SSブログ

107 荒崎・島崎=糸魚川市大字百川(新潟県)越山・かに・セミ・桜木… [岬めぐり]

 能生の海岸には、漁港に並んで近頃どこに行っても大はやりの物産センターのような、海産物の直売所のようなものができている。地図には「能生海洋公園荒崎」という表記があるので、恐らくはこういった施設をつくるために埋め立てられる前には、ここには荒崎と呼ばれる岩礁の岬があったのだろう。(「荒崎」の表記は、地図からは消えたらしい。)

 その端には、越山丸という船がコンクリートで固められて保存されている。この名前はすぐにこの地方が出した元首相の号を連想させたが、これは旧能生海洋高校の実習船だった船で、どうやらそれとは関係がない。二度と浮かぶことのない越山丸のさらにその先には、島崎という小さな出っ張りがあり岩礁が残っていて、かつてこの一帯に広がっていたであろう荒崎の光景を忍ばせてくれる。
 島崎のずっと向こうに遠く見える岬は、少し前に通ってきた鳥ヶ首岬だ。白い四角い灯台が、遠目にもよく見えるが、考えてみればこの岬も変な名前だった。鳥に因んだ地名は多いが「首」というからには、どうでも切断された状態しか想像できないではないか。

 なぜか前衛彫刻が並ぶ埋立地には、風力発電の風車が立っており、道路側には店が軒を連ね赤い「かに」の幡が客を呼んでいる。国道8号線と並んで、ちょっと高いところを久比岐自転車道が走っている。能生小泊という地名になっている漁港の周りには民宿も数軒あるが、ここもどうやら「日本一のベニズワイガニ直売所」というふれこみで有名なところらしい。この「日本一」は「ベニズワイガニ」にかかるのではなくて、「直売所」にかかるのだろう。
 名立でもそうだったが、「小泊」というのが「港」を示しているのだろう。
 地図では「∴能生ヒメハルゼミ発生地」という表示がある小さい山を回り込むと、赤い欄干の橋でつながった弁天さんがあり、その向こうには砂浜が広がる。能生海水浴場であるという。

 直江津の谷浜もそうだったし、島崎の先の百川も藤崎もそうだった。谷浜などは、夏は海の家になる旅館が国道と海岸の間に群れをなしていて、ちょっとあまり他所では見ない壮観だったが、だいたいにおいてこの日本海側の海岸には、念入りに海水浴場がおかれている。
 それは、きっと。長く寒い冬と雪に辛抱させられてきた人々の、短い夏の楽しみ方なのだろう。その情景を想像すると、ヒメハルゼミとイメージがかぶってくるが、あくまでこれは「イメージ」ということなので誤解なきよう…。
 「筒石」というのはなかなかイメージぴったりで、それが北陸線を代表する長いトンネルだった時期もあったような記憶がある。だが、今ではもっと長いトンネルがほかにどんどんできているし、確かに筒石という駅はトンネルの中にあるが、その名前ももう筒石トンネルではなく頚城トンネルという。その筒のような石の中にある駅の直江津よりが名立で、糸魚川よりが能生の駅になる。
 海水浴場から駅までも歩けない距離ではないが、荷物もしょって汗をかいたので着替えているところへ、めずらしくちょうどタクシーが通りかかったので、駅まで乗せてもらうことにした。このタクシードライバーも女性だった。
 「今、ちょうど能生の駅はきれいなんですよ」ということばどおり、その地名も桜木という能生の駅の、ホームに添った桜並木は盛りを迎えているところだった。

▼国土地理院 「地理院地図」
37度6分55.58秒 138度0分47.77秒
107しまざき-7.jpg
dendenmushi.gif北越地方(2007/04/19 訪問)

@このブログは、ヘッダー、サイドバーをも含めた、全画面表示でみることを大前提としています。

にほんブログ村 その他趣味ブログ
その他珍しい趣味へ 人気ブログランキングへ

タグ:新潟県
きた!みた!印(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

きた!みた!印 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました