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Dr.Pennyの、デザインをリスペクトするブログ   広角山手線遊戯g

【雑感】デジタル一眼レフについて:その1 [カメラとレンズの話]

35mmフィルム時代は、コンパクトカメラからプロフェッショナル仕様の一眼レフまで、すべてのカメラで「すべて同じサイズのフィルム」を使用していた。だからカメラメーカーは、シャッタースピードや巻き上げのスピード、AFの測距点とその速度向上、もしくはボディの素材や質感などで高級感を演出するなど、より筐体にコストを割いたり、そのメーカーならではの付加価値(たとえばキヤノンだったら視線入力AFなど)を付けて、メーカーごと、クラスごとの差別化を計ってきた。


一方、デジタルカメラはフィルムと違って、レンズから入ってきた光を受け止める「撮像素子のサイズ」が商品クラスによってそれぞれ違う。今までのフィルムサイズである「35mmフルサイズ」、同じレンズで1.3倍望遠になってしまう「APS-H」、各社がシノギを削りあうボリュームゾーンの「APS-C」、そして我がE-1を擁する「フォーサーズ」となる。ご覧の通り撮像素子が小さくなるにつれて、撮影できる範囲も小さくなっている。


また、同じ「APS-Cサイズ」とひと括りにしたが、実は各社レンズマウントと同様で互換性はなく、それぞれ微妙にサイズが異なる。キヤノンが(1.6倍)、ニコンが(1.5倍)、そしてレンズメーカーとしても有名なシグマは(1.7倍)だ。我らがフォーサーズはご承知の通り(2.0倍)で、フルサイズと同じ距離のレンズが付いたとすると、撮影できる範囲は上図をご覧の通り35mmフィルムサイズの4分の1にしか過ぎない。

現在「混乱」とも「過渡期」ともいわれるデジタル一眼レフ。
こういう状況を作り上げている理由は大きく二つ。
「価格」と「性能」である。

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理由:「価格」の話
ご承知の方も多いと思うが、CCDやMOS素子など、フィルムの替わりに光を受け止める役割であるこの「撮像素子」は、そのサイズが大きくなればなるほど高額で、フィルムと同じフルサイズ素子を使ったプロ仕様のカメラボディは(何と!)80万円を切れないでいた。これは軽自動車が買える価格(笑)である。しかし昨年、コストダウンに成功したらしく、ようやくキヤノンからEOS 5Dという、それまでの約半値(現在36万円程度)のモデルが出たことで、本当にようやく「現実的な価格」に近づいてきた。でもまあ、それでもスイスの高級腕時計や250ccのオートバイが買えてしまう価格ではある(笑)。フィルムカメラ(←当然だがフルサイズ)は3万円で新品が買えるのに、デジタルにしただけで10倍以上の価格差だ。

「そんな高いカメラ誰が買うのか?」と思いきや、ことのほかEOS 5Dは人気だそうで、カメラマンの「35mmフルサイズ」への要望の高さがうかがえる。これを買った人たちにとっては、価格差よりも大切にしたいモノがフルサイズにはあったのだ。


Canon EOS 5D

1【高画質】
撮像素子(フィルムサイズ)は大きければ大きいほど、光を受ける面積が広くなるので、記録する情報も増え、結果【高画質】になる。(そうでなければ結婚式の業務用記念撮影とか、コマーシャルフォトなどで使用される「中判」や「大判」のカメラなどそもそも存在理由がないでしょ?)また情報量が増える事によって諧調表現も豊かに、滑らかになり、何かと「素っ気ない」と言われていたデジタルカメラの画質をブレイクスルーしたと評価が高い。

2【レンズの画角】
これはカメラマンとしての「慣れ」と「感覚」の問題だ。今まで長年使用し、「28mmレンズならこのぐらい、35mmならこの程度…」と、慣れ親しんできた焦点距離による【レンズの画角】の感覚は大切なファクターで、私もそう思う。同じレンズを付けてもAPSサイズの素子では、今までの1.3倍や1.5倍以上に「望遠」になってしまうので、それを「気持ち悪い」とか「頭にくる」とか嘆く人は多い。個人的にも10万円出して買った17mmからの超広角ズームがAPS-C(1.6倍)で28mm相当の「普通の」広角ズームになってしまうのは正直悲しい。

3【ボケ量】
被写界深度(ピントの合う範囲)外の、撮影する主題を引き立たせる、前後の【ボケ量】も写真の作画においてはとても重要だ。フルサイズ素子ならボケの量は撮像素子の中で最も多い。

まあ、私のつたない説明なんかより詳しい事はこちらを観てもらった方が早い(笑)。以下のリンクの「フルサイズの魅力」というところを一読していただければ、上記の内容はお分かり頂けるだろう。

キヤノンCMOSセンサーの世界
http://www.canon.co.jp/Imaging/cmos/index-j.html

【高画質】【レンズの画角】【ボケ量】ぶっちゃけそれらをデジタルで手に入れたいなら、現段階ではこの価格差を受け入れるほかない、ということになる。

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一方、デジタルだからといってバカみたいに高いモデルばかりでは、カメラは売れなくなってしまう。昔からユーザーとメーカーの間には「国産カメラの適性な価格」に対する暗黙の了解がある。フィルム一眼レフカメラのエントリー機はおよそ3〜4万円程度、中級機は7〜15万円程度、高級機は20万円以上だ。当然それぞれのクラスの価格を超えてしまったものは「高い」とされ、下回ったら「安い」となる。現在、デジタル一眼レフに関しては(コスト高の高級機クラスを除いて)それぞれのクラスのフィルムカメラ「+5万円程度」という印象だ。

シャッターやミラー、プリズムなどは共通だが、デジタルカメラはフィルムを入れる場所、巻き上げる機構は必要ない。だったらカメラの形そのものが大幅に変わっても良さそうなものだが、嗜好性の高い一眼レフでは、カメラらしい保守的な形が好まれる傾向にあるので、替わりというかその空いたスペースに、びっしりとデジタル撮影の為の精密機器が内蔵されている。そしてこれが対フィルム一眼「+5万円程度」という価格差になっている。フィルム代や現像代が基本的にかからないといわれるデジタルカメラだが、とくに一眼レフはフィルムカメラに比べ初期投資はどうしても高くなってしまうのだ。

高いモデルには(撮像素子のサイズなど)それなりの理由がある、でも高すぎては売れない。競争するには「買い得感」も必要。大きな撮像素子の方が画質の面では有利なのに、各社が申し合わせた様にAPS-Cクラスに集中する理由がここにある。

to be continue...


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