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昨今の救急報道に関する私見 [雑感]

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今回のエントリーは、昨今の救急報道に関する個人的な視点を述べてみます。ご批判はお受けしますが、コメント上で、議論を戦わすつもりはございませんので、あらかじめご承知おきください。

http://www1.ntv.co.jp/action/theme/02/  

「医療崩壊」過酷な勤務医をサポートせよ
小児科や産科のたらいまわし救急医療など、今、日本中で起きている”命の格差”問題を徹底取材。あるべき「医療体制」の提案を!
というタイトルのブログがあります。報道関係者がおつくりになったブログのようです。コメントも書き込めるようで、医療関係者から多くのコメントが入っています。テレビ関係者は、どうしても、わかりやすく印象的にというところに力点を置くためでしょうか?すでに、サブタイトルに、「たらいまわし」という用語を使用しています。

メディアがこの言葉を使うことによって、メディアリテラシーがまだ十分に育っていない声なき多くの方々に、潜在的な医療不信の根を植え付ける・・・・そして、それが、現場の医師患者関係の構築に支障をきたすということが、どうもおわかりにならないようです。

それは、現場にいらっしゃらないので、無理もないかもしれません。 私も自分のこのブログ上で、「たらいまわし」という用語をメディアが使用することに関して、抗議の意を表明し続けてきましたが、そろそろ、諦めの心境になってきました。

次の報道でも、キャスターさんの原稿に、しっかり「たらいまわし」とあります。

http://www.news24.jp/101208.html   魚拓

06年救急搬送 20か所以上要請104件 <1/16 0:36>

大阪市消防局は15日、救急搬送の際の「患者のたらい回し」問題で、患者の搬送先を探す際、延べ20か所以上の病院に受け入れ要請をしたケースが、06年の1年間に、大阪市だけで104件あったことを公表した。3~4日に1回の割合で起きていたことになる。

これは、動画もみれます(いつまでリンクがあるのかはわかりませんが?)。

救急の受け入れが難しいという医療の現場の状況は、今に始まったことではなく、昔からあることが、今大騒ぎになっているだけという感が、個人的には強いのですが、この昨今の報道により、いい意味で世論が変わってくれることに期待します。そこには政治の力も重要でしょう。医療機関だけが悪くないという認識も増えてきたようには思います。ですが、やはり、こんな事例があるのも事実です。メディア報道が生んだクレームだと私は考えています。

82歳 女性 来院時心肺停止(CPAOA) (症例には、いつもの如く脚色入れています。相当変えました。)

ある当直帯のこと。
当院の救急外来の体制:看護師2名、医師2名(内科系、外科系一名ずつ)、臨床初期研修医1名。 

そんな体制で、午前3時に、ホットラインが鳴った。心肺停止患者(CPA患者)でした。 

このとき、歩いてきた患者さんが外来に2名ほどいましたが、二人とも声をかけて、一端診療が中断する旨を告げました。お二人ともそれは快く理解していただきました。分別のある患者さんたちでした。そして、5名全員で、心肺停止患者に備えて待機しました。 

懸命に、心肺蘇生処置をがんばりました。

約20分後、心拍再開しました。しかし、不安定でした。

まだまだ、その患者さんに外来スタッフがかかりきりにならざるを得ませんでした。

その途中に、ホットラインで新たな受け入れ要請がありました。呼吸困難の高齢男性だったそうです。事務の方に、医療スタッフは、対応不能と返答するように、電話対応をお願いしました。

蘇生をがんばった患者さんは、午前5時ごろにようやくバイタルも低空飛行ながらキープできて、なんとか病棟に上がれるめどが見えてきました。原因は、確定できませんでしたが、誤嚥・窒息を考えました。

そのころです。対応不能とお断りしたはずの呼吸困難の高齢男性の家族から、突然電話が入ってきました。

お宅は、どうしてたらいまわしするのか! すぐ診てほしかったのに。
 今からでもいいから、そっちに救急車で行くから!」

というクレームでした。搬送された別の病院から家族(50台くらいの男性)が電話をかけてきたのです。まさに、旬のクレームです。昨今の報道はこういう人を作ってしまうのです。だから、昨今のたらい回し報道に、現場ははっきり言って迷惑しています。

この家族は、県知事と後日会う予定だから、本日のことを知事に言うといいました。
(本当に知事に言ったかどうかは、確認できていません)

