129 本根岬＝下田市白浜・賀茂郡河津町縄地（静岡県）本音をいえばこういうときはトホホ

　爪木崎からぽつぽつきた雨は、バスで柿崎まで戻り、白浜方面に行くバスに乗り換えた頃から勢いを増してきた。伊豆では弓ケ浜と並ぶ美浜といわれる白浜は、たくさんのサーファーが黒い鳥のように浜や波間に浮かんでいるのがみえる。同じ砂浜だが、随分と印象が異なるものだ。
　白浜を越えた板戸一色という集落を過ぎ、尾ケ崎というバス停で降りると、雨はざんざん降りになっていた。ここから本根岬までは、さほどの距離があるわけではないが、傘をさして車の往来の激しい歩道もない自動車道を徒歩で歩かなければならないのは、本音をいえばトホホである。

　「根」というのは海中や海岸の岩場のことであるから、それに「本」がついているのは、その中心的な存在であることを示しているのだろう。須崎から稲取までの間、海岸で目立つ岬らしいところは、下田市と河津町の境界にあるこの本根岬といっていい。

　道路がカーブしていて道だけしかないところなのだが、少し南にドライバーのための休憩所のようなものがあって、そこからやっと海岸の一部が覗けるようになっている。道路そのものが海岸から100メートルも上にあるが、それも山肌を削ってむりやりこの岬の上を迂回したような形になっている。

　樹木も生い茂って、いまではもとからこんな地形であったかのような様子をみせているが、伊豆の海岸線の道路には、こういうところが多い。
　河津までは5キロもないくらいと思われるので、普通ならどんどん歩いて行きたいところだが、なにしろこの雨。そして、この歩道もない道と車である。
　やっぱり、徒歩はトホホになりかねないので、始発のバスがある板戸一色まで道を引き返して、下田に戻ることにした。

▼国土地理院　「地理院地図」
34度43分5.05秒 138度59分31.69秒

東海地方（2007/06/09　訪問）

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