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ジュゼッペ・ヴェルディ [音楽]


1813年10月10日はヴェルディ生誕の日。
イタリアオペラ史上の巨匠。

作曲家としてのヴェルディはとても雄弁だったが、対人関係においては不器用で、
弁もあまり立たず、短気な性格あったらしい。
作曲家としてスタートしてから、すぐに自分の妻と子供を亡くしてしまったヴェルディは
失意のあまり作曲家を断念しようとした。
ヴェルディの才能を知る、ミラノ・スカラ座の支配人メレッリが、彼を心配し、
「ナブッコ」の台本を無理矢理、彼に手渡し、「これは君にしか作曲できない。」
と言って励ました。
もうどうせ作曲もやめるんだし・・・とヴェルディもあまり乗り気ではなかったが、
台本を何気なく眺めていると、次第にその目に熱が宿ってきたという。
熱にうなされるようにヴェルディは「ナブッコ」を書き上げた・・・。
ヴェルディはスカラ座でこれが上演されるもの、
と思っていたが、現実はそう甘くなく、当時の人気作曲家の新作が目白押しで、
駆け出しのヴェルディの作品にはなかなか出番が回ってこなかった。
支配人のメレッリもヴェルディを元気付けるために作曲を依頼したものの、
興行を成功させる、ということになると、また別問題だったらしい。
怒ったヴェルディはメレッリの愛人でもあったプリマドンナのストレッポーニ嬢を訪れ
「ナブッコ」の楽譜を見せた。
ストレッポーニは楽譜を見て少し歌ってみると驚愕し、

「プリマとしての私の勘では、この作品は間違いなく大成功を収めます。」

と言い放ち、そのまま今度は有名バリトン歌手のロンコーニのもとに向かった。
ロンコーニにも楽譜を見せ二重唱などもその場で二人が歌ってみると、
ロンコーニも驚嘆した。

「こ、これだ!今のお客はこういうのを待っていたんだ!これは是非とも舞台に乗せなくてはいけない!」

熱烈な二人の支持の影響もあって「ナブッコ」はスカラ座で上演されることとなった。
ナブッコはロンコーニ、アビガイッレはストレッポーニ嬢の手によって。

ナブッコの初演は観客の熱狂的な支持を受けた。
ヘブライの奴隷たちの合唱部分「Va!pensiero(行け我が想いよ、黄金の翼に乗って)」は特に有名になり
侵略を受けズタズタにされたイタリア人の心を捉え、
今でもイタリアの第二の国家と言われるほどの曲となった。
公演は熱狂を呼び再演につぐ再演で記録破りの57回にも及んだ。

この時のストレッポーニとの出会いがきっかけとなり、
ストレッポーニは後々ヴェルディの生涯の伴侶となる。
だがストレッポーニは自分の若い頃の乱れた生活を悔いて恥じ、
ヴェルディの妻となることを潔しとせず、同棲から10数年の時をおいてから
ごくごく質素な結婚式を挙げ、妻となったのであった。

これ以後ヴェルディは記録的な作品を作り続けている・・・
特に中期の大傑作「リゴレット」「イル・トロヴァトーレ」「椿姫」
の3作品がパリのオペラ座の年間公演の3分の2を占めるほどになってしまったという。
それはまた別の機会に。

イタリアの占領下で統一運動をオペラによって支えようとしたヴェルディ。
イタリア人を鼓舞し続け、VERDIの文字はVittorio Emanuele Re D ' Italia(イタリア国王ヴィットリオ・エマヌーレ)
と符号することから、イタリア統一運動の象徴とされた。
当時のイタリア人たちの独立運動の合言葉は「Viva!Verdi!(ヴェルディ万歳!)」であったという。

イタリアの統一が成功するとヴェルディも請われて国会議員に選出されるが、
元来政治と無縁なヴェルディにとっては国会も無味乾燥な場所だったらしく、
すぐに職を辞して作曲家に専念する道に戻る。

歳を重ね、既に老境に入った頃に、「ヴェルディがオテッロを作曲してるらしい」
という噂が流れた。
この時ヴェルディ実に81歳・・・さすがに皆、歳を考えるとあまりこのオペラは期待できないのではないか・・・
という憶測が大半。

初演で演奏が始まると、その憶測は吹き飛ばされ、ヴェルディ壮年期のようなエネルギッシュな「オテロ」に
観客は圧倒されたという。
カミソリのような切れ味を持つと人気の高いタマーニョが
オテロの第一声を歌い上げると、その伝説的な高音が会場を震わせ、観客を痺れあがらせたとか。
観客は終演後も興奮冷めやらず、タマーニョの泊まるホテルまで押しかけ、快哉を叫んだ。
タマーニョもそれに応えホテルのバルコニーから今一度オテロの第一声を歌い上げたのだという。

ヴェルディの最後のオペラは「ファルスタッフ」
駆け出しの頃、喜劇で大失敗し自分には喜劇の才能はない、と言って避け続けた「喜劇」だった。
太っちょの騎士ファルスタッフをどういう気持ちで書く気になったのかは分からないが・・・
ヴェルディのエネルギッシュな人生の最後の満面の笑顔のようにも思える。


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