結局、搬送された病院の医師も家族対応に困り、先ほど蘇生処置を終えたばかりのへとへとの内科医師が電話対応し、この高齢男性の患者さんを引き受けました。

午前7時に転送されてきました。

内科医師は、この患者さんと家族に謝罪をしました

そして、心不全増悪の診断にて当院で入院となりました。そして、へとへとの内科医師は、翌朝そのまま、定期外来の診察に入ったのです。

関係者は、クレーム対応として、報告書を作成しました

もちろん、この患者さんもご家族を愛する余り、必死の行動だったのだと思います。

皆が生きるために必死なんだと思います。
病気、死に対する社会全体の認知が、個人個人の行動にきっと影響しているのでしょう

私の思う社会全体の認知とは、「病気・死とは避けるもの、戦うもの」です。
参考エントリー:日本人の「死生観」と私の思い

少なくとも、この家族は、そういう認知が、根にあるからこそ、これだけ必死になるんだと私は思いました。もちろん、それがいけないとは言いません。

しかし、上記のような救急医療現場は、医師が健全にかつ長く働き続けられうる環境でしょうか?政治家の方々に、私の声が届くことを願っています。

ただ、皆の認知が、「病気・死とは避けるもの、戦うもの」であると、医療という社会システムがおっつかない現状もあります。

難しいですね。個人個人の価値観レベルと社会システムを同じ土俵で述べていいのかという危惧も在ります。同じ土俵で述べることが許されるならば、社会システムがおっつくように個人個人の価値観を意図的に誘導するという戦略を日本国がとればよいことになります。それは、それでなんか変だなあとも思います。

私は、病気・死は、戦うものではなく付き合い受け入れるものだと個人的には思っています。
そして、そのような受容感が社会風潮として浸透していくことを願ってやまないとも思っています。

それが、医師も患者も、ハッピーになりうる一つの道だと思います。

私の考えは、個人の価値観と社会システムを同じ土俵で述べたものであり、それは批判を受けても仕方がないと思っています。でも、私には、医師患者関係が、win-winの関係になるための他の手を思いつかないのです。

少なくとも、今の上記引用のメディアが報じた視点(医師不足、訴訟リスク)だけでは、医療崩壊の窮状を脱するのは難しいと私は思います。


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共通テーマ:日記・雑感

コメント 26

コメントの受付は締め切りました
tidalwave

はじめに対応を断られても他院に搬送された時点で、
この呼吸困難の患者さんはきちんと ”死を避ける”機会を保障されたわけですから、本来ならば何の問題もないケースです。
それなのに満足できないというのは、ケーキをひとつ食べても、もう一つたべないと気がすまない子供のような、単なる甘えに見えます。
どうしても別の病院で診て欲しいというのであれば、状態が安定してから日勤の落ち着いた時間帯を選んで転院でもいいわけですし。

あやまる筋合いではないのにきちんと謝罪された内科医の方を本当に気の毒に思います。
いったいこの内科医が何か悪いことをしたのでしょうか?
医師をしていて一番疲労を感じるのは、
重症の処置で忙しい時よりも、家族や患者のこういう理不尽なクレームの時だと思うのです。
そして、それが度重なることによってモチベーションも下がり、精神的に疲労し、同じ頭数だとしても著しく効率が下がる。
日本の医師は他国に比べてとても勤勉です。
数が少なくても長時間労働でも、ぎりぎりの所でよく働いてきました。
その危ういバランスを崩したのはこのような精神的な攻撃です。
報道機関の方を含め、世間一般の人々にもっとそういうことをわかっていただきたいですよね。
by tidalwave (2008-01-16 15:59) 

ある学校医

いつも聡明なブログ内容に感心し、勉強させてもらっております。
先生の意見に全く同感です。

医療崩壊の現状、大変さを(地域の講演会の機会や知人などに)主張しても、実情を分からない一般の人にはなかなか理解していただけないし、医師のわがままと思う人も少なからずいます(これも今の医療不信が蔓延した社会では仕方ないと思っています)。

今後は他の患者で心身ともに一杯一杯でも救急車を断れない当直(夜勤ではない!)を強いられることになりそうです。何とか受けてもそんな状態で受ければ十分な医療は提供できないし、運よく無事に済んでも翌日夜遅くまでの通常業務です、、、。ちょっとつらいですよね。

