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157 善知鳥崎=青森市大字浅虫(青森県)ワタシハマッカナリンゴデス [岬めぐり]

 かねてから、一人の人間が一生のうちに辿る動線というものが描けたとしたら、それは大変におもしろいものではなかろうかと思っていた。実際に、その動線を紙の上に記すことは、どうやってみても不可能であろうが、日本国内に限定し、おおよそのことや大きな旅や暮らした場所や住んだところだけに限れば、概観図くらいはできるかも知れないと考えている。
 だが、まだ自分のそれを描いてはいない。けれども、このSo-netブログ「でんでんむしの岬めぐり」とbuzzmap「でんでんむしの岬めぐり地図帳」は、ある程度それも意識の底にあって、ひとり黙々と(というのはヘンかな?)続けているのである。
 広島生まれの広島育ちのでんでんむしにとって、北海道はおろか、青森県もはるか遠い国のことで、こどもの頃によく見ていた絵地図には、北海道にはアイヌのコタンがあってクマがサケを捕っていて、青森県には真っ赤なリンゴが描いてあったものだ。それを眺めながら、ここはいったいどんなところだろうと思いをめぐらせてみても、当然なんのイメージも浮かばなかった。
 その青森県には、これまで片手で数えるほどしか来てはいない。初めて訪れたのも、わずか十数年前のことである。それなのに、去年今年と連続してやってきた。いくつもの半島をもち形が変化に富んでいる青森県では、重要な岬はいろいろとあるのだが、陸奥湾と青森湾を分ける夏泊半島にも、ぜひとも行ってみたい。そう思って、計画の度に一応考えはするのだが、なかなかうまくいかない。
 それは、交通機関の問題である。どうやら、夏泊半島をぐるりと回るバス路線は、ないらしいのだ。
 こういうところは、これから先も全国あちこちであるかも知れないが、必ずしも“日本全国全岬完全踏破”を目指しているわけではない。いたって気まぐれ・行き当たりばったり・車窓OKもあり・決してムリをしないという方針なので、それならそれでもかまわない。
 とはいえ、今回のように往復ここを通過するとなると、なんとかひとつくらい岬をゲットして記録に残しておきたい。そんなこともあって、浅虫温泉の南側に、東北本線の走る車窓から、ちらりと映る善知鳥崎(うとうまいざき)だけむりやり…。

 青森駅では、上りも下りも電車の向きが入れ替わる。それにともなって、乗客がバタバタと立ち上がって座席を回転をさせる。これもかつての青函連絡船が列車をそのまま載せていた名残りで、線路が桟橋へ向かって駅が引き込み線状態になっているからなのだ。
 トンネルができてから、このあたりの鉄道路線は、けっこう複雑になった。
 東京から青森までは東北本線なのだが、青森から函館までは青函トンネルを通る津軽海峡線になる。この海峡線と津軽線は途中同じレールを走るが別であって、海峡線といいながらそこを走る特急電車は、いまのところ新幹線の起点終点である八戸と函館を直接結んでいる。
 しかも、この電車はJR北海道とJR東日本にまたがっているので、車両はJR北海道、乗務員はJR東日本という分担(あれっ? 逆だったかな)で運転されている。
 そんなわけで、JR東日本の“特別切符12,000円三日間乗り放題”の適用路線に津軽海峡線も含まれており、函館まで行けるというわけなのだ。
 しかし、この「白鳥号」の座席についている“チケットホルダー”には、笑える。おじさん・おばさん・おじいさん・おばあさん、こんなとこへ切符を入れてたら、ぜったいいけませんでえ〜。
 だって、青森駅で座席をくるりと回すと…。

 この前、書店で幼児向けの絵地図帳を見かけた。開いてみると青森県のところにはやはりリンゴが描かれている。絵はうまくマッチしているとはいえずいまいちだが、出版社をみるとあの平凡社ではないか。平凡社も出版社としてはなかなかに非凡な経緯と経験を経てきたが、昔から百科事典と地図帳ではさんざんお世話になってきた。なつかしくて、つい買って孫に送ってしまった。
 でんでんむしの孫はまだ学齢前なのだが、どういうわけだか日本地図のいちばん南のはじっこにいる。
 そんな孫に、できるだけ早く、「自分の今いるところ」の意識を、しっかりと思ってもらいたい。そんな気がして…。
 ところが、つい数日前のニュースでは、「これからは小学校で都道府県の名前と場所を教えることにした」というのである。いままで教えてなかった、という事実を初めて知って、おじいちゃんは愕然とする。

▼国土地理院 「地理院地図」
40度52分59.28秒 140度51分3.34秒
157ぜんちどりさき-57.jpg
dendenmushi.gif東北地方(2007/06/26 訪問)

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タグ:青森県
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コメント 2

knaito57

“生涯動線”とは面白いですね。一度の往復(片道でもいい)を髪の毛ほどの線で地図上に描く。一度だけ行った思い出の地を描くのも、忘れ去っていた線を認めるのも楽しい……けれど、大阪支社(札幌営業所でもいい)によく出張した東京人なら、その間は毛糸くらいに太くなる。引っ越しも転勤もなく会社勤めをした人なら、自宅─会社間は鉛筆よりも太くなる。そう思うと、侘びしく切ないけれど。
作図の手間を省くため、これから生まれる子の体内にチップを埋め込むのはどうでしょう。そうすれば当人の所在位置が常にわかるだけでなく、移動線も太さを変えながら自動的に描ける。などと考えると、おぞましいけれど。
どちらにせよ、オレの場合、東京近辺にぐしゃぐしゃした線が固まるだけだな──とは記事からの空想でした。
by knaito57 (2007-09-17 07:12) 

dendenmushi

@ウ〜ん、それはちょっとおぞましいな。SFかなんかにありそうだけど、それはやめたほうがいい。
動線は忠実に描くことは不可能なので、それは考えないほうがいいと思います。ただ、自分の足跡がどこにどうついているのかを整理することができたらなあ…と。
by dendenmushi (2007-09-18 08:16) 

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