“グルーブ”は音楽、スポーツ、人生に不可欠 [小林雅也]
■過去記事
・知る人ぞ知る、レコードショップ「Jazzy Sport」
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-19
・音楽バカ×スポーツバカ≒Jazzy Sport!?
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-21
・トップクラスの音楽関係者が「Jazzy Sport」に集結
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-23
・音楽とスポーツの共通点は「魂」
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-26
「ジャズは、即興性があるところが好きですね。相手の演奏を聴いてそれに応える形で音楽が進んでいく、まさに“セッション”ですよね。それぞれがその場で感じてベストだと思うことをすると、いいグルーブが出て、いい音楽になっていく。それはスポーツにも通じることです」。
ジャズにはコード、スポーツにはルールとある程度の決まりごとはあるけれども、どちらも、ライブや試合など、その場になってみないとどういう状況になるかはわからない。
メンバーそれぞれが、いい判断をしていけばいい試合になるけれど、1人でも間違った判断をしてしまったら、パスはつながらないし、ゴールもできない。つまり、勝利にはつながらない。
「例えばサッカーでゴールが決まるときは、その前にきれいにパスがつながるじゃないですか。野球も点が入るときって“ここ一発きそうだな”とか流れで感じますよね? そういうのは個々の選手が生み出してるグルーブだと思うんです」。
“それは音楽とスポーツに限ったことではない。人と人とのかかわりについても同じだ”と小林さんは続ける。
その場その場で相手を尊重して、なおかつ自分の言いたいことはちゃんと伝える。それがかみ合ったときに、いいものがうまれる、と。
小林さんの好きな音楽はまぎれもなくジャズなのだが、一般的にとらえられているジャズの枠組みとはちがう。そのとらえ方は大学時代、卒業論文でジャズを研究したことで培われた部分も大きい。
ジャズは、アフリカ人がアメリカに奴隷として連れてこられた際に、アフリカ人のリズム体とヨーロッパのクラシックがアメリカで融合して生まれたものだそう。ジャズを聴いたジャマイカ人が土着の音楽を加えてできたのがスカ、それを発展させたのがレゲエだ。HipHopもジャズの一部を組み入れていたりする。
「ジャズは“破壊と再生、進化のくりかえし”といわれています。そう考えると、ジャズは“音楽のいちばん大きなくくり”なんじゃないか、と。だから、音楽をカテゴライズすることは無意味なんじゃないかと思うんです」。
また、日本人は、ジャズに対して “ちょっと敷居が高いな”と思いがちだという。
「クラシックの要素が入ってるから、お行儀よく感じるんですかね。でも、ジャズのなかにもいろいろあるんです。ロックのようなものとか、“宇宙と交信してるの?”みたいなものとか(笑)。ジャズは何でもありなんだ、ということを知ってほしかった」。
プロダクションの名前に“Jazzy”とつけたのも“Jazzっぽい音楽をやっているんだな”と認識してもらいつつ、“これもジャズなの!?”と、ジャズのイメージを変えたかったからだ、という。
ちなみに、それぞれの楽器の楽譜はないそうだ。
「マイルスデイビスなどの有名な曲でも、コードが書いてあるぐらいじゃないですかね。コードすら決めずに演奏する人たちもいるぐらいですし。レコーディングとなれば別ですけど、それをライブでやるとなったらまったく違うものになりますね」
ジャズの魅力は“常に新しいものが生み出される”というところにあるのかもしれない。
音楽業界でも、小林さんの考え方は注目を集めている。次回はそんな彼の現在の活動をリポートする。
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