先生のブログや、「新小児科医のつぶやき」「がんになってもあわてない」などの有名ブログを拝見させていただいておりますが、同じ医師の目からみて(脚色や偏見、わがままなどではなく)なるべく中立に現状を情報発信されているように思います。
明らかに偏った中傷コメントもあるかと思いますが、応援しておりますのでこれからも頑張ってください。
by ある学校医 (2008-01-16 16:08) 

akagama

すばらしい記事、ありがとうございます。
今年の、医療ブログのベストエントリーだと思います。
by akagama (2008-01-16 16:35) 

ハッスル

医師不足や訴訟の話がにわかにクローズアップされている現状を、進歩と捉えればよいと思えません。
医師不足と同様に看護師不足も根深い(これだけ不安を抱えた医師の指示で働きにくいのはいうまでもないでしょう)し、訴訟リスクも自分が回避できればいいだけの問題ではありません。
対策がそこだけに光を与えても、それは違いますよ、と思います。

(少なくとも身近な)人が死ぬことを悲しむばかりで許容しないという前提で行われる議論には、もう付いていけなくなっています。
現在の状況は社会(専門医学の進歩、核家族化や教育)の変化に人が付いていけなくなったことが反映されたもので、個別対応ではなんともならないと、あきらめています。
by ハッスル (2008-01-16 17:41) 

professional

救急医療や外科手術は、圧倒的に需要>>供給なので、皆保険制度での維持は不可能です。市場原理に基づく医療がもう少しです。皆さん、米国は嫌いなようですが、日本とは比べのにならない労働環境と収入があり、刑事訴追はありません。民事は、民主主義国家であれば、規制のしようがありませんが、日本の司法判断のほうがはるかにトンデモだし、これは保険で対応可能です。いま、USMLE受験者はうなぎのぼりです。個人の幸福追求は基本的人権ですし、この流れは誰にもとめられません。医療における刑事免責が確立され、市場原理を導入し、労働と技術に相応の対価が支払われるようになるまで、崩壊は続くでしょう。なぜ、皆さん、そうまで赤の他人に尽くそうとするんですか?
by professional (2008-01-16 17:49) 

moto

日本には、民間医局や、医師の就職仲介業は、いろいろありますが、日本の医師免もってる人対象に、海外への語学留学+医療職紹介、っていうビジネスは、これからできないのかな?
オーストラリアは、たしか、英語力さえあれば、日本の医師免そのまま使えるし、州によっては、英語力すら、多少は眼をつぶってくれるそうですね。
 
by moto (2008-01-16 18:51) 

Med_Law

患者に媚びることが社会の要請であろうと、悪くないことには詫びてはいけない

無知から怒りをぶつける人には無知であることを知らしめて、怒りの原因を取らないといけない。怒りへの慰撫は特効薬ではない。

医師が患者を選別しているのではなく、医療資源を患者が貪って奪い合っているという実情を知らせないと、いつまでたっても当該クレームは消えないでしょう

謝罪した内科の先生は人は良いだけに燃え尽きないか心配になってしまいます。休息も必ず取れなければ、人間潰れてしまいます。
疲れ果てて、クレーマーから開放されるには謝るのが一番時間が短くて済むと考えられたのかもしれません。寂しい・悲しい話です。

一般大衆は自分たちの都合の良い、耳障りの良い情報しか手に入れないだろうし、正論に反応することもないでしょうから、現場で徹底的に説き伏せる必要があります。それに応じないなら契約不成立で受け入れるべきではないと考えます(応召義務との絡みで面倒この上ないですが)
by Med_Law (2008-01-16 19:04) 

逃散の勧め

先生の病院の職員様は優しいですね。
今後、職員を離職させないためには、このようなクレームに近い診療強要に対して毅然と立ち向かわなければならない時代になってくると思います。
(もうなってる!?)

このケースの場合、相手方(初期受け入れ病院)との関係もありますので、転送受け入れは仕方がなかったとは思います。

しかし、その後の処理がマズイ。
正しい対応として、この患者&家族は徹底的に糾弾して、逆に謝罪させるくらいの対応をするべきだったと思います。実際問題、無理だ~という話もあるかもしれませんが、一生懸命治療を行った心肺停止患者の家族も味方にして資源である医療従事者を守らなければ病院が維持できないのではないでしょうか?

