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「母になるあなたへ」 義父、奈良女大で講演 奈良・妊婦転送死亡
07/05/30 記事:毎日新聞社

奈良・妊婦転送死亡:「母になるあなたへ」 義父、奈良女大で講演
奈良県大淀町立大淀病院で昨年8月、同県五條市の高崎実香さん(当時32歳)が分娩(ぶんべん)中に意識不明となり、転送先探しが難航した上、搬送先で死亡した問題で、義父の憲治さん(53)が30日、奈良女子大学文学部(奈良市)の「社会学概論」講義で、事故の体験や再発防止への思いについて語った。

 薬害や医療事故の研究実績がある、「陣痛促進剤による被害を考える会」メンバーの栗岡幹英教授(社会学)が依頼。陣痛促進剤は実香さんにも投与された薬で、憲治さんは「いつか出産する女子学生に、被害者にならないための知識を身につけてほしい」と講演を快諾した。

 講義には約30人の学生が出席。憲治さんは、陣痛促進剤の副作用で、母親や赤ちゃんが死亡するケースが相次いでいる現実にショックを受けたといい、実香さんが亡くなった経緯を説明しながら、「いつか病院と遺族が手を携えて、地域医療を再生したい」と強く訴えた。【高瀬浩平、中村敦茂】

m3掲示板が、復活しました。その掲示板で見つけた記事です。m3で書くとまたいろいろと言われなき批判を浴びそうなので、こちらに書くことにしました。

それにしても、「陣痛促進剤による被害を考える会」の会は、いったい何を考えているのでしょうか?ただただ恐ろしい限りです。

あのシンポジウムの勢いで、あの論点が、なにも知らない女子学生たちに一方的に吹きこれてしまうことを想像すると、ある意味、女子学生たちが、医療を過度に不安に感じてしまう被害者になりかねないかと懸念します。

>いつか出産する女子学生に、被害者にならないための知識

そもそも、被害者なのでしょうか? ご遺族がそのような感情をお持ちになるのは、私も理解できないことはありませんが、マスコミが一緒になって、いまだに被害者と書き綴ることに嫌悪感を覚えます。 

>母親や赤ちゃんが死亡するケースが相次いでいる現実

本当ですか???????
これこそ、新聞社は冷静に中立的な立場で、検証し、記事にすべきではないでしょうか?

いずれにしろ、家族の伝聞の形をとることによって、記者の責任を回避できるようにしながら、一面的な内容を垂れ流しているだけのレベルの低い記事だと思います。

「陣痛促進剤による被害を考える会」は、ほんとうに恐ろしい会だと私は思います。当ブログで報告しているシンポジウム聴講記をご参考ください。

多くの善良な女性の方々へ言いたいこと
「陣痛促進剤による被害を考える会」の発言を盲目的に信じるのはなく、どうかご自身で、いろんな立場からの意見にも十分に耳を傾け、今の医療の問題点をお考え下さい。お願いします。

コメント一覧
読みながら空いた口が塞がりませんでした。祖国日本はこの先どこへ向かっていくのでしょう?こういった会の存在さえ知りませんでしたが、彼等は彼等の活動が将来自分達の首、子孫の首を絞めることに早く気付いて欲しいですね。
医師に対して敵対視する姿勢が最近の医療不信の報道に見受けられるのは残念です。

アメリカも10年以上前に起こった医療事故多発の教訓から現在は日本より成熟した医療裁判の判決、マスコミの対応が見られます。日本の場合、もう少し時間が掛かると思いますが、重症なのは日本の大学教授がとんでもない被害者の会に所属して学生達に家族を呼んで講演させている点です。
こういう教授陣に教わる学生さんは不幸です。

written by Tai-chan / 2007.05.31 08:18

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コメントありがとうございます。
まったく同感です。
おかしな日本になりました。

by なんちゃって救急医
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産後に亡くなった妻の義父と亭主が大学で講演、しかも女子大生相手に。この男性はこれまでいくつの出産を見てきたか、逆に問いたいです。

