最後は意外と厳しかった・・・「あらしのよるに」ほか木村裕一作・あべ弘士絵 [人生や物事について考えたいときに]
「あらしのよるに」ほか 木村裕一 作 ・ あべ弘士 絵
1994年10月初版 講談社
私は、初めて大判の「あらしのよるに」が出版されてすぐに手にした時、
率直にいうと「ずいぶん迫力のある、怖い感じの絵だなあ」と思った。
もう、かなり前の話である。
その後、続編が出ていることを知らず、最近になってからそれらを読むこととなった。
「あらしのよるに」シリーズは特別編をのぞくと全6巻である。
最初の4巻はハラハラ、どきどき、ほのぼのというイメージである。
しかし、最後の5、6巻目は大人としても読んでいてかなり辛かった。
自ら選んでそうしていたとしても、いろんなグループでマイノリティであることを
感じている人にとっては、この作品は他人事(動物事?)には思えない内容といえるかもしれない。
あらすじは、嵐の夜に真っ暗な小屋の中でお互いの素性をしらずに知り合った
狼とヤギが友達になっていく話で、今映画化もされており、概要をご存知の方も多いだろう。
映画の絵はややかわいらしくなっているが、私は絵本のあべ氏の絵の迫力が
この絵本の最後の厳しさにはかけがえのないものになっていると考える。
狼とヤギの関係は、いろんなものに置き換えられるのかもしれない。
宗教や信条、国籍や習慣、常識の違い、収入、育てられ方、考え方の違い。
それらすべてを乗り越えても結びつくもの。
それが見出されたときに、どんなことが起こるのか。それがこの絵本に凝縮されているように思う。
映画では、おそらく最後までいくのだろうが、どう表現するのだろう。
映画を見てから読むか、読んでから見るか。またはどちらか一つか。
いつも悩むところだが、あなたはどうするだろう?
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※読みたいけれど図書館で借りたり本屋で探す時間の無い方はご利用ください。
あるはれたひに あらしのよるに (2) ちいさな絵童話 りとる
- 作者: 木村 裕一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1996/06
- メディア: 単行本
くものきれまに あらしのよるに (3) ちいさな絵童話 りとる
- 作者: 木村 裕一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/11
- メディア: 単行本
きりのなかで あらしのよるに (4) ちいさな絵童話 りとる
- 作者: 木村 裕一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/03
- メディア: 単行本
どしゃぶりのひに あらしのよるに (5) ちいさな絵童話 りとる
- 作者: 木村 裕一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/05
- メディア: 単行本
ふぶきのあした あらしのよるに (6) ちいさな絵童話 りとる
- 作者: 木村 裕一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/03
- メディア: 単行本
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