お前の番だ！ 58
　それでは何故に板場は万太郎にあのような事を訊いたのでありましょうか。外には表わさないながら、威治教士に対する陰れた忠義立てと云うつもりなのでありましょうや。 　万太郎は下座隅に座るのでありました。..
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お前の番だ！ 57
「いやもう、本当に全く、個人的な理由で交代したのです」 　万太郎は側頭部にかかる視線の圧力をふり払うかのように、顔を板場の方に向けて彼の顔を見上げるのでありました。 「ああそうかい。それなら別に良..
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お前の番だ！ 52
　万太郎が前紐の締め具合を訊ねるのでありました。 「腰に木刀を差すかも知れんからもそっと緩めに」 「押忍」 　万太郎は片結びを一旦解いてやや緩めた状態に前紐を巻き直すのでありました。是路総士の好..
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もうじやのたわむれ 360
　こちらに戻ってきたら閻魔庁での記憶のあれこれは、すっかり消えて仕舞うと云う事でありましたが、不思議な事に拙生はその一部始終をすっかり覚えているのでありました。これは一体どうした事でありましょうや。何..
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もうじやのたわむれ 355
「おや亀の旦那、お久しぶりで。これから洞窟をお使いになるので？」 　婆さんの風貌でありますが、しこめ姐さんの声は意外に若々しいのでありました。 「そうだ。父老から許可は貰ってある」 　亀屋技官が..
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もうじやのたわむれ 353
　亀屋技官と父老との関係はどう云う風になっているのか、どう云う経緯で関係が出来たのか、或いはどう云う利で繋がっているのか、多少興味のあるところではあります。しかしこれから娑婆に逆戻ろうと云う拙生には、..
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もうじやのたわむれ 348
「おう、よう来たのう、亀の旦那」 　父老はそう野太い声で云って、髭と肩を大袈裟に揺らしながら大笑するのでありました。父老と云うからには、すっかり老齢なのかも知れないとも拙生は勝手に思っていたのであり..
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もうじやのたわむれ 346
　車が動き出す時、大酒呑太郎氏と目があうのでありました。大酒呑太郎氏は判るか判らない程度に両目を細めて見せて、拙生に意味有り気なサインらしきを送るのでありました。拙生はその視線から、おどおどと目を逸ら..
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もうじやのたわむれ 345
　そうこうしている内に部屋に亀屋技官が現れて、準備万端整ったのでこれから黄泉比良坂へ向かいたいのだがと、我々一亡者と三鬼に出発を促すのでありました。我々は亀屋技官の尻について部屋を出ると、一階の玄関の..
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もうじやのたわむれ 344
　大酒呑太郎氏は眉根を寄せて、拙生に書状をポケットに早く仕舞えと指示するような仕草をして見せるのでありました。その時、部屋のドアノブを回す音が聞こえるのでありました。拙生は大酒呑太郎氏の秘かな算段に乗..
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もうじやのたわむれ 342
　拙生は驚愕に目を見開いて、序に口もポカンと開けて、大酒呑太郎氏を凝視するのでありました。何やら不穏な息が、大酒呑太郎氏の口から吐き出されているようであります。 「大酒さんが、眠らせたのですか？」 ..
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もうじやのたわむれ 340
「奪衣婆港のあの防衛隊の応援とかは仰げないのでしょうかね？」 「いやそれは、港湾施設及び港湾付帯施設は閻魔庁の永久租借地にありますから、その敷地内か、限られた周辺なら、防衛隊も活発に活動する事も出来..
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