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赤いトンボ [昆虫]

           ショウジョウトンボ  猩々蜻蛉 トンボ目 トンボ科


真っ赤なトンボですが、一般に『赤とんぼ』と呼ばれる『アカネ』の仲間のトンボではありません。

『赤とんぼ』には、『ナツアカネ』『アキアカネ』等、様々な種類があります。多くは、秋になって成熟すると赤くなります。
この『ショウジョウトンボ』は分類上、これらの『○○アカネ』の仲間には含まれません。
また、秋になるのを待たずに、赤くなります。

このトンボは、PETAMUN_R さんも記事にされていました。
http://blog.so-net.ne.jp/petamun/2005-06-26

『猩々(しょうじょう)』とは、現在では類人猿の『オランウータン』のことを指します。
しかし、中国の古典等に描かれる『猩々』は、現実の『オランウータン』をモデルにしている形跡もあるように思われますが、想像上の動物の要素を色濃く持っています。
『猩々』は猿に似ていて、酒が好きだとされています。
『猩々』の血で、毛織物を真紅に染めることが出来、しかも長く変色しないという話もあります。戦国武将が、好んだと言われる『猩々緋の陣羽織』などが、今も博物館などに残されていますが、これらは猩々の血で染められたと伝えられている場合があります。勿論、これは事実ではなく、今まで日本にはなかった舶来の織物の真紅の色に、中国からの話が結び付いて、そうした伝説が生まれたのかも知れません。
『猩々』という名前には、そんな「真紅」のイメージがあるようです。

また、能に『猩々』という曲があります。
唐の揚子(ようず)の街に住む、高風(こうふう)という親孝行な酒売りの店に、海中にすむ猩々がやって来るという話です。
猩々は、酒を飲んで舞い、高風の親孝行を祝福して、いくら酒を汲んでも空にならないという酒瓶を与えます。
その能の『猩々』は、赤く塗られたにこやかな表情の面を着け、赤い長髪に、赤い衣装を着て登場します。
ですから、この『ショウジョウトンボ』の名前は、むしろこの能の装束から来ているようにも思われます。

           ノシメトンボ  熨斗目蜻蛉 トンボ目 トンボ科

先日の記事「ハスとスイレン」で、ハスの蕾に止まっていたのと同じトンボです。
http://blog.so-net.ne.jp/albireo/2005-07-08

今のところ赤くありませんが、こちらこそ分類上は『アカネ』と呼ばれる『赤とんぼ』の仲間です。(名前は、○○アカネでは有りませんが・・・)
しかも、『アカネ』の仲間としては、最大の種類だと言います。
秋になると、腹部が黒っぽい赤になると言うことですが、僕も今までこのトンボを、赤とんぼの仲間とは知りませんでした。ですから、今年はどんな風に赤くなるのが、よく見てみたいと思っています。

翅の先端が黒いことも、見分ける際のポイントです。

前の記事で紹介しました『ヤブカンゾウ』の蕾に止まっています。

この日は、5センチ位まで近づいて、撮ることが出来ました。

 『熨斗目(のしめ)』は、元々は縞や段文様を織り出した、絹織物の事ですが、その織物で仕立てた小袖と呼ばれる着物のことも『熨斗目』といいます。
これには、無地のものと、腰の部分だけに文様をあしらったものとがあり、基本的に男物の着物に用いられたようです。
このトンボの体の模様を、その着物の『熨斗目』に見立てて『ノシメトンボ』と呼ぶということです。

 

枯れた竹の先に止まった『ノシメトンボ』は、風が吹いて、竹が左右に一メートルほども揺れても、暫くはじっと止まったままでいました。

 


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コメント 20

atom

トンボが飛ぶようになると夏って感じですね。下のトンボは良くみますが、ノシメトンボって名前始めて知りました。
by atom (2005-07-10 12:41) 

目の覚めるような赤ですね。
by (2005-07-10 12:59) 

鮮やかな赤ですね!
『猩々』のお話、とても面白かたです。猩々の血で染めた「猩々緋の陣羽織」の話は、『宇治拾遺物語』の「慈覚大師、纐纈城に入り給ふ事」や、国枝史郎「神州纐纈城」を思い出しました。
by (2005-07-10 14:14) 

penpen

上のトンボはどう見ても赤トンボのようですし、下のは赤トンボとは思えません。赤いのは全部赤トンボと思っていました。難しいですね。上の真っ赤が綺麗です。
by penpen (2005-07-10 14:52) 

ノシメトンボ、ありがとうございます。実はわたくしもこのトンボ写しているようですが名前が分からなくて。
難しいですね。赤くても赤とんぼに非ず。赤くなくても赤とんぼの仲間・・・。
by (2005-07-10 18:08) 

shareki

この時期、飛んでる真っ赤なトンボは、猩々トンボだったんですね。
秋に見るのとは少し違うなぁって思ってました、なるほどです。
by shareki (2005-07-10 20:42) 

albireo

◇ atom さん ありがとうございます。
ノシメトンボは、僕もずっとムギワラトンボとごっちゃになっていました。
調べてみないと、分からないものです。

◇ tanaka-ma3 さん ありがとうございます。
初めて見たのですが、普通の赤とんぼより鮮やかな赤なので、割合すぐ分かりました。

◇ lapis さん ありがとうございます。
まさしく、『猩々緋』というイメージです。
そうでした、「神州纐纈城」は、始まりから赤い布が出て来ますね。
僕は、『猩々』というと、先ず能が頭に浮かびます。
これは、初めて見るには、面白い能だと思います。

