許されざる者 [2004年 レビュー]
「許されざる者」(1992年・アメリカ) 監督:クリント・イーストウッド
深夜番組「虎ノ門」の名物コーナー「こちとら自腹じゃ」で、井筒監督が「ミスティック・リバー」のクリント・イーストウッドを酷評していた。映画の評価は★ひとつ。「あの映画をこき下ろしたのは僕だけじゃないんだ」とちょっと安心(笑)。
深夜番組「虎ノ門」の名物コーナー「こちとら自腹じゃ」で、井筒監督が「ミスティック・リバー」のクリント・イーストウッドを酷評していた。映画の評価は★ひとつ。「あの映画をこき下ろしたのは僕だけじゃないんだ」とちょっと安心(笑)。
けれど井筒監督は、「彼の映画で『許されざる者』は凄い」、と(真正面からじゃないけど)評価をしていたので僕も観てみることにした。
92年度のアカデミー作品賞、監督賞、助演男優賞(ジーン・ハックマン)、編集賞を獲得し、この年のあらゆる賞を総ナメにした作品です。
なのに、僕が今日まで観ていなかった理由は「西部劇」という設定で作られた映画だったから。
日本の時代劇をアメリカ人のすべての人が理解出来ないように、日本人も(単なるアクションではなく)ドラマとしての西部劇は、その歴史の延長線上にいない我々日本人が到底理解できるものではないと思うし、また日本人は「銃との関わりかた」が希薄である以上、作り手側の思惑を汲み取ることなど出来ないとも思っていた。それは「ミスティック・リバー」を観た影響もあるんだけど。
結果から言うと、この作品がなぜ92年度のベストに選ばれたのか僕には理解できない。
ただ、僕の勝手な解釈とは少し違い、クリント・イーストウッドは実に判りやすいテーマをこの作品では描いていたと思う。
単純に言うなら「暴力の否定」だ。それはいい。けれど映画の中は暴力で満ち溢れている。しかも冒頭からだ。
「反面教師」の手法かもしれない。しかし、「もう殺しはイヤだ」という若いガンマンと、獲物を前にして引き金を引けなかった相棒の存在以外、この映画に救われるシーンがない。
僕はこの作品に「ミスティック・リバー」との共通点を見つけてしまい、僕にとってクリント・イーストウッドとは「アメリカ人のためだけに映画を作っている人」という結論に達してしまいました。
これもまた残念。
これは試写で見た作品で、ちょうどその日は風邪で発熱、意識朦朧という最悪のコンディション。しかしオープニングの詩情溢れる美しいシーンからクライマックスのバイオレンス炸裂、そしてラストの静かな美しさまで、感動で体調の悪さを忘れてしまいました。監督イーストウッドの名声を確立した作品です。彼はいつも理想やきれい事ではなく、いろんな人生のあるがままの現実を切り取って見せてくれるハードボイルド?な監督ですね(差し出された作品を観る側がどう解釈するのも自由だ、という姿勢も含めて)。
by Hide (2011-07-02 22:20)
7年前と今とでは、ずいぶん違った感想を持つような気がします。
これは見直してみてもいいかと思う1本です。
「ミスティック・リバー」もそうかも。
by ken (2011-07-03 01:06)