ピントはどこにあわせるか その1 [ピントについて]
☆はい。アベっちだよ。いきなりゴメン。前回、「次回はAFの精度をさらに上げて、ピントを合わせる方法を紹介したい」と書いたけど、ちょっと先送りさせて。その前にもっと基本的なことを書くことにした。今回もピントの話であることに変わりないんだけどさ。さて、質問ね。ピントってどこに合わせると思う? 撮りたいものに合わせるに決まってるじゃん、って答えが返ってきそうだ(笑)。そうだね。撮りたいもの、つまりは自分が感じたところに合わせるのがひとつだ。 たとえばこんなふうにね。
/ がピント位置
でも、それだけじゃないよ。こんなシーンだったらどうする。手前から奥の方までズーッとシャープに写っているでしょ。こういうふうに撮るには、どうしたらいいんだろう? ピントを合わせるのは、手前か、真ん中か、それとも奥か。
厳密にいうと、ピントは一度に1点にしか合わせることができない。ピントを合わせた1点の前後はピントが合っていない、ピンぼけ状態になっているわけだ。ところが、実際にはピントを合わせた前後には、ある程度の範囲、本当は合っていないけど合っているように見える部分がある。これを被写界深度(ひしゃかいしんど)というんだ。この被写界深度は、通常は前後とも同じ量があるわけじゃない。手前のほうに少なく、奥の方にたくさんある。被写界深度は奥行きを表すことばなので、正しくはたくさんあることを「深い」、少ししかないことを「浅い」という。
被写界深度が深い
被写界深度が浅い
さて、被写界深度が手前のほうに浅く、奥の方に深いとなるとピントを合わせる場所は、真ん中よりちょっと手前になる。おっと、一番手前ではないから気をつけて。被写界深度のことをしらないと、よくて真ん中か、そうでなければ奥に合わせていたはずだ。手前側がいまいちシャープに写らなかった経験は誰もがあるんじゃないかな。ただし、撮影距離が近い場合、たとえば1㍍以内とかね。そのときは被写界深度は手前も奥も同じ量になる。こんなときは、一番感じたところにピントを合わせるんだ。もっともあまり近いと被写界深度ってほとんどなくなってしまう。 下の写真では中央の木の実にピントを合わせている。接写なので被写界深度がほとんどなく、ほんの少し前後の実はぼけている。
接写では感じたところに!
一眼レフはレンズを交換すること、絞りの設定、カメラと被写体との距離を変えることで、被写界深度を自由に調整することができる。その調整そのものが一眼レフで写真を撮る醍醐味だといってもいい。とはいえビギナーには簡単とはいえないんで、今回のところはひとつだけ話しておこう。ズームの焦点距離の広角側、18~24㍉ぐらいまでを使うと被写界深度は深くなる。100㍉以上、長ければ長いほどを浅くなる。一般に広角は広く撮りたいとき、望遠は遠く小さなものを大きく撮りたいときに使うレンズとされている。
でも、もうひとつ別の言い方をすると、手前から奥まで画面全体をシャープにみせたいときは広角、背景をぼかしたいときは望遠という考え方もある。この場合には、ファインダーをのぞきながらズームの焦点距離を変えるのではなく、画面全体をシャープにみせたいときははじめから18~24㍉ぐらいに合わせて使う。背景をぼかしたいときは100~200㍉ぐらいに合わせて使う。この場合、被写体の大きさを変えるのは自分の足だ。自分が動いて被写体との距離を変えることで調節する。難しく考えることはない。小さいと思ったら前に行く。大きいと思ったら後に下がる。それだけだ。カメラマンが前に行ったり、後ろに行ったりするのはこのためなんだ。
そうそう、α100には、ファインダーで被写界深度を確認できるプレビューボタンを備えている。このボタンを押すとファインダーの見えかたは暗くなるけど、どこまでが被写界深度に入っているかを確認できる。
小さくてわかりにくいかな
ボタン部分のアップ
とても便利な機能だ。詳しくは取り扱い説明書の活用編68ページに記載されているので試してみて。
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