私は医療関係者でも、出産経験者でもありませんので「陣痛促進剤」がどういうものかは存じませんが、投薬も否定、医者も小馬鹿にするのなら、1世紀前に戻るつもりなのでしょうかね。
個人的な趣味で家系図を作っていますが、祖母の兄弟は全員自宅出産、生後3ヶ月程度で死亡する子も多く、予防接種のない時代、はしか等の感染で失明したり難聴になったりと医療が身近にない状態でのマイナス面を知りました。ほんの半世紀と少し前ですよね。
+もあれば-もあるんですが、それを教えないのは問題が多すぎです。

陣痛が始まって、唸りながら慌てて病院に駆け込むのが望みでしょうか?年間、産科医の10分の1程度しか出産立会いしない助産師につきっきりで対応されるのを望んでいるのでしょうか?

母親や女達が出産を共感しなくなってから、病院でぽこんと生れる感覚を持ち始めてから、何かが無くなったのでしょうか。
団塊あたりの権利万歳世代、医療が「患者様」が「希望を言える」サービスに成り下がってしまった結果のような気がします。

written by purin / 2007.05.31 16:23

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コメントありがとうございます。
社会全体に広まりつつ死生観の変容が大きいのでしょう。
皮肉なことに、医療が進歩すればするほど、死ぬこと、生まれることが、病院の責任に置き換わり、不毛な争いが増加しているといわざるを得ません。
自然を崇拝するアメリカインディアンの古老の教えを日本人も学ばないといけないのかもしれませんね。

by なんちゃって救急医

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家族の不幸を機に、それを社会の教訓とする使命を背負ったのでしょう・・・。

悲しみを怒りに変え、社会に働きかける運動家として生きるとしても、方向性をは見誤らない事を望みます。

written by doctor-d / 2007.06.01 13:16

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コメントありがとうございます。
背負ったというよりも○○○の会に背負わされたような気がします。すでに見誤っている方向性・・・・
マスコミが付いているだけに事が厄介ですね。

by なんちゃって救急医

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>憲治さんは、陣痛促進剤の副作用で、母親や赤ちゃんが死亡するケースが相次いでいる現実にショックを受けたといい、実香さんが亡くなった経緯を説明しながら、「いつか病院と遺族が手を携えて、地域医療を再生したい」と強く訴えた。

これを事件の予備知識のない人が読むと、高崎美香さんが陣痛促進剤の副作用で亡くなったような誤解を受ける記事ですね。
非常に悪意を感じます。

written by 春野ことり / 2007.06.01 20:20

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ことり先生 コメントありがとうございます。

ご遺族はつらかろうと思います。そんな気持ちを利用したマスコミや○○の会に対して、私は怒りの気持ちを感じるのです。

最近、「論より詭弁」(光文社新書)を読んで、言葉・文章の前に、必ず発信者の意図ありきということを学びました。

日本の国旗を見て、「赤い」といっても「白い」といっても「赤と白がある」といっても、「丸い」といっても
どんな言い方でも発信者が選ぶことができます。

そういみでは、マスコミの報道もどうしようもないことだなと思うようになりました。マスコミ自信が、「医者たたきをしないほうがいい」と自分たちが心から思わない限り、今の報道姿勢は変わらないということです。

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同感です。ある教授が 医学は科学では無い と言う本を 書かれています。 私も今はそう思います。でも 医学校に行くまでは 医学のことを知らなかったので 何か医学は科学的な部門で 医師は何でもできると誤解していました。でもいざ医師になると 医学で分かり治療法が確立しているのは 数パーセントに過ぎないし 我々医師は SUPERMAN または SUPERWOMAN でもありません。十万回成功しても ただ一回のMISTAKEがあると袋叩きに遭います。実際に ある一部のわがままな医師のせいで 陣痛促進剤被害は有ったと思います。陣痛促進剤は 両刃の剣で 帝王切開や VACUM SUCTION や FORCEP使用の必要が無くす事もできますが 量が多すぎると子宮痙攣を起し 胎児に胎盤をとうしての血流が 止まり死産または重度の脳性麻痺になる事が有ります。私の妻は陣痛促進剤で 三度助けられ皆自然分娩で生まれ 私の子供たちは三人とも元気に育っています。悪い例では 子宮口がそれなりに陣痛に良い状態に成っていないのに 金曜日に朝から来てもらい 胎児モニター無しで長時間の陣痛促進剤を使用した場合です。 ただ週末をのんびりすごしたくて。でも そのようなケースは ごく一部だと思います。医学は実際に進歩していて 以前は治療困難な病気が完治すようには 成ってきました。でもまだまだです。

