お前の番だ！ 581
　玄関先で未だ明け遣らぬ空を見上げる万太郎にあゆみが声をかけるのでありました。 「今日が愈々最終日ね」 「うん。やっと今日で終わりだ」 　万太郎は玄関内で見送るあゆみの方に目を向けて笑むのであり..
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お前の番だ！ 569
　指定の鋤焼き屋に着くと万太郎とあゆみは二階十畳間の個室へと招じ入れられるのでありました。そこには既に良平夫婦が座っていて、万太郎はあゆみ共々満面の笑顔で迎え入れられて、上座に揃って着座させられるので..
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お前の番だ！ 551
　是路総士は万太郎の目を見据えてそんな事を訊くのでありました。 「熊本はその辺は色々煩い土地柄ですが、僕は長男ではありませんから、それは越えられないハードルではありません。僕は実家を屹度説得して見せ..
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お前の番だ！ 549
「いやどうも、なかなかどうして、目の遣り場に困りますなあ」 　花司馬教士の笑い声が後ろから万太郎の肩に軽く当たるのでありました。またふり返ると花司馬教士は、掌で自分の首筋を扇ぐ真似をして見せるのであ..
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お前の番だ！ 547
「そう云った話しをするには、私は何の用意もしていない」 　是路総士がへの字に曲げた口の端から無愛想に言葉を漏らすのでありました。 「どうやらこうして並んで座っていらっしゃる様をお見受けしております..
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お前の番だ！ 546
　万太郎は困じて唸るのでありました。花司馬教士が云うように確かにここは良い折ではありますが、しかしいざとなるとどうにも腰が引けて仕舞うのでありました。 「最初に云っておかなければいけないのは、あたし..
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お前の番だ！ 537
「洞甲斐先生にもお暇を請います」 　万太郎が洞甲斐氏の方へ視線を向けると、洞甲斐氏は未だ虚けたような顔で万太郎の暇乞いの言葉が耳に入らないような気配でありましたが、甥のしくじり兄弟が万太郎に手酷く完..
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お前の番だ！ 533
　ダブルの白背広は一定距離玄関引き戸から離れてから、四つ這いの無様な格好の儘で恐る恐るそちらの方に首を捻じるのでありました。その動きに釣られるように万太郎も、はてこのタイミングで一体誰が戸を開けたのか..
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お前の番だ！ 524
「失礼いたします」 　万太郎は横の洞甲斐氏に浅くお辞儀してから道場に上がると、真っ直ぐに最奥壁際の威治前宗家の下に歩を運ぶのでありました。その間に威治前宗家が投げ出していた足を胡坐に畳んで、床につい..
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お前の番だ！ 508
　それから武道興起会と行動を共にする支部が七団体在るのでありました。その他の支部は独立の道を選んだり、ゴタゴタに倦んで解散するところも見られるのでありました。 「全く、威治のせいで常勝流が萎んだ事に..
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お前の番だ！ 494
「宗家の金銭上の不始末が発覚したのが、辞した理由のようです」 　師範控えの間で万太郎と二人だけになったにも関わらず、来間は未だ声を潜めるような喋り方をしているのでありました。 「ああそうだ」 　..
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お前の番だ！ 489
「未だ々々増えそうな気配ですよ。保護者や子供同士で学校の友達に声をかけて連れて来たりするから、募集広告なんかしなくとも結構広まりましたね」 「まあ、いろんな小学校から、と云うのじゃなくて一つの小学校..
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