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彼岸花・・・そして飛鳥の思い出・・・ [野草]

        ヒガンバナ  彼岸花  ヒガンバナ科 ヒガンバナ属

秋のお彼岸のころに咲くので、『彼岸花』と呼ばれています。

昔は、「彼岸=あの世」というイメージのせいか、どちらかと言うと縁起の悪い花として、庭などに植えることも忌む傾向にありました。
しかし、最近は何故かあちこちで、もてはやされるようになって来ています。

『曼珠沙華(まんじゅしゃげ)』とも呼ばれていますが、この名はサンスクリット語の『マンジューシャカ』に由来します。
『マンジューシャカ』は、仏教の経典にも出て来る花で、インドのサンスクリット語で書かれた経典を、中国で漢訳する際『曼珠沙華』と音訳されました。

仏典を中国で漢文に翻訳する際、インドの言葉の発音を元にして、漢字の読み方に置き換えた「音訳」と、言葉の意味を元にした「意訳」という方法があります。
例えば、「文殊菩薩(もんじゅぼさつ)」という名前は、インドの「マンジュシュリー」という言葉の発音を元に「文殊師利(もんじゅしり)」としたものを「もんじゅ」と略したものです。それに対して、「普賢菩薩(ふげんぼつさつ)」という名前は、「サマンタバドラ」というインドの言葉の意味を取って「普賢」と訳しています。

このインドの『マンジューシャカ』という花は、日本や中国の『彼岸花』のような赤い花ではなく、種類の近い植物ですが、白い花を咲かせるものだとも言われているようです。

他の皆さんのブログで、度々彼岸花を見掛けるようになりましたが、家の近くには、ほんの少ししか咲いていません。

そんな、僅かに咲いている花を撮っていたら、奈良県飛鳥の風景を思い出しました。
以下の写真は、2003年の秋に飛鳥を歩いた時に撮った写真です。

運よく晴れていたので、空の青と稲穂の金、そして彼岸花の赤と草の緑とが織り成す、美しい秋の風景の中を、気持ちよく歩くことが出来ました。
飛鳥の風景は、HP の飛鳥寺』のページにも載せてありますので、もし宜しければご覧下さい。
   

 

ヒガンバナは有毒植物ですが、球根をすりつぶし水に晒して毒抜きをすると、食べることも出来るのだそうです。
その為、縄文時代頃に食用にするため、中国大陸から持ちこまれたものが野生化したものではないかという説もあるようです。
でも、毒抜きの詳しい方法は分りませんので、不用意には食べないようにして下さい

 

飛鳥地方の、あちこちのお寺や、奈良市内の興福寺では、黄色い彼岸花を見掛けました。
これは、園芸品種のようです。

***追記***

この黄色い「彼岸花」と思っていた花は、SilverMac さんから、『鍾馗水仙』という名であることを教えていただきました。
しかも、てっきり園芸品種と思っていたのですが、改めて『ショウキズイセン』の名で「平凡社 世界大百科事典」を調べて見ると次のように書かれていました。
「ショウキズイセン(別名ショウキラン)は西南日本から中国,台湾,インドシナにかけて広く分布する種で,花は鮮黄色で,花被はヒガンバナよりも幅広く,ヒガンバナほど外側にそりかえらない」   
                      平凡社 世界大百科事典DVD版」

ただ、他で調べた所によると、SilverMac さんのコメントにもあるように、近縁種の交雑による園芸品種の白花や黄花もあるようです。
しかし、日本の彼岸花には種が出来ないため、交配は中国産の彼岸花でないと出来ないようです。
また、『ヒガンバナ』『ショウキズイセン』『スイセン』は、共にヒガンバナ科に属します。
『ショウキラン』という別名に就いては、別にラン科の『ショウキラン』という植物があり、ちょっとややこしい名前のようです。

