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「拒否できない日本」 ・・・ 日本はアメリカの植民地か [仕事]


拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる / 関岡 英之
1.My Review Rank : ★★★★☆ + 小泉改革の目指すもの
2.Published Data : ¥735, 229Page,文藝春秋,’04/04
3.Review Point : 本書で、 「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」 の存在を初めて知り(在日アメリカ大使館の公式HP)、じっくり読むためにプリントアウトしたが、32ページものボリューム(IEの文字のサイズを最小にして)とその詳細な内容に驚き、 ”日本はまだアメリカの植民地” だと感じた.
 小泉改革に喜んでいるだけでなく、日米関係がどの様になるかは注視すべき(本書は、先の選挙での小泉自民党の大勝後、数週間Amazonで売上げ上位に入っていた).
 以下は本書で取り上げられている例だが、アメリカの国益のために日本の仕組みが変更されることが分かる. びっくりした順.
<訴訟社会への転換> (第4章 万人が訴訟する社会へ)
 最近、TVで 「法律相談番組」が目立つ. 登場する弁護士は庶民の味方的なキャラクターが選ばれる.
 しかし、この番組は、日本人の訴訟に対する敷居を低くし、アメリカの弁護士等の知的専門職業サービスが対日進出を果たすための地ならしが目的(番組を見て面白がっている場合ではない. マスメディアもグル).
 更に、リーガル・ハラスメント(訴訟禍)による日本企業の弱体化 或いは、司法による行政の監視強化(公共事業での談合を廃止し、米企業が食込む)も目論んでいると指摘している.
<会計の国際ルールの統一> (第3章 この世はアングロ・サクソンの楽園)
 経済のグローバル化に伴い、会計の国際ルールの統一が進められている. これは、「国際会計基準理事会」で検討されているが、理事14名の内アングロ・サクソンが10名を占め、自分に都合の良い様にルール作りしている(日本は辛うじて1名が滑り込んだ程度のため発言力はなし).
<建築基準法の規制緩和> (第2章 対日圧力の不可解なメカニズム)
 1995年の阪神淡路大震災を契機に「建築基準法」が改正されたが、その思想は「国民の生命・健康・財産の保護のため、必要最低限のものとする必要が有る」 で、規制を撤廃して参入障壁を低くする方向へ改正されている.
<国際建築資格制度> (第1章 北京・シカゴ枢軸の怪)
 米国と中国とが結託して、建築家の資格認定の国際ルールを決定した(1999年). その結果、日本の建築家の国際活動が大きく制限されることとなった.
4.Summury : 米国の日本に対する種々の要求の歴史を見ると面白い.
 1984年 : 「日米円ドル委員会」 設置. 米財務長官と宮沢蔵相との合意事項をフォローする会.
 1985年 : かの有名な「プラザ合意」がなされた. 国際的に協調して、円高ドル安に誘導された. 日本は同時に内需拡大を要求され、その結果バブルを発生させてしまった. また、「新通商政策アクション・プラン」も策定され、公正な貿易を実現するためとして、米国から日本への過度の干渉を許した.
 1988年 : 「包括通商競争力法」 通称301条が制定され、米企業が外国の主権国家を”不公正”の罪で一方的に告発する事が出来る様になった(ターゲットは日本).
 1989年 : 「日米構造協議」 開始. アルシュ・サミットで宇野首相が受け入れた. 英語では、「Structural Impediments Initiative」 で「構造障壁(撤廃)主導権」 だが、意図的に誤訳され、主導権⇒協議となっている.
 1994年 : 上記の「年次改革要望書」 の運用開始. 宮沢・クリントンで合意.そもそも、本要望書の英文タイトルは、当初Submission(服従・従順)で、その後Recommendations(推奨・勧告)にやわらかくなったものの、明らかに高所から命令するニュアンス. 日本語訳の「要望書」は意図的に誤訳している. また、マスメディアもこの様な文書の存在を積極的には公開していない.

 上記の「要望書」の内容は、電気通信/IT/エネルギー/医療機器/金融サービス/競争政策/政府慣行/民営化/法務制度/商法/流通 と多岐に渡っている. 著者も、皮肉も有るが 「数年後の日本に何が起こるか知りたい時には必読の文献」 と言っている. 一読をお薦めします.


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