Vol.92 こんなCAは要注意!
孤独な転職活動の協力者・伴走者と言われるのが、転職コンサルタントや、キャリアアドバイザー(CA)と呼ばれる人たちの存在。
多くは人材紹介会社などの社員で、登録にやってきた転職者に仕事を紹介するだけでなく、面接や書類作成のアドバイスをし、相談にのってくれもする。人材紹介企業を利用する上で、すべての窓口になるだけに、良いCAに当たるかどうかが、転職活動の結果を左右するといっても過言ではない。
今回はよくあるトラブルを題材にCAとのつきあい方、注意点を考えていこう。
「登録してすぐに紹介してもらった仕事があるのですが、どうも好みじゃないので断り改めて『こういう仕事がしたい』とお願いしたのですが、しばらくするとまた同じ企業を紹介してくるんです。そんなにこの会社に入れたいのかと、強引さを感じてその紹介会社とは疎遠になってしまいました」(Kさん/27歳)
トラブルの中でも多いのが、希望と違う仕事を紹介される、というものだ。
これには2つの理由が考えられる。
まず、一つめは紹介会社の手駒、つまり紹介できる企業が少ない場合だ。しかも人気の無い企業を抱えている場合は、なかなか採用者が決まらないため、無理を承知で何度も何度も勧めざるを得なくなる。
もうひとつの理由は、応募者の希望と適性にズレがある、とCAが判断した場合だ。たとえばまったく違う企業へ未経験で転職したいと思っても、経験者優先の転職市場では厳しい。それなら実績のある職種で、確実に内定が取れる仕事を紹介するだろう。
人材紹介会社は、応募者が採用されて初めてギャランティが発生する仕事である。そのため、内定に近い紹介を優先させる事は珍しく無い。
ちなみに、紹介会社に入るギャラは、採用者の年収の約1/3と言われており、これは採用側の企業から支払われる。未経験枠の採用より、経験者としてキャリアを評価されて採用される方が、紹介会社の利益も増えるのである。
このようにチャレンジングな転職をする場合は、個人的な活動の方がストレスが少ない事もある。
「説明には『給与や待遇など、個人ではやりにくい交渉もお任せ下さい』とあったんですが、担当になったCAが交渉どころか、言った事を右から左へ伝えるだけの伝書鳩状態。先日も給与の希望を伝えたら『わかりました。お伝えしておきます』『お返事がありました。やっぱり難しいそうです』でおしまい。他にも大事な事をメールの定形文で終わらせたりと、人の心を逆なでするばかり」(Sさん/24歳)
確かに交渉力不足のCAもいる。
CAにもなりたての若い人材からベテランの中年までいろいろだ。若い人に当たると、一生懸命になってくれる反面、複数の案件を抱えて一杯一杯になってしまったり、重要な連絡も簡単なメール一本で済ませるアンバランスさがあったりする。
最終的には人と人の相性の問題もある。どうしても合わないCAが担当になったら、ストレスを抱えて対応するよりも、サクッと紹介企業を変える方が精神衛生上いいだろう。
また基本的にCAにとってクライアントは採用側の企業という事だ。
応募者と企業がぶつかったなら、クライアント寄りの対応が多いと覚悟しておいた方がいい
「ある人材紹介会社に登録したのですが、すぐに別口で採用が決まったので、登録の削除をお願いした。しかし転職してしばらくたつのに、まだダイレクトメールが送られてくる。いったいどうなっているのか」(Oさん/29歳)
個人情報の管理が甘い紹介会社である。
が、おそらくこの紹介会社には、何人もの人材を紹介し、何度も内定を出しているのに、入社に至らない“不良債権”の様な企業を抱えているものと思われる。
紹介企業としては、『必ず御希望の人材をご紹介します』と営業した手前、とにかく人材を送り込まなければいけないので、少しでも可能性がある人の元にDMを送りまくっているのだろう。
そういう企業にとって、個人情報はまさに宝の山。もう転職したと分かっていても、数ヶ月たって職場に違和感や不満を感じている頃を見計らって送っているのである。
一、CAは手持ちの企業情報の中から、少しでも内定に近い仕事を紹介する。
一、CAにとってクライアントとは、応募者ではなく採用する企業である。
一、応募者よりも、企業の事情を優先する事もある。
一、合わないCAが担当になったら、ストレスを抱えるよりも企業変更。
作者: 山本 直治
出版社/メーカー: PHP研究所
価格: ¥504(税込)
タイトルはセンセーショナルだが、中身は堅実。人材紹介業界の実態を紹介した一冊。コンサルタントを利用して転職する人は手に取って損は無い。
共通テーマ:仕事
コメント 0