SilverMac さんに頂いたコメントのお陰で、色々と新しい知識を増やすことが出来ました。
SilverMac さん、ありがとうございました。


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コメント 31

彼岸花って有毒なんですね。 はじめて知りました。
昔、よく遊んだ公園の隣のお墓にたくさん咲いてたので、コワイイメージがあります。 でも、黄色だとガラッと雰囲気が変わって別の花のように見えますね。
by (2005-09-25 02:24) 

atom

飛鳥のヒガンバナ、見事ですね。金色の稲穂とヒガンバナの赤が美しいです。
黄色は初めてです。
by atom (2005-09-25 03:26) 

mippimama

子供の頃彼岸花で良く遊び、祖母からしかられた事思い出しました...
歳とともに好きになって来た花です。
明日香村の彼岸花.綺麗ですね〜
黄色の彼岸花は当地で見るよりも黄色が濃く綺麗だわ♪
by mippimama (2005-09-25 08:23) 

Silvermac

黄色い彼岸花は「鍾馗水仙」だそうです。確か中国原産で、白い彼岸花はこれと赤い彼岸花を交配したもののようです。
by Silvermac (2005-09-25 09:35) 

ユナ

彼岸花のリンとした、シベが良いですよね♪
by ユナ (2005-09-25 10:09) 

albireo

◇ koyuri さん ありがとうございます。
昔から、お墓にはよく咲いていましたね。
仏教とも関りの深い花なので、墓前に供えたりもしますから、ちょっと恐いイメージも仕方がないことですね。

◇ atom さん ありがとうございます。
飛鳥へは、彼岸花を見るためだけにでも、また行きたいと思っています。
そんな機会がまたあったら、その時も青空だといいのですが。

◇ mippimama さん ありがとうございます。
やはり、昔の人はイメージ的に忌むことが多かったのですね。
恐らく、毒があることも嫌う理由の一つだったのかも知れません。
でも、綺麗な花ですね!

◇ SilverMac さん ありがとうございます。
ご教示、感謝致します。
早速、追記させて頂きました。
また、お陰さまで、他にも色々と知ることが出来ました。
今後とも、宜しくお願い致します。

◇ ユナ さん ありがとうございます。
空に向かって伸びている、雄蕊が綺麗ですね。
思わず、雄蕊にピントを合わせて撮りました。
by albireo (2005-09-25 11:44) 

INOUE

彼岸花、色々勉強させていただきました。
京都では、彼岸花が結構多くの場所で咲いています。
先日大原へも撮りに行ってきました。
by INOUE (2005-09-25 12:35) 

猫ふみふみ

曼珠沙華という響きが好きです(山口百恵の歌にもあります)。
奈良の写真は見事ですね!
こんなに群生しているのって、初めて見ました。
黄色い彼岸花も知らなかった・・・あら?
彼岸花でなくても、こういう花があることを知らなかったので、
綺麗な花を見れて嬉しいです。
by 猫ふみふみ (2005-09-25 12:53) 

albireo

◇ INOUE さん ありがとうございます。
先日、penpenさんの記事でも拝見しましたが、大原でも沢山咲いているようですね。
INOUEさんの写真も、早速拝見させて頂きました。一面の彼岸花の、素晴らしい景色ですね。

◇ 猫ふみふみ さん ありがとうございます。
僕は、他の人が歌っているのをテレビで聞いた事があるだけですが、確か、阿木燿子さんの作詩で「マンジュシャカ」と読むのでしたね。
原語に近い読み方をさせるところが、面白いと思いました。
奈良へは、また行きたいのですが・・・。
by albireo (2005-09-25 14:17) 

稲穂の黄金色とよく合いますね。空の青も。
by (2005-09-25 14:53) 

