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大統領の理髪師 [2005年 レビュー]

大統領の理髪師」(2004年・韓国) 主演:ソン・ガンホ

 「天皇の料理番」と同じ一種のシークレットジャンルである。実にいいアイディアだと思う。
 しかも韓国の歴史にそれほど明るくない僕たち日本人からすると、このタイトルには「もしや実話か?」と思わせる力があり、興味の度合いはかなり大きくなる。
 実際、何人かの友達にこの映画の話をしたら「タイトルは面白そう」という答えが返ってきた。奇抜な職業はそれだけでタイトルに成り得るという好例だ。
 ところがその期待は本編開始直前に裏切られることに。「この映画はフィクションです」と断わりの字幕が入るからだ。もちろん最後に出るよりも良い(最後だと後味が悪いと思う)。しかし大いなる肩透かしを食らったのも事実だ。
 となるとフィクションとしてどれほど面白く作られているのか。興味のポイントはここに集中する。
 さて、秀逸なタイトルの場合、厄介な問題がひとつある。それは観客が勝手なストーリーをイメージしてしまうことだ。その想像を超えないと映画は駄作となり、越えてようやくフツーの映画となる。
 僕は「重要な国家機密を小耳に挟んでしまい、無口になってノイローゼになる」くらいのことは軽く想像した。つまりこの映画の場合は「もしも自分が大統領の理髪師になったとしたらどれくらい混乱するだろう?」という個々の想像
に応える必要があるわけだ。
 そういう意味では、専属理髪師になる過程とはじめて大統領の顔を剃るまでは面白かった(ソン・ガンホはおどおどした中年役をやらせても本当に巧い。感動しました)。しかし仕事に馴染んだころ、ドラマは意外な方向へ転がっていく…。
 この先はネタバレにも繋がるので書きませんが、ここからの展開がちょっと地味なんです。
 平日の最終回。客もまばらな渋谷Bunkamuraのル・シネマ2でこの映画を観ていた僕は、韓流ブームでなければ公開されなかった映画(例えば「私にも妻がいたらいいのに」など)だったんじゃないかと思いました。
 正直に言うと、もっと泣けてもっと笑える作品に出来たと思う。ちょっと残念。でも韓国映画ファンにはオススメ出来ます。なんたってソン・ガンホが最高ですから。

大統領の理髪師

大統領の理髪師

  • 出版社/メーカー: アルバトロス
  • メディア: DVD

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コメント 2

芸夢人

 なんか惹かれるものがあって今回購入しました。
ソン・ガンホは頼りない演技いいですね。
 かあちゃん強いし。

 しかし下痢でスパイ容疑ですか。
情報部もなに考えてるんだって感じでした。
by 芸夢人 (2006-04-06 20:24) 

ken

記事には書きませんでしたがムン・ソリもとてもいいんですよね。
彼女の出番が少ないのがちょっと残念に思っていました。
それにしてもこの作品、TBは4件あるのにコメントがひとつも付かないなんて
不思議だなあーと思っていたので、コメントを頂いて嬉しかったです。
by ken (2006-04-07 13:02) 

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