか。
一つの記事で両方を目指していますが、「虻蜂取らず」になってる記事が
沢山ありますね。反省。
by ken (2005-03-24 15:09) 

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