あやこ

毒があるせいもあるので、あまり庭などには植えられないのかなぁ??
マンジューシャカというと、とてもおいしそうな感じがしてしまいます(^^;
飛鳥のお写真 すてきですねっ!
こんなにたくさん咲いているところみてみたいです^^
by あやこ (2005-09-25 15:41) 

shareki

飛鳥の彼岸花は聞いたことだけありました、物凄い群生、圧巻ですね。
仏典からの件、勉強になります、ありがとうございました。
by shareki (2005-09-25 16:25) 

ziziblog

猫ふみふみ さんも書いておられますが、百恵さんの唄にマンジュシャカという一節が出てきますが、これはヒガンバナではなかったんですね。
飛鳥のこの群落は本当に素晴らしいですね。
by ziziblog (2005-09-25 16:36) 

penpen

一番上のお写真を拝見していると彼岸花って優雅なお花なのだなあって思いました。HPも拝見しましたが、飛鳥もたくさんの彼岸花があるのですね。この間から曼珠と文殊が気になってしょうがなかったのですが、同じ意味なのですね。
by penpen (2005-09-25 16:49) 

IXY-nob

2枚目の大胆なアングルがいいですね。なかなか「彼岸花」は切り抜きにくいですよね。TBしていただいていたのに、訪問が遅くなり申し訳ありません。別の日の記事ですが、お返ししておきます。
by IXY-nob (2005-09-25 17:26) 

gillman

彼岸花には毒があるとは聞いてましたが、毒抜きをして食べることがあるというのもすごいですね
by gillman (2005-09-25 17:42) 

Runa

すごい 沢山の 彼岸花ですね~
黄色もあります。
綺麗ですね。
2枚目の アップが 素敵です。
by Runa (2005-09-25 17:57) 

まい

マンジューシャカと聞いて、山口百恵さんを思い出してしまいました。リアルタイムでは知らないのですが・・・。
彼岸花って毒抜きをするつ食べれるんですね~知らなかったぁ!
by まい (2005-09-25 18:04) 

奈良の彼岸花、素晴らしい景色ですね!
見事としか言いようがありません。
僕も彼岸花を撮りましたが上手くいきませんでした。(苦笑)
by (2005-09-25 21:07) 

rin

“天界の赤い花”ですね。
何故にこの赤い花に魅せられるのかわかりませんが、この赤い花を見ている事が好きです。
by rin (2005-09-25 21:32) 

Baldhead1010

こんなきれいな花も墓参りにちなんでか、ありがたくない名前も数多いですね。
by Baldhead1010 (2005-09-25 22:09) 

koza

引きの写真もいいですね〜。
鮮やかなコントラスト。
by koza (2005-09-25 22:14) 

飛鳥の彼岸花見事ですね。
by (2005-09-25 23:29) 

barbie

BLOGでの情報交換niceですね。こちらまでどんどん知識が広がります(忘れていくものもありますが)。小さい頃、キレイだと持ち帰った彼岸花を、火事花といういわれがあるから家には飾らない方がいいと言われたことを思い出しました。
by barbie (2005-09-26 10:20) 

maya

すごい!これはどこでしょうか?
彼岸花って一箇所に集まってるね。
by maya (2005-09-26 11:21) 

albireo

◇ tanaka-ma3 さん ありがとうございます。
こんなに、いい天気に恵まれたのは、幸運だったと思います。

◇ あやこ さん ありがとうございます。
昔の人は、わざわざ毒抜きまでして食べていたらしいのですが、美味しかったのか、それとも食べるものが少なかったのか・・・。ちょっと考えてしまいました。
飛鳥は、本当に素晴らしい景色でした!

◇ 渋樹 さん ありがとうございます。
田圃道を歩いてゆくと、用水路に沿って咲いている様子は見事でした!

◇ zizi さん ありがとうございます。
阿木燿子さんのイメージとしては、多分彼岸花でいいと思います。
ただ、古代のインドでは、別の花を指していたのかも知れません。

◇ penpen さん ありがとうございます。
曼珠と文殊は、言葉の意味そのものは違うと思いますが、翻訳の仕方が共に「音訳」という方法を採っています。
仏教の言葉も、なかなか難しいです・・・。

◇ IXY-nob さん ありがとうございます。
IXY-nobさんも、明日香村の彼岸花を見て来られたのですね。
僕も、また見に行きたいです!

