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183 三崎=いわき市小名浜下神白(福島県)岬めぐりの許される脚色 [岬めぐり]

 すでに何度か断ってはいるが、でんでんむしの岬めぐりでは、地図上に名がついている岬だけをめぐることにしている。その名が岬でも崎でも埼でも鼻でも、なんでもかまわない。
 めぐりかたにもいくつかあって、実際にその岩場の突端に立つこともあるし、近くからその様子を眺めるだけのこともあれば、遠くから岬の形を確認できればそれでよいとする場合もある。また、ときにはバスや電車の車窓から眺めただけでもよしとすることもある。
 どういうときに、どのタイプの「訪問」になるかは、もっぱらその岬のおかれている地理的条件、そのときの計画、バス電車の時刻表などがからみあって、そのどれかになる。
 自然、記録の書き方にも、多少の脚色は必要になる。
 一般に「脚色して」といえば、事実ではないことまで織り交ぜて飾り立てたり誇張したりすることを指す場合もあるが、この「岬めぐり」はあくまでも自分のための個人の記録が目的であるから、“誰に見しょうとて紅鉄漿つけて”という必要は、まったくない。
 かといって、記録というものが、小学生の作文のような事実の羅列(朝起きて顔を洗いました…)である必要もないので、かなりテキトーにまとめてはいるが、ウソは書かないようにしている。だが、そこにはいくらかの脚色はついてまわる。毎回、この岬をどう脚色しようかと考えるのも、楽しみなのだ。自己満足に過ぎないとはいえ、その楽しみが継続の力にもなる。

 三崎は、小名浜に位置する大きな塊である。だが、今回はここの訪問は遠くからその姿を眺めるだけにした。それを見たのは、正確に言うと永崎の海岸からであって、そこは小名浜ではない。すると、それをもって“小名浜の三崎を訪問した”というのは、厳密には事実ではないことになる。
 しかし、岬めぐり全体の中では、この程度の脚色は許されている。
 いわきマリンタワーとかいう高い塔を載せた三崎の景色は、長い海岸線とあいまって、なかなか堂々としている。その景色を望む永崎の海岸には、堤防と海水浴のための両方の目的のためと思われるテラスが設けられていた。大きな鯉のぼりのウロコのようである。人工と自然の造形がおもしろい趣をつくりだしている。これもある種の脚色なのか。

 脚色といえば、今やっているNHKの木曜時代劇は、つまらない。藤沢周平の原作『風の果て』を読んだときには、これはおもしろいと思ったものだが、このドラマにはどうもその良さが、うまく活かされていない。もともとが、主人公の若い頃と現在が複雑にいったりきたりするので、このドラマ化はキャスティングも含めてむつかしいところがある。脚本がダメ、脚色の仕方を間違えたといっていい。
 まあ、小説とドラマはまったく別のものだと割り切れれば、そんなことはどうでもよくなるのだが、それが原作を明示しタイトルも同じで「さあ見ろ」差し出されている以上、なかなかそうもいかない。第一、自分が原作者なら、こんな脚色をされたら怒ってしまうだろう。温厚な藤沢さんはそんなことはないだろうが…。
 司馬遼太郎の『坂の上の雲』は、とても読みごたえのある名作といってよい。初出が『サンケイ新聞』の連載であったのは、元の勤務先に対する義理立てでもあったのだろうか。その時期が昭和43年の春からで、ちょうどでんでんむしが大阪から東京へ転勤でやってきたときから始まったので、よく覚えている。
 長い間、この名作が映画化もドラマ化もされてこなかったのは、脚色の限界を知っていた作者の遺志による。下手をすれば、好戦的なナショナリズム賛歌になることは、目に見えている。司馬さんは、それを充分に知っていたから心配したのだ。
 それが、ついにテレビドラマ化されることになったという。みどり夫人の了解をやっととりつけたNHKが、特別枠で来年放送するらしい。脚色の真価が問われることになる。大丈夫なのか?NHK。

 大平の海岸まできて、次の泉駅行きのバスが来るまで、海岸の風に吹かれていた。風にも、その果てはあると思う。

▼国土地理院 「地理院地図」
36度56分5.22秒 140度55分15.63秒
183みさき-83.jpg
dendenmushi.gif東北地方(2007/10/14 訪問)

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タグ:福島県
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