アイ,ロボット [2005年 レビュー]
「アイ,ロボット」(2004年・アメリカ) 主演:ウィル・スミス
SF映画のテーマは夢と希望。これを外すとカルト的な作品と見なされ、支持されるかされないかが興行的には賭けになる。
「ブレードランナー」はその好例で、支持されなかった代表作といえば…掃いて捨てるほどある(笑)。たとえば「ファイナルファンタジー」もそうだ。
いい大人がSF映画に興味を持たなくなる理由は、現実に夢も希望も見失うからであって(これを「つまらない大人」と子供は評するが)だからSF映画は大人たちから「子供向けの映画」との烙印を押されてしまう。
けれどCG技術が飛躍的に進歩した20世紀末から、この手の作品が増えたことも事実。
クリエイターたちにとってデジタル技術とは「万能の俳優とスタッフ」を得たに等しい革新的な進化である。
しかし、「物語」はデジタル化されない。デジタルで紡がれる物語は21世紀の今も、人間のハートに訴えるアナログなものである。
「アイ,ロボット」は人間対ロボットというSFの古典的テーマではあるものの、最終的には人間の楽観的な願望が落としどころになっている。人間とロボットの関係は「こうでなきゃ困る」という理想論だ。ここが僕にとっては大いなる不満だった。
先日観た「パッション」にイエスのこんなセリフがあったのを思い出した。
「剣に生きる者は剣によって死ぬのだ」
「剣」を「ロボット」に替えたら…「アイ,ロボット」は成立しなくなる。
ロボットに頼らない結末を僕は期待していたのだけれど、そうじゃなかった。それが残念だ。
ウィル・スミスを助ける女性博士役のブリジット・モイナハンは良かった。
彼女は「リクルート」にも出ていたらしい。記憶に薄いけどこれから期待できる女優さんです。
ちなみに、劇中の容疑者ロボット「サニー」はテクノロジーの先端を行く「SONY」を皮肉ってつけた名前だとか。
20世紀フォックス対コロンビア(ソニーピクチャー)ってことですね(笑)。
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