「知事?それがどうした。」と言い返しましょう。
by 逃散の勧め (2008-01-16 20:06) 

鴛泊愁

初めてお邪魔するかと思います。良い文章で、考えさせられるものでした。自分の日記で引用させていただきましたので、事後ですが連絡させていただきました。

酷い患者ですが、その人だけの問題ではないところが悲しいです。人は皆、必ず一定確率、そういうエゴ丸出しの部分が存在します。それにしても、ここまで抑制のきかない人は珍しいのではないかと。

くれぐれも、無理はなさいませんように・・・
by 鴛泊愁 (2008-01-16 20:35) 

優駿

興味深いエントリーでした。
ちょうど昨日自分の担当患者の転倒で家族からものすごい攻撃を受けて気がめいっていたところでした。
僕は自分やスタッフは間違ったことや謝罪するようなことをしていないと思い一切謝罪はせず、こちらの非を認めませんでした。
(家族はあんたじゃ話にならん直接院長に直訴すると言ってましたが。これで院長に怒られたら病院辞めてやると思ってますが。)
この内科医の先生の対応は大人だと思いました。僕なら絶対に謝罪しないなと。
しかも知事とか他の権力を出してくるような人はだいっ嫌いなのでなお更意固地になっていたと思います。
でも、対応としてはその内科の先生のほうがいらぬ揉め事を作らないので良いのでしょうか。
by 優駿 (2008-01-16 21:08) 

Bundo

救命センターで10年間働き、似た体験もしてきました。これもモンスターぺーシェントの一例ですよね。
先生方のご苦労もよくわかります。内科の先生も辛くやるせない思いをされたでしょう。
でも逃散の勧め様、優駿様のおっしゃるように、小生も当方に非がないのであればすぐには謝罪はしないでしょう(それこそ知事に事情を説明して裁定を仰いでは?)。
そうでないと、救急に従事する者の無力感がますます強くなってしまうのではないでしょうか。
by Bundo (2008-01-16 21:43) 

MARUKO

いつも読ませて頂いています。
先日、「広辞苑 第六版」が発売になりました。
さっそく購入し、「たらいまわし」の語句を引いてみたところ・・・

1.足で盥をまわす曲芸
2.一つの物事を、責任をもって処理せずに次々と送りまわすこと。「政権の―」「あちこちの病院を―にされる」

とあり、とてもがっかりしました。マスコミ用語をそのまま広辞苑に載せちゃったのですね・・・。
by MARUKO (2008-01-16 21:58) 

田舎町の開業医

大阪の公立病院に勤務しているときに、議員が知り合い、市長の知り合い、知事の友人などという患者が夜中に救急で急な入院を要請したり、無茶な要求をすることがよっくありました。最初はちょっと動揺したのですが、できないことはできない、無理なものは無理だと言い張ることを続けました。病院事務は大体翌日私にどのような状況であったのかと説明を求めにきましたが。あるときから、知り合いにえらい人がいるというクレイマーがいたら、『ではそのえらい人に直接電話してもらってください その人に私が断りますから』と話をするようにしました。一度だけ本当に府会議員から電話かかってきましたので、状況を説明し夜中の急な入院を断りました。(もともと別の病院で悪性腫瘍でかかっていて、夜急に痛くなったから当院で入院させてくれっていわれても。通院中の病院には受診するつもりもなさそうで 理由は主治医が夜にはいないので 翌日までのつなぎにうちで入院させろということらしいのです) 15年前の話ですが、いつの時代も・・・・・。
by 田舎町の開業医 (2008-01-17 07:27) 

なっく

以前働いていた準公立病院で広範性の脳梗塞で運ばれてきたときにはもう、って患者さんがいました。高齢でもあったのでそのまま様子をみることにして、家族にもお話して了承を得ました。ところがぎっちょんwその患者さんの長男が現れ「そんな病気のわけない!親父は肺が悪いんだ。親父が死んだらお前たちのせいだからな!」とわめきちらしこちらが何をいっても聞き入れません。すると次男が「兄は耳が聞こえないんです」と。
特殊なケースだったので笑い話にしていましたが、最近では耳はよく聞こえてるはずなのに上記と似たような家族がいて困りますね。
by なっく (2008-01-17 10:05) 

doctor-d-2007

貴重な症例提示ありがとうございました。
モンスターペイシェントが「たらい回し」という言葉を使って病院にクレームをすしている事から、「たらい回し」報道がモンスターを生んだという因果関係が明確に証明された症例です。

