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世紀の愚案(人権擁護法案) [人権擁護法案]

人権擁護法案を放って置いくのは危険です。委員に強力な権限が在りるにも関わらず、擁護すべき、肝心の基準が曖昧模糊としてるのです。

Bloggerとしても、見過ごせない条文が在ります。差別的言論に対する抑制です。是自体を聞くと、問題無いように感じられると思います。しかし差別の定義が明文化されていないので、詭弁を弄する事で此の法案による"言葉狩り"の対象と為り得るのです。(好い加減、定義が定かでない法令は辞めて貰いたいものですね。)

1976年11月に名古屋市図書館のピノキオ問題と言う事件が起こりました。洗う会が「ピノキオ」(小学館)を差別文学(「びっこ」、「めくら」等の用語や話の展開が差別を助長している)として糾弾し、回収を迫った事件です。ですが、件の法案では同様の内容でも此の暴論(論とも謂えない)が罷り通る(可能性がある)のが"此の法案"なのです。

例えば、"倭奴"や"Jap"等と謂ったものは明らかに差別する事を目的として作られ、使われ(ている)た言葉です。当然普段は用いるべきでは在りません。しかし、此の法案が主張する様に、本当に使用禁止にして良いのでしょうか。法で規制し、禁ずる行為は臭い物に蓋をしているだけではないでしょうか。

少なくとも隠蔽をする事(使用禁止)が問題の本質を解決する手段で無いことは明らかです。事実を伝え、其の上で反省すべき点は確りと反省する事が当たり前な筈なのです。当たり前の事が人権擁護と言う偽善的名目で蹂躙される事には耐える事が出来ません。

もう一つ、歴史に就いて述べておきます。上代、大陸から渡って来た者を日本では"帰化人"と呼んでいました。現在、此れを"渡来人"と呼ぶ向きがあります。この法案が可決されれば恐らく、帰化人が完全に抹消されることでしょう。

ですが、考えて見て下さい。何故、敢えて帰化人と呼んでいたのかを。その理由が忘れ去られたとき、歴史研究は"常識外れ"なものと成るのではないのですか。

此れは帰化人に限った事ではありません。帰化人は一例に過ぎないのです。自国の歴史すら満足な言葉で表現できない国に民主主義は成り立ちません。(日本国憲法 第19条が蔑ろにされる恐れがある。)

……えーと、ですね。

例えば「外国人参政権を認めてはならない。」と言ったとしましょう。此の法案によれば、此の発言は認められないことになります。理由は外国人を差別している事に成るからでしょうか。

──と言うことは、です。此の法案自体に自己矛盾が在ると共に、現行の日本国憲法に抵触している訳ですね。(素人目にですが。──しかし、法に関して素人である者でも人権擁護委員に選ばれるので。)

如何言う事かと言うと、表現の自由が侵されています。此れは書くまでも無く基本的人権です。人権を擁護する法律が人権を束縛していますね。此れが自己矛盾です。

憲法抵触ですが、先づ法律自体の抵触部として、第11条、第12条、第21条及び第97条が挙げられます。

又、発言内容を否定すると言う事は前文、第15条、第93条に抵触する事になると言う事は、最高裁の見解から明らかです。

とどのつまり、第98条 1項が在りますので、可決しても無効な法律でしょう。だからと言って放って置く訳にもいかないのです。残念ながら時間は余り残されていません。

まぁ、第二の治安維持法と謂っても過言では在りませんね。本来ならば、司法に権が在るべきを、人権擁護委員会と言う独立の機関に権が在るのことと、司法に権が在るところ、軍部に其が在るのと本質的に如何が違うのでしょうか。

吾は日本国民として、日本語と謂う素晴らしい言語(且つ、其れ自体が日本の象徴でもある)の語彙を減らす可能性のある、人権擁護法案の撤廃を望みます


追記:人権擁護法案では委員は令状が無くても進入捜査、財物の押などができる。詰まり、日本国憲法 第35条に悖る。


追記2:この法案は憲法第12条に謂う、権利の乱用に当たるのではないか。同条文の"不断の努力"の時ではないのか。

この法案を可決しようとしている政府は第99条に悖っているのではないのか。


日本国憲法
前文(抜粋)
日本国民は、(中略)ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。(略)
第3章 国民の権利及び義務
第11条【基本的人権の享有と性質】
国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第12条【自由・権利の保持義務、濫用の禁止、利用の責任】
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
第15条【公務員の選定・罷免権、全体の奉仕者性、普通選挙・秘密投票の保障】
  1. 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
  2. すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
  3. 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
  4. すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
第19条【思想及び良心の自由】
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
第21条【表現の自由】
  1. 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
  2. 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
第35条【住居侵入・捜索・押収に対する保障】
  1. 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
  2. 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。
第8章 地方自治
第93条【地方公共団体の議会、選挙】
  1. 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
  2. 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
第10章 最高法規
第97条【基本的人権の不可侵】
この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
第98条【最高法規】
  1. この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
  2. 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
第99条【憲法尊重擁護の義務】
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
憲法解釈による判決(最高裁の解釈)
最高裁第三小法廷判決の要事 平成7年2月28日 憲法の国民主権の原理における国民とは、日本国民すなわちわが国の国籍を有するものを意味する事は明らかである。そうとすれば、公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、権利の保障は、わが国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である。
憲法九三条二項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、わが国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものとはいうことはできない。

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FD3S

こちらでは、はじめまして。
拙ブログにコメント&TBを頂きまして、ありがとうございました。
最近チビクロサンボが復刊したというニュースがありましたが、
こういう本来差別とは縁遠いものを弾圧するのは、見当違いだと
思っていました。言葉狩りや表記変えしかりです。
この法案の不備を多くの方が論じられ、とりあえずは見送られる公算が
高くなってはいますが、今まで、正面きって取り組まなかったツケはそろそろ
清算すべきなのかもしれません。
by FD3S (2005-03-15 20:30) 

黄泉若宮

事が「人権擁護」を標榜しているので、勘違いしやすい事が最大の問題ですよね。(勿論、狙っているのでしょうが。)条文を読まずに題目だけを聞くと「何やら素晴らしい法が作られたのだな。」程度で済まされてしまいます。司法以外に多大な権が出来上がる事態にも関わらず、積極的な報道すらされていません。(恥ずかしながら、この件を知ったのも、つい数日前の話。)
清算出来るだけの関心が問題ですよね。事態は今回だけの"祭"では在りませんから。民主主義を掲げていながら、本質には触れていない教育を続けてきた政府の責任は重大です。
功罪は兎も角、Mass mediaの力は大きいので"仕事"をこなして欲しいものです。

余談ですが、
太上不知有之。其次親而譽之、其次畏之、其次侮之。信不足焉有不信焉。悠兮其貴言、功成事遂、百姓皆謂我自然。
偶々読んでいた老子の一説が留まりました。国府が市井に口を出すようになると侮らるる。当に現状を表しています。
by 黄泉若宮 (2005-03-15 22:47) 

アキオ

相対的に、「憲法擁護」の気持ちが大きくなってくる今日この頃です。
憲法違反の法律って結構あるんじゃないかなぁ。
by アキオ (2005-03-20 10:03) 

黄泉若宮

違憲法……パッと思いつくのは通信傍受法(盗聴法)ですね。
spy防止法等、作らなければ為らない法律は未だ作られていませんし、人権擁護にしても既存の法律を的確に整備するのが先決な筈です。
其れこそ、税金の無駄遣いの一番の原因ではないでしょうかね。遣らなくても良い事を、延々続けて大切な話は後回しなのですから。
違憲である法律には従わなくても善いと決まっている(*1)ので、突っ撥ねれば良いと思っています。

*1:日本国憲法 第98条に拠る。しかし、違憲な法令を作っている時点で、第99条(*2)が無視されていると言う事では? 司法は何故沈黙なのか……。
*2:護憲は日本の公務員全員の"仕事"です。
by 黄泉若宮 (2005-03-20 18:43) 

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