written by DAICHAN / 2007.06.10 04:48

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コメントありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。

by なんちゃって救急医

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共通テーマ:日記・雑感

コメント 4

コメントの受付は締め切りました
女子大生

はじめまして。ずいぶん批判されているようですが、私はあの講演が聴けてよかったと思います。もちろん、盲目的に自分たちは将来被害者になる、と信じているわけではありませんし、あの講演自体も決して私たちに偏った知識を押し付けているわけではありませんでした。
 今回コメントしたいのは、あなた方が講演を実際に聞いたわけでもないのに、ただ闇雲に「医師を敵対視するのは半世紀前にもどる」などといわないでほしいということです。もちろん会のメンバーもなにかあれば病院にいくでしょう。彼らは、たった一回のミスを突き上げているわけではないと思います。(医者のいう、たった一回のミスが、私たちにとって限りなく大事な一回であることを認識してほしいのはともかくとして)会のメンバーが訴えたいのは、ミスをした後の病院側の不誠実な対応だと思います。
 誠実な対応をする病院を突き上げることはしないでしょうし、できないでしょう。それを踏まえたうえで批判するならしてほしいと思います。
 憲冶さんは利用された、と書いておりますが、彼は情報を発信したいのだと思います。それが会の趣向と一致したのではないでしょうか。
 ここのブログ主さんは、物事を客観視できる人だと感じております。だからどうか、私の意見も門前払いせず、客観的に判断してほしいのです。
 どうかよろしくお願いいたします。
by 女子大生 (2008-02-13 16:23) 

元なんちゃって救急医

>女子大生様

古いエントリーにコメントをありがとうございました。講演を聴かれた方ですか?貴重なご意見だと思います。それと拙ブログへの評価ありがとうございます。

端的に私の要点・主張だけ申し上げます。

私の大前提です。

【病院や医師がどんなに誠実であっても批判されるし、時に訴訟をされ、時に損害賠償を負わされるという現実がある】

では、何をもって誠実というか・・・それは、各人の「心のあり様」です。

ですので、自分達の行動を決めていくために、誠実かどうかの物差しは当てにならないということです。

私は、この大前提にたって、自分の意見を発信し続けています。

女子大生様と私とでは、若干前提が異なるようですね。それはそれで当たり前のことですから、良いと思います。とにかく、ここにご意見を下さったことに感謝します。
by 元なんちゃって救急医 (2008-02-13 16:57) 

元なんちゃって救急医

追記です。

誠実の物差しは、もちろん、自分自身に対しては、課すべきものだと私は思っています。

自分は誠実と思って行動したこと

相手が自分の行動を誠実と受け取ること

「誠実」の物差しの違いから、これが全くのイコールにならないということです。
by 元なんちゃって救急医 (2008-02-13 17:01) 

女子大生

お返事、どうも有難うございました。
そうですね、確かに、「どんなに誠実でも批判される」ことはあると思います。遺族のやりきれない気持ちが訴訟につながってしまう、ということは、やはり病院側を一方的に攻め立ててしまうこともあるでしょうね。
遺族への同情=医師批判は間違っていると、私も思います。
ただ、病院はとても閉鎖性の強い機関ですので、裁判の時の提出書類があまりに少なかったりすると、少し猜疑心を覚えてしまいます。
もちろん、全部が全部、そういう病院ではないですが・・・

すみません、実は、あなたが批判された方の中に私の身内が入っていたので、つい躍起になってしまったのだと思います。大人げなかったですね。

あなたの書く文章はとても自分の立場を明確にしていて、すごいといつも思っております。共感できる記事もたくさんあって、いつも考えさせられます。
これからもがんばってください。

お返事ありがとうございました。
by 女子大生 (2008-02-14 16:01) 

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