こういった患者には毅然とした態度で接するべきだと思いますが、結局担当された内科の先生が謝罪するという、その場しのぎでモンスターを助長させる対応となってしまっているのは本当に残念でなりませんが、現場とはそういうものだとも知っているだけにorz
by doctor-d-2007 (2008-01-17 11:27) 

snorita

はじめまして。約15年小児救急やってきましたが、ここ7〜8年こんなことばっかりです。ここに書いてあるご意見、医師が皆思っているし、すでにいろいろな方があちこちで表現されていることなんだけど、なんで医師以外の人は全く反応しないんでしょうね。コメント欄も(私も含め)ほとんど医療関係者ばかりですね。認めたくないから?聞きたくないから?無視?・・・日本人はダメな人の集まりになってしまっているのかもしれませんね。
by snorita (2008-01-17 13:37) 

ぼやきのソーシャルワーカー

お久しぶりでございます。
みんながみんなとは言いませんが、確かに、「たらい回し」と同様、「院内感染」「医療事故」など、言葉を聞いた印象だけでとらえてしまい、猜疑心でもって物事やスタッフを判断しようとする時、せっかくの患者・家族と医療スタッフの良好な関係が崩れてしまったりする場面を何度も見てきました。
これは、言われるがまま漫然と治療を受けていた時代から自ら積極的に選択していく時代に変わることへの、負の部分ではないかと思います。
うまく言葉が見つからなくて妙な言い回しにはなってしまいますが、やはり「信頼関係」を基盤にした関係でなければ、医療に関わらず、どこの業界でも一緒ですよね。
失礼ながら、患者との信頼関係を築こうという努力を面倒に思われるスタッフもいます。でも、多くはそんなことはなく、一生懸命よいと思うことを考え努力しています。だから、起きたこと、人間を個別にとらえていくということをしないと、結局何も見ていないことになっちゃうんですよね。
患者さんもそう。報道もそう。もしかしたら時には医療スタッフもそう。
見ている人もいるし、大人のマナーを持っている人もいる。
みんながそんな風に考えられたらいいのに。。。

救急現場ではみんな必死ですから、こういう問題が表れやすいのでしょうね。テレビをつければ、誰が悪いかを得意げに毎朝たきつけている番組もありますね。
眠れない夜に心身ともにくたくたになりながら、救命をされているドクターには、私の言うようなことは切迫感が違うのでしょうね。
ある健康番組がすごい影響力で間違った知識を植え付け、食べ物市場を動かしましたが、それほどのリスクがあるという前提で慎重に報道してほしいとは思っています。松本サリン事件も然り。疑わしく見ようと思えばいくらでも疑わしく見えます。視聴者の責任もありますが、報道の責任もあります。世直しや必要な情報を国民に伝えるという立派な功績もあるとは思いますが、やはり諸刃の剣ですからね。

まとまらない言葉でつらつらと申し訳ありませんでした。
私は先生方を応援しております。理解のない人もいますが、先生方に感謝している人もたくさんいます。
一日も早く、モンスターペイシェントが恥ずかしいことだという報道が主流になりますように。
by ぼやきのソーシャルワーカー (2008-01-17 18:39) 

平沢沙里

記事&医療関係者の方々のコメントを拝見して、これではいけないと思いました。私は患者の立場の者です(現在通院しています)

報道の問題は、患者の視点からしか見て無くて(というより、わざとそうしてセンセーショナルに作っているんでしょうね……)、医療機関側からの視点に欠いています。
偏った報道に、本当に踊らされてはいけませんね。

あと私たち患者には、「最良の医療サービスを受けられて当たり前」という精神が蔓延しているように思います。

先生方や看護婦さんたちは、人間なのです。それぞれ医療に対する考え方やスキルも違うし、抱えている事情や状況も違うはずですよね?