◇ penpen さん ありがとうございます。
ややこしい話で、すみません。実際に、赤いトンボなのですから、どちらも赤とんぼなのでしょうが、分類上では異なる種類になるそうです。このトンボは、実物を見ても全身真っ赤で、綺麗ですよ。
植物も昆虫も、分類は難しくてよく分かりませんね。

◇ mimimomo さん ありがとうございます。
僕も、ノシメトンボはよく分からずにいました。
これが、アカネの仲間だと言われても、あまり納得は出来ませんでした。
動植物の分類は、なかなか難しいですね。

◇ 渋樹 さん ありがとうございます。
確かに、普通の赤とんぼとは、印象が違います。
二枚目の写真で見ると分かるかも知れませんが、腹部が幅広く扁平な感じです。
by albireo (2005-07-10 21:36) 

さねさし

どうしてこんなに美しくいいお写真が撮れるのかと 感嘆してしまいます
トンボの赤い色こんな色の洋服着てみたいです
ノシメトンボのお写真もいいですね 
by さねさし (2005-07-10 23:18) 

ナナ

本当に、お話も興味深くて、読み応えありますね!
写真もすっごくきれい!
私はどれも好きですが、トンボの羽の透明な感じがすごく気に入ってます。
by ナナ (2005-07-11 00:09) 

あやこ

猩々 と言うと、もののけ姫にでてきていたのを思い出します。
赤とんぼは、ひとつの種類なのかと思っていたのですが、さらにいろいろあるのですねっ!!
子供の頃に知っていれば、何種類 集められるか?ってトンボ捕りにも熱が入ったかもしれないです^^
by あやこ (2005-07-11 08:07) 

Gotton Factory

猩々トンボ、きれいですね。
実物を見たいものです。
by Gotton Factory (2005-07-11 08:35) 

sera

蝶シリーズの続きで、今度はとんぼうシリーズも素敵です。
一番上のと一番したの写真が一番好きです(^_^)v
とんぼうは蝶と同じく、素早く動くから、撮るのはたいへんでしょうね!
by sera (2005-07-11 08:36) 

IXY-nob

「猩々緋」ですね。アキアカネの季節が大好きなんですが、こんな「赤とんぼ」もいいですね。うちの虹トンボ似TBさせていただきました!
by IXY-nob (2005-07-11 21:50) 

puripuri

子供の頃は、赤いのはなんでも赤トンボと言っていました。それぞれのお話を
楽しく読ませていただきました。子供達も大きくなり、最後までとっておいた
図鑑達もここへ来る時処分してしまったの、、、失敗したわ。
by puripuri (2005-07-11 23:03) 

はるまきママ

面白い話をありがとうございます!
無視は苦手なのですが、albireoさんの写真はなぜか大丈夫な私です。
ショウジョウトンボの赤が綺麗ですね。
トンボの羽の透明感が綺麗で、こんなに虫の写真に見入ったのは久しぶりです。(笑)
by はるまきママ (2005-07-12 09:11) 

ショウジョウトンボ、鮮やかな赤が綺麗です!大きいですね。
ヤブカンゾウの上に止まっているのは配色がすごく綺麗でした。素敵です。
by (2005-07-12 14:49) 

albireo

◇ sanesasi さん ありがとうございます。
実物の赤は、本当に鮮やかでした。
あの鮮やかさを、写真で再現できたら、と思います。

◇ ナナ さん ありがとうございます。
また、能の話などになってしまいましたが、読んでもらえて嬉しいです。
トンボの翅の、透明感はいいですね!
カゲロウの翅の、柔らかい感じもいいですが、あれとはちょっと違って、硬質な感じがします。

◇ あやこ さん ありがとうございます。
『もののけ姫』二回は観ているのに、思い出せません・・・。また、観て見ますね!
あやこさんも、トンボ捕りしていたのですね!

◇ Gotton Factoryさん ありがとうございます。
実物は、僕も今回初めて見ました。池などの近くでないといないのでしょうか・・・。

◇ sera さん ありがとうございます。
今回撮ったトンボは、少しの時間ですが、ちゃんと止まっていてくれました。

◇ IXY-nob さん ありがとうございます。
「ナツアカネ」「アキアカネ」どちらも、ノスタルジックな感じがいいですね。
TB ありがとうございます。

◇ puripuri さん ありがとうございます。
図鑑は、やっぱりあるといいですね。でも、僕も子供の頃のものは、みんなぼろぼろになってしまって、今は大人向けの図鑑を沢山揃えています。

◇ はるまきママ さん ありがとうございます。
虫の苦手な方にそう言って頂けると、ものすごく嬉しいです。
出来るだけ、恐く感じないように撮りたいと思います。

◇ 理恵子 さん ありがとうございます。
この赤は、すごく鮮やかですね!
ヤブカンゾウの上のトンボは、すごく大人しくしてくれて、撮るのが楽でしたよ。
だから、花の写る位置などを考えながら、撮ることが出来ました。
by albireo (2005-07-13 01:01) 

うっぴぃ〜

トンボって色が変わるものがいるんですよね。名前 \(-o-)/ お手上げです。
by うっぴぃ〜 (2005-07-14 16:14) 

albireo

◇ PETAMUN_R さん ありがとうございます。
ショウジョウトンボは、PETAMUN_R さんの記事のお陰で、すぐに解かりました。
名前は、やっぱり難しい部分がありますね・・・。
by albireo (2005-07-17 11:03) 

albireoさん、こんばんは
蜻蛉つながりということでTBさせていただきます。よろしくお願いいたします。
オニヤンマとかの写真も撮りたかったのですが上手くいきませんでした。(苦笑)
by (2005-07-28 01:56) 

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