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中国を叩けば食卓は安全か [事件、ニュース]

先週の丸激を見て反省した。番組内で宮台氏が言っていたように、私もミートホープ問題について「あまりにも偽装のオンパレードで確かに悪質だけど、見方によっちゃすごい技術じゃないか」と思っていた部分があるからだ。以前に書いたエントリー【大事件を決めるのは誰か】でも、健康被害が出ていないのに騒ぎすぎだという論調で書いた。
しかし、出演された垣田達哉さん(食品表示アドバイザー)の説明を聞いて、自分の浅はかさを思い知った次第である。「健康被害が出てないから良いとか、そんな問題じゃないんですよ!」って私に言われているようでグサッと来た。
「安易に価値判断すべきじゃない」と繰り返しブログで述べておきながら、私自身がこの有様。
お恥ずかしい限りだ。情報と向き合うって本当に難しい。

さて、今日も恥を書くかも知れないと思いつつ、更新である。
個人的にはミートホープ問題について反省させられたばかりだが、世間じゃ、食の安全問題は中国バッシングへとベクトルを変えつつある。18日のワイドショーでもTBSがかなり時間をかけて扱っており、2人の中国人ジャーナリストだか学者だかを迎えて討論させていた。
その中でメインキャスターが、思わず口走った言葉は実に象徴的だった。
「この問題の根底には、"自分さえよければいい"という中国の民族性があるんじゃないですか」
昨今の中国食品批判を見るにつけ、感じずにはいられなかった違和感の根源を、キャスターはあまりにもストレートに言葉にしてしまった。
一連の中国食品に関する報道が、食の安全について議論されているようでいて、しかし、その割には国内の添加物や農薬の話や、アメリカ産牛肉の安全性などの話がまったく話題に上らない理由はここにある。つまり、多くの中国食品に関する報道で議論されているのは、実は食の安全問題ではなく「中国人はヤバイぜ」という中国人批判ではないのか。
もちろん、中国の食品を原因に国内外で死者が出ており、重要な問題ではある。日本だって偽装も農薬も添加物もあるとは言え、少なくとも伝えられる範囲では、一部の中国食品のやり方は異常であるし危険だ。危険な食品を生産した企業に厳しい対応が必要だろうし、中国政府に対して食の安全を高めるよう要求するのも当然のことだ。
しかし、問題の根底にあるのは、例えば中国が急激な経済成長の中にあることや、中国政府の認識の甘さや基準の甘さなど、社会構造の問題であるはずだ。「中国人が悪い奴らだから(又はバカだから)平気でヤバイ食品を提供している」的な人格批判をしたって、問題は解決しない。

私がもうひとつ、この問題で大変に違和感を覚えるのは、報道を見る限りでは「日本食品は安全だけど中国食品は危険」という前提が平気で成り立っていることだ。雪印や不二家やミートホープのことを、もっとさかのぼれば、水俣病や森永ヒ素ミルクのことを、みんな忘れたとでも言うのか。
この前提って、一月前までは「ミートホープは酷いけど、他の肉は問題ない」だったわけだ。こうした一点集中バッシングで問題が矮小化されることには疑問を持つわけで、だから「ミートホープばっかり悪者扱いしてんじゃねえよ」と思い、その反動として、ある種ミートホープを援護するようなことを書いてしまった。まぁ、言い訳ですけど。
「生産している人は"自分のところの商品は食べない"なんて言うんですよ!」と、そのことが中国の特異性のように報じられているが、そんなの日本の加工食品だって同じことだ。映画「スーパーの女」にも、自分の店では買い物をしないパートさんの話が出てくるじゃないですか。
確かに今の日本では、食品を原因に健康被害が出るようなケースは少ないし、死者が出ることも極めて少ない。ミートホープも、偽装の程度に関してはかなり過剰で特異なケースだろう。
しかし一方で、表示の偽装やごまかしは日本でも広い範囲で常日頃起こっているのだし、添加物や農薬を含め、日本の食品だって様々な問題を抱えている。アメリカの牛肉を輸入するか否かも議論になっている。
ジャンクフード食べながらテレビを観て「怖いよね、中国ー」とか言ってるほうが、怖いっての。


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阿斗

とうとう中国の食品による食中毒事件がおきましたとさ
それも農薬を原因とする。

でも、日本の食品も怖いよね
まだ農薬による食中毒がおきてないってだけで。
いつおきるんでしょうか

50年も前の話をもってきて日本の食品も危ないってか。

日本でも偽装はあるけど
農薬で食中毒になったなんて話は最近は聞かないのですが。
by 阿斗 (2008-01-30 18:42) 

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