患者の方も、医療を「自動的に自分に最良の医療サービスを与えてくれるもの」ではなくて、もっと有機的に捉えれば、むちゃなクレームも減るのではないかと思うのですが……。
by 平沢沙里 (2008-01-17 20:25) 

ぼんちゃん

屁の突っ張りにもなりませんが、援護射撃させて頂いております@mixi
by ぼんちゃん (2008-01-17 20:29) 

SORA

私も非医療者ですが、昨今の医療関係の報道には辟易しています。
親類縁者や高校の同級生で医師として活躍している人が何人かいて彼らの苦労を聞くと本当に昨今の報道に遣る瀬無さを感じてしまいます。
この記事を読んでまさに我が意を得たりと思い、この記事をmixiの日記で紹介させていただきました。
by SORA (2008-01-17 22:36) 

DrTakechan

とても重要な記事を書かれたと感服致しました。過重労働の中、必死に現状を伝える先生のブログは非医療者にも少しずつ浸透していると感じます。
開業医となり第一線の救急現場から離れている私には、現在進行形の危機を書くことは難しいのですが、過去の経験を生かし、医療をよくするための記事を書いていきたいと思っています。
私たちの世代が、少しでもより若い世代の医療者の成長に貢献できることを願っています。お疲れでしょうがどうか続けてください。
by DrTakechan (2008-01-17 23:32) 

自分は医療関係者を目指す学生なんですが、先生のブログを読み勉強させていただき感謝し、また自分の無知を恥じています。
失礼ながら自分のブログで紹介させていただきました。

私は現在の医療現場の状況として、メディアで叫ばれている<医療崩壊>、<医療訴訟>という言葉はどこか遠い場所で起こっているような印象を受けていましたが、実際に先生のブログやたくさんのコメントを読ませていただきいろいろ考えさせられました。

これからも頑張ってください。
by (2008-01-18 02:03) 

もう一人のカモカ

外科救急医療を3年、脳外科を10年、都会の下町でローソン医療を12年している医師です。
初めて、読ませていただきました。忙しい中、グログを書いておられることに感動しております。私も、多忙にもかかわらず、メディアを通じて色々発信しております。先生とは違いますが、トイレの中でも携帯で患者と対応してるような日々です。
以前に患者と大きなトラブルを抱え、人生を失いかけたことがあります。その時に、弁護士から受けたアドバイスを紹介します。
クレームは大きく3っつのパターンがあります。
1:医療者に非がある場合。
2:言いがかりの場合。
3:患者が(精神障害などで)思い込んでいる場合。
それぞれに対応がことなり、1の場合は、誠意を尽くす。2の場合は毅然とした態度をとる。3の場合が最も大変困難で、客観的な証明をする努力をするということでした。
私の場合は、3のケースで強い思い込みを持った患者が私を刑事告訴したので、逮捕こそされませんでしたが、検察庁から「不起訴証明書」が届いて市民権が回復するまで約半年かかりました。
その後、私は医師である前に職員に給料を渡して生活を保障したやる経営者であり、家族に幸福な生活を与える責任者であると認識のもと、医師としての人生を送っております。
by もう一人のカモカ (2008-01-18 06:33) 

よっしぃ

遅ればせながら少しですが紹介させて頂きました。
by よっしぃ (2008-01-18 08:36) 

luxmann

いつも拝読しておりますが、今回も非常に考えさせられ、「うんうん」とうなずく記事でした。

とある講演会で、こんな話を聞きました。
アマゾン川奥地の原住民には寝たきりの人がいない。
何故かというと、病気などで床に伏せると家族は枕元まで食事を運ぶ
事しかしない。自力で食べられるものは復活し、そうでないものは
そのままお看取りをする。だから、「寝たきり」という状態がないのだ、と。

社会全体が、このような共通認識をもてるようになれば
私たちが直面している現状も打開できるのですが・・・。

現在は地道に目の前の患者さんに対応していくしかないですね。

記事の中にあるように、医師-患者関係が win-winの関係を
築けるようになりたいものです。
by luxmann (2008-01-18 15:45) 

元なんちゃって救急医

たくさんたくさんのコメントをありがとうございます。
おひとりおひとりに返せなくてごめんなさい。

正直、このエントリーにこれだけの反響をいただくとは思っていませんでした。特に今回、医療関係者以外の方々からも多くのコメントをいただいたように思います。

私達、医師ブロガーの活動が、少しづつ、医療情報を正しく的確に伝えるという社会的意味を持ち始めているのかもしれません。

今後ともご指導ご助言のほど、何卒よろしくお願いします。
by 元なんちゃって救急医 (2008-01-18 22:40) 

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