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「ソニー病」 ・・・ 驕り⇒顧客軽視⇒ネット風評 [仕事]


ソニー病 / 城島 明彦
1.My Review Rank : ★★☆☆☆ + SONY この10年を総括する
2.Published Data : ¥1000, 314Page,洋泉社,’06/01
3.Review Point : 初代ウォークマンが発売されたのは1979年で、私が高2の時.ものすごくカッコ良かった記憶が有る. 特にこの頃、高校・大学生の現在40歳代の人にとって、SONYは特別な存在 のハズ.
 しかし現在、昔の遺産としてのプラント力は持っているものの、SONYを嫌う人は想像以上に多く(昔は殆ど居なかった)、且つ、消費者を驚かせる様な製品も造れていない.
 SONYがここまで凋落した原因は一言で言えば、「驕り」 であろう. 驕りにより、顧客に嫌われ、消費者とのズレにより、良い商品も造れなくなった.
 現在は、一つの判断ミスが、ネット上で(特に2チャンネルの様な掲示板)、強烈にネガティブな風評を作る場合が多い.SONYでの以下の2つの事例はその端的な例として参考になる.
1.PSPの初期トラブル対応
 PSPの初期トラブルとして、"□(停止)ボタンが戻らなくなる" 或いは、"プレイ中にUMDメディアが排出される" 等が指摘されたが、SCE(ソニー・コンピュータ・エンタテイメント)の久夛良木健社長は、「日経ビジネス」にて、 「それがPSPの仕様だ」との発言でクレームを一蹴してしまった.
2.VAIO LXの液晶問題
 VAIO LXの液晶に保障期限の切れる頃に黒い横線が入るトラブルが発生した. SONYは63000円の有償修理と決めたが、同じ液晶を使用した日立,ナナオは無償対応としたため、SONYも3ケ月の有償対応後、無償へ切り替えた.
 しかし、既に「有償ならば」とネット・オークションで実勢価格25万のLXを数千円で売ってしまったユーザも多かった. その落札者が無償修理を受けた後、再びネット・オークションで10~15万円で売りさばき差額を儲けたため、元のユーザの怒りが爆発し、SONYの対応がネット上で非難された.
 この様な事例で特に2チャンネルにて、SONYに関する話題が沸騰し、SONYの隠語として、「糞ニー」 が使用される程にSONY叩きがエスカレートした. 「ソニー・タイマー」(SONYはものを売るために、保障期限が切れる絶妙の時に故障する様にタイマーを内蔵させている)なる言葉もまことしやかに、ネット上で飛び交った. ひと昔前で有れば想像出来ない.
4.Summary : SONYに関してのみ、本書の様なものが出版されるのは、SONYが注目され、過去の神話が偉大であった証拠だろう. 本書では、出井伸之CEO に関する記述が最も多く、「A級戦犯」 或いは、「消去法で生まれた不幸な体制」 との両方の見方が有る(私は、一個人の責任にのみにすることは出来ないと思う).
 SONYの凋落に関しては、上記の顧客軽視によるネット風評でブランドイメージが毀損した問題と共に、以下の様な要因が挙げられる(特定の商品に関する事項も含め).
①カンパニー性による縦割り運営
 各カンパニーから類似した しかし、微妙に仕様の異なる商品が発売され、SONYの方向性が見えず、消費者が混乱した. また、カンパニー性の横の連携は悪く、資源を集中投資出来なかった.
②アジア・メーカを含む同業他社の台頭
 アナログ⇒デジタル化の中で、水平分業が進み、SONYと他社との技術力の差が縮小しSONYの優位性がなくなった. SONYとサムソンとは、液晶で提携し、S-LCDを作った. この中での技術の流出も多大と見るべき.

 その他、商品別では、以下の様な問題点が指摘される.
 薄型TV移行に関しては、平面ブラウン管で、世界を驚かせ、大成功したトリニトロン方式に固執し(技術への驕り)、シャープの液晶技術, 松下のプラズマ技術を軽視した結果、対応が遅れた. 更に、トリニトロン方式は、創業者の井深大氏の肝入りだったため蔑ろに出来なかった.
 iPodに完全に主導権を握られた携帯オーディオでは、著作権を守ることに固執し(SONY自社内のソフト部門に配慮)、ユーザを無視した社内理論で、メーカとユーザとのWin-Winの関係を作れなかった.


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