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肺水腫をみたら [救急医療]

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肺水腫という状態(病気というより病態)がある。肺が水浸し(水≒体液成分≒血液)という状況だ。レントゲンで は、空気は黒く、水分は白く移る。通常の肺は、空気で満たされているから、黒がベースだ。ところが、肺水腫になると、つまり肺が水浸しなので、黒いはずの肺が白く移る。医療者は、レントゲンをみて、肺水腫の診断はそれほど 苦労しない。時に、肺炎と肺水腫で悩ましいことはあるが・・・・。

ここで、血液の循環を復習しておこう。

全身の毛細血管→大静脈→右心房→右心室→肺→左心房→左心室→大動脈→全身の毛細血管

という循環だ。肺水腫とは、肺が水浸しの状態と先ほど述べた。上記の血液循環が肺で滞ってしまった状態だ。つまり、左心系にトラブルが生じれば、その直上流である肺が水浸しになるのは、非医療者の方でも容易にイメージ できると思う。

よって、時間外外来で、緊急レントゲンをとり、肺水腫を見たら、まず真っ先に心臓のトラブルを考えるのは、ごく 日常であり、大部分はそれでなんら問題はない

肺水腫→心不全→循環器の医師による専門加療

というのがごく一般的なシナリオだ。

実は、このシナリオにもある地雷が存在する。今回は、そのことに触れてみたいと思う。

症例を提示する

58歳女性  不穏状態

高血圧で近医加療中。半年前に高血圧性心不全で入院歴もある。ある日、娘が出勤から帰ってきたら、居間で正座をして壁に額をつけるような状態で不穏状態である患者を発見した。娘が朝8時に出勤するときには、とくに様子がおかしかったということはなかったとのこと。直ちに救急車を要請して当院へ搬送された。

患者が来院した。担当したのは、研修医2年目。 血圧は200程度と高値。担当医は、娘から既往歴を聞き、高血圧性の心不全の再発を一番に疑い、直ちに胸部レントゲンをとった。

見事な肺水腫である。

心不全→低酸素→不穏状態のシナリオに矛盾しないとして、直ちに循環器専門医をコールした。

さて、ここで本日はいったん終了します。続きは、後日アップします。

皆様いかがでしょうか? 地雷の香りはしませんか?

 コメント一覧
いつも面白い症例ありがとうございます。今日久々に「エンタの神様」みながら、お酒のんでホロ酔い気分でこのブログ見させていただいています。
回答は、ズバリneurogenic pulmonary edemaでしょう。(ナンチャッテ)あと、鑑別診断としてレジオネラ肺炎でどうだっ!
あと鑑別診断上げるなら、薬剤性の肺臓炎、好酸球性肺炎のたぐいかな?
written by ミチバ / 2007.04.21 23:45
ふむ・・・。左心負荷の割にはbifurcationが開大してませんね。
written by 僻地外科医 / 2007.04.22 10:46
CTRは56%くらいで心陰影の拡大はなさそうですね。
胸水が貯まっていたのを不穏状態で立位とれずに仰臥位で撮ったとか?
written by moto / 2007.04.22 12:17
昨日、父が肺水腫で倒れました。
昨年心臓の手術をしてますので、その影響だと思います。
現在ERで対応してるようです。
危機は脱しているようです。
今から九州へ向かいます。。。。
written by うっしー / 2007.04.27 11:13
うっしー様

突然のことで大変ですね。無事に治療がうまくいくことをお祈りします。
written by なんちゃって救急医 / 2007.04.27 19:02


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