◇ gillman さん ありがとうございます。
ナタマメなどもそうですが、毒抜きの方法をどうやって知ったのか、それもすごい事ですね!

◇ Runa さん ありがとうございます。
家の方でも、段々沢山咲いて来ましたが、飛鳥の彼岸花の数には、到底適いません・・・。

◇ まい さん ありがとうございます。
僕も、あまり良くは知りませんでした(^^♪ 年齢的には、知っているはずですが・・・。
以前、別の人が歌っているのをテレビで見ました。
へぇ、サンスクリット語(古代のインド語)の発音のままなんだ~。と、ちょっと驚きました。

◇ lapis さん ありがとうございます。
飛鳥の彼岸花は、本当に見事でした!
しかし、彼岸花は花の形状からも、ピントが合わせ難いですね。

◇ rin さん ありがとうございます。
仏教の経典では、空から降って来たりする、天華ですね。
燃えるような、素晴らしい色です。

◇ Baldhead1010 さん ありがとうございます。
そうですね、敢えて書きませんでしたが、不吉な呼び名もありますね。

◇ こざき さん ありがとうございます。
飛鳥で撮った写真は、数の多さに圧倒されてか、引きの写真ばかりでした。

◇ mimimomo さん ありがとうございます。
飛鳥へは、また行ってみたいと思います!

◇ barbie さん ありがとうございます。
こういう時は、ブログの良さを実感します!
間違いは間違いとして、教え合える関係の人が増えると、とても有難いと思います。
彼岸花が、炎のような姿をしているからなのでしょうね。
昔の人と今の人とでは、色々なところで、感覚が違って来ていることを感じさせてくれる花ですね。

◇ maya さん ありがとうございます。
沢山咲いているのは、奈良県高市郡明日香村の『飛鳥寺(あすかでら)』の近くで撮った写真です。
明日香村の風景は、素晴らしかったですよ!!
by albireo (2005-09-26 21:26) 

じゅんぺい

子供の頃の記憶なのでしょう、「墓地に咲いている」印象があって…
我が家の近く(と言うほど近くもないのですが)に彼岸花の名所があり、
この時期は混雑しますが、あまり行ってみたいと思いません。
良く見るときれいな花なのに…。先入観とは恐ろしいものですね。
by じゅんぺい (2005-09-27 20:03) 

albireo

◇ じゅんぺい さん ありがとうございます。
確かに、名前にしても、昔から不吉な別名で呼ばれていましたね。
それを考えると、あちこちで彼岸花の名所が出来ているのが、不思議なくらいです。
人々の持つイメージも、段々と変化して行くのかも知れません。
僕も、子供の頃には不吉な花であることを教わりましたが、それでも何故か好きな花だった記憶があります。
by albireo (2005-09-28 14:12) 

やいっち

albireoさん、こんにちは。
来訪、ありがとう。

彼岸花の記事なので、お邪魔しました。情報交換されて、ドンドン豊かな内容になっていきますね。
彼岸花は戦中は非常食として食べられていたとか。親や祖父の時代の人なら食べ方を知っている人も多いかもしれないですね。

画像もどの記事についても素晴らしいです。
それじゃ、また。
by やいっち (2005-09-28 18:04) 

マユ

早速、TB返しさせていただきました。
あぁ、飛鳥にはまだこんなにも壮大に、真っ赤な炎を揺らめかせているところがあるのですね・・・
泣きたいような気持ちになりました。
いつか、この時期に、のんびりとしたあの田舎で、稲穂を渡るしゃらしゃらという音を聞きながら、紅い花に惑わされにゆきます。
そう、切に焦がれるような想いがぶわっとふき出しました。
by マユ (2005-10-06 01:06) 

albireo さん、こんばんは
彼岸花繋がりということでTBさせていただきます。
拝見するのは2回目ですが、奈良の彼岸花は、本当に見事です!
それでは、よろしくお願いいたします。
by (2005-10-06 23:56) 

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