枯葉の髪飾りＣＬⅩⅩⅧ
　そうして、吉岡佳世からの手紙が、全く来なくなるのでありました。前の手紙から十日を過ぎても、拙生のアパートの郵便受けには、彼女からの、隅にシャボン玉をする子供のイラストが描かれた何時もの白い封筒の姿は..
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娘からの手紙#59091;
昨日 #59127;風呂に入っていると、娘が風呂場の入り口で、私に ｢おやすみ#59137;｣ と言っている。 そんな挨拶に ｢おやすみ｣ と返す。 ..
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枯葉の髪飾りＣＬⅩⅩⅦ
　拙生はアパートに帰ってから、机の上に載った、結局まだ出さずにいた吉岡佳世への手紙を手に取るのでありました。それを見つめながら、これは矢張り、出さないで良かったと思うのでありました。それには、まさか彼..
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枯葉の髪飾りＣＬⅩⅩⅤ
　拙生が早々に叔母の家を後にしたのは、この電話の後に叔母や義叔父と悠長に話をする気にはとてもなれなかったためでありました。しかし自室に帰っても、細気管支肺胞上皮の腫瘍と云う病気がどのようなものであるか..
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枯葉の髪飾りＣＬⅩⅩⅢ
　吉岡佳世からの手紙が滞りがちになったのはそのせいでありました。彼女は拙生に頻々と手紙を出せるような状態ではなかったのでありました。滞りがちになって以来の彼女の手紙は総て病院で書かれたものであったわけ..
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枯葉の髪飾りＣＬⅩⅩⅡ
　その内にようやく手紙を出す頻度が落ちた理由を明記してある手紙が、吉岡佳世から届いたのでありました。その手紙で拙生は自分の焦りや不安や彼女への猜疑が、如何に的外れであったかを思い知るのでありました。そ..
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枯葉の髪飾りＣＬⅩⅩⅠ
　吉岡佳世から来る手紙が、滞るようになるのでありました。それまでは三、四日置きに来ていたものが一週間に一通となり、時には十日も来ない場合があるのでありました。拙生は心配になって此方からは週に二通は出す..
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枯葉の髪飾りＣＬⅩⅨ
　吉岡佳世からの手紙には相変わらず拙生に早く逢いたいとか、拙生の居ない学校はなんとも詰まらないとかの文が散見されるのでありました。しかしそれは最初の、駅で離別したすぐ後の手紙の悲壮感は次第に薄れてきて..
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枯葉の髪飾りＣＬⅩⅧ
　大学が始まると、健康診断やらガイダンスやらの行事と伴に講義の方も開始されるのでありました。外国語とか体育実技とか必修専門科目は別として、自分で選ぶ選択科目を指定単位数分取るために先ずは色々な講義を聴..
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枯葉の髪飾りＣＬⅩⅦ
「ああ、有難う。こいから駅前の商店街まで行って、ラーメンでも食ってくる積りやったとけど、そんなら折角けん、そがんさせて貰おうかね」 　拙生はなんとなく電話の後に人恋しくなってしまって、このまま部屋に..
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枯葉の髪飾りＣＬⅩⅥ
　拙生は彼女の傍に居てやれないのがとても悔しいのでありました。こう云う時に傍で力になってやれる者こそ、彼女にとって必要な人間と云うものではないのかと考えて、拙生は電話のこちら側で苦い顔をしているのであ..
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枯葉の髪飾りＣＬⅩⅤ
「オイは少し遅う行ったから、二階席の端に座っとったけん、当事者て云う感じの全然せんやったばい。何処かの式典の単なる観客て云う雰囲気やった。態々行くこともなかったて後で思うたぐらいぞ。入学式の後に何か大..
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