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自衛隊・情報保全隊の騒動にからむ疑問 [けっこう気になる]

共産党が6日にすっぱ抜き、なぜかその日と翌日ぐらいでしぼんでしまったこの案件。TBSによる盗聴未遂事件、年金の不統合あらたに1430万件、皇太子の十二指腸ポリープ手術、コムスン事件、サミット、東京・板橋の死体運び出し事件などなどいろいろなことが目白押しの中でのことだったので、一気に押し流されてしまった感がある。6日の報道ステーション(テレ朝)でも、たしか4番手扱い。全国紙で7日の社説でこの問題を取り上げたのは朝日だけだった(と思う)。そう、これが第1の疑問。なんでこうもあっさりと流されてしまっているのか。

共産党の主張、「自衛隊の部隊が、日常的に国民の動向を監視し、その情報を系統的に収集しているのは動かしがたい事実であり、違法、違憲の行為だ」というもの(同党HPより抜粋)。集会・結社の自由を保障した憲法21条を脅かす。また、写真撮影や個人名の記載は憲法13条で保障されているプライバシー権を侵害する、としている。

対する防衛省の見解は、同省HPの「久間大臣臨時会見概要」で読める。あくまで”概要”なので編集されていることを意識して読まなければならないが、そんな気遣いがばかばかしくなるほど中身が無い。概要をさらに要約すると、「共産党が出した文書の真偽は不明」「情報収集は必要」の2点。あえて論点をずらし、議論にもちこませない姿勢が見え見えなのだ。

久間はほかの場所でのマスコミのぶら下がり取材にも、「公共の場でマスコミがやっていることはOKで、自衛隊がだめだという理屈にはならない」と間抜けなことを言っていた。民間企業の営利活動と公権力の行使を混同するなんて、理論派の名が折れますぜ。

ちょっと理屈を言うと、久間は「イラクに行っている家族を非常に困らせないようにしなければなりません」という表現で、情報保全隊が国民を「監視」していたことを認めている(本人はそういうつもりの発言ではないと言うだろうが)。広辞苑第5版によると、監視とは「(悪事が起こらないように)見張ること」で、わざわざ( )内の付帯条件で語法が指定されている。

つまり、マスコミが市民活動を取材するのは「監視」にあたらないが、公権力がその意に沿わない市民活動を、「関係者の家族を守るため」とかなんとか大義名分をつけて記録するのは「監視」なのである。その決定的な違いを(たぶん、わざと)混乱させた久間も老獪だが、(少なくともテレビ上では)それはおかしいとすぐに突っ込めなかった記者たちも情けない。イラク派兵以外にも、医療費負担増、年金問題、消費税増税反対、春闘に関してまで記録しているのだから、監視以外の何物でもない。

それはさておき、第2の疑問はここ。なんで久間率いる防衛省は論点をずらしまくって議論を避けるのか。どんなときでも糾弾調の共産党をいちいち相手にしてられない、ってのは言い訳にもならない。いまの政府および自民党執行部はいずれ”日本軍”や”徴兵制”を復活させようという魂胆なのだから、こうした機会に主張をはっきりさせて国民の判断を仰げばよいのだ。

安倍首相は改憲を参院選の争点にするなどと保革両陣営からバカ呼ばわりされるようなことを明言しているのである。それならそうと、ごまかさずに徹底して主張してほしい。憲法も自衛隊法も変えます。9条は削除します。自衛隊は日本軍に、情報保全隊は憲兵隊にします。ついでに公安は特高警察にします。そう訴えて選挙に臨むのが筋だろう。

そして第3の疑問。なんでこんな気持ち悪いことがおきているのに、大多数の人は無関心でいられるのか。想像するに、昭和初期もこのような無関心状態で、気がついたら泥沼の戦争にはまりこんでいたのではないか。敗戦で初めてショックを受け、無関心でいた人ほど「戦争で人生をめちゃめちゃにされた!」と”被害者面”をしてきたのだろう(当時は、今ほど平均的な知識水準が高くなかったから、関心があっても理解できなかった人もいただろうけど)。

新奇なのもだけにとらわれるマスコミは無関心な国民の「目と耳」であり、議論から逃げる政治家は無関心な国民の「代表」である。そう、批判すればするほど、ぜーんぶ自分に跳ね返ってくるのだ。だからやっぱり、選挙ってのはめんどくさくても行